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小林製薬の「紅麹問題」について解説します

昨今、小林製薬が製造する『紅麹』を使用したサプリメントによる、健康被害問題が報じられています。

◆そもそも、『紅麹』って?

紅麹とは、米や麦などの穀物に、カビの一種である「紅麹菌」を混ぜて発酵させたもののこと。

鮮やかな赤色をしていることから、『紅麹』と呼ばれています。

ここで押さえておきたいのは、『紅麹』原料そのものに問題があるわけではない──ということ。

中国や台湾、沖縄などでは、伝統料理の原料として、古くから使われてきた歴史があるようです


また、天然由来の色素として安全性が評価されており、小林製薬に限らず、数多くのメーカーに製造され、様々な食品に「食品添加物」として使用されています。


◆じゃあ、「紅麹問題」って?

一方で、『紅麹』はコレステロールに対する効果も着目されており、サプリメントの原料としても広く活用されてきました。

そんな「紅麹サプリ」の一つである、小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」を服用し、腎疾患による死亡者が発生した、と疑われているのが「紅麹問題」です。

ただし、小林製薬の「紅麹サプリ」が本当の原因かどうかは不明で、現在調査が急がれています。

ここで押さえておきたいのは、「紅麹サプリ」全体に健康被害を引き起こす高い可能性があるわけではない──ということ。


たとえば、(株)ファンケルは、紅麹サプリの一つである「コレステサポート」について、


「小林製薬の紅麹原料を使用しておらず、安全性に問題はない」
として販売を継続しています。


◆とりあえず「サプリメント」やめとくべき?

「紅麹問題」をきっかけに、サプリメント全体の安全性に対する疑念も広がっています。

本日は、小林製薬による情報開示がなかなか進まない中、「紅麹サプリ」はじめ、サプリメントの安全性について解説する本をご紹介します。

帯には「紅麹エキスのリスク」の文字


著者は、「医療従事者が自信を持って使えるサプリメントを」をモットーに、医療機関にのみ製品提供するサプリメントメーカーの代表を務める田村忠司先生。

メーカーの立場でありながら、消費者に「安易に買わないで」と喚起する一冊です。


◆うちの工場では誰も飲みません

業界の踏み込んだ裏事情にも切り込んでおり、たとえば、こんな体験談が語られています。

著者があるサプリ工場を訪ねたときのこと。「いろいろなサプリが飲み放題でいいですね」と、ほんのお愛想のつもりで工場員に話しかけてみたら、「まさか……。何が入っているか知っているんです。飲むわけないじゃないですか」と。驚きましたが、一方で「やはり」という思いでした。

1章──あなたの知らない「サプリメントの正体」より


刊行は2年前ですが、紅麹エキスについても「医薬品との相互作用が起こる恐れがある」と警鐘をならしています。


そのほかにも、

ウコン/グルコサミン/イソフラボン/ヒアルロン酸/ごまサプリメント/卵油/カルシウム/グルコサミン/コエンザイムQ10 /青汁……など、

普段よく耳にする栄養素について、賢く・安全に・効率よく摂取する方法を紹介しています。


◆最後に、“機能性表示食品”って?


「紅麹問題」をきっかけとして、“機能性表示食品”そのものに対する疑念も広がっています。

“機能性表示食品”とは、健康効果を表示することが認められている食品のこと。

小林製薬の「紅麹サプリ」は、“機能性表示食品”として販売されていました。

国の審査が必要な「トクホ(=特定保健用食品)」と異なり、効果や安全性について審査は必要なく、企業によるエビデンスの証明で足りるようです。

“機能性表示食品”は、私たちの身の回りにあふれていて、たとえば、ストレス緩和&睡眠の質向上で話題になった「ヤクルト1000」もその一つです。


“機能性表示食品”が必ずしも悪というわけではありませんが、「企業にとって使い勝手のよい表示」だったことも事実──。

実際に、消費者庁は、すべての機能性表示食品(約6800点)について緊急点検を行なうことが発表されています。


◆おわりに

今回の報道に触れえ、私が最初にしたのは、両親に電話をかけて「サプリ、大丈夫よね?」と確認することでした。

皆さまにもお変わりがないことを、心より願うばかりです。

そして本書が、サプリメントとの付き合い方を今一度見直し、

これからの健康被害を防ぐ一助となれば、これ以上に嬉しいことはありません。


◆スキ800超えました🎉✨😆✨🎊


(編集部 中西航大)

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