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何と美しい世界に/女の哲学

  富士と周りの山の稜線が
  夕日にくっきりと浮かび上がる。
  何という美しい世界に
  私は住んでいるのだろう。

  毎日散歩するこの土手の景色が
  まるで別の生き物であるかのように
  私の眼を潤おわせる。

  山を美しく形どる夕日と
  同じ色を遊ぶススキ
  風に吹かれて。

  百億通りの橙を映し出す
  川の表面は
  留まることなく
  ただ流れ

  見事な秋色の枯れ葉たちは
  暮れ行く日の光の中で
  陰をたたえ

  見る者がいなくなっても
  誇らしく色づき
  明日になれば
  また違う顔を顕す。

  毎瞬変化していく
  いつもの風景のなかを
  走りながら
  何という美しさを
  私は享受していたのか。

  夕日を軽々と抱えて
  飛んでいくサギは
  遥か彼方の
  星を目指して
  消えていく。

  紺色の幕を
  降ろし始めた
  空に光る
  星たちは

  今まで気が付かなかったのかい?
  と笑うように
  瞬き見つめる。

  この美しい世界に
  住むことをきめたのは
  誰でもない
  わたしだった。

  終わりも始まりも無い
  一歩一歩が
  終着点の今を。  

何と美しい世界に

(photo: ©MikaRin)







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