導入広がる採用活動のウェブ面接、好印象を残すコツ

オンライン商談システムのベルフェイスの担当者は、自社がオンラインの製品を扱っていることもあり、3月中下旬から面接はすべてオンライン化したのだという。志望者、面接官の健康安全を第一に考えたのがその理由だ。実際に来てもらわないと職場の雰囲気が伝わらないという課題については、自社サイトに社内のことがわかる動画・記事コンテンツを充実させ、社員がどんな人がわかるように工夫した。

3社によると、オンライン面接だからこそチェックできる点もあるという。自宅でリラックスしているためか、志望者がふっと意外な側面を出したり、複数の志望者に同時に説明しているとき、明らかに他のことに気を取られている人がいたり。ベルフェイスでは最低2人で運用し、1人が説明している間、もう一人が聞く姿勢をチェックしていたという。採用面接に臨む側にとっては、注意しておきたいポイントだ。

 一方、採用する企業側も志望者からリテラシーを評価される場合があるという。この日司会を務めた就職支援サービス業のグッド・クルーの担当者は「企業側より候補者の方が慣れている」と指摘した。面接官のほうも画面ではアップで映るし、かしこまった対面での面接よりも普段の素顔が見えやすくなる。企業もオンライン面接ならではの想定が必要となる。

新入社員研修をオンラインで行った企業はどのような工夫をしているのだろうか。不動産投資のクラウドファンディングを手掛けるFANTAS technologyでは現在、13人の新入社員がオンライン研修を受けている。

 社有パソコンを各自に配布し、最初の2週間は共通研修で座学のほか、新入社員を3チームに分け、「社員の協働を促す企画」を提出するよう課題づけた。続いて職域ごとにオンライン研修を行っている。先輩社員も在宅勤務をしているという事情もあるのだが、そもそも不動産投資にあたっての重要事項説明といった業務自体が、このコロナによってテレビ会議や電子契約で行う機会が増えている。そのためオンラインで完結する業務をOJT(オンザジョブ・トレーニング)で学んでいるのだという。

 社員からは「難しいと思っていたけど問題なくできる」「画面に一方的に話すだけかと思ったら、受講者の反応がリアルに見えてよかった」などの評価が出ている。課題は、画面越しになるので新入社員のコンディションを把握しがたいこと。毎朝30分ケアの時間をとるなど、例年よりも柔軟な体制をとったという。

 ネットコンテンツのエイチームも入社式を中止し、57人の新入社員をオンラインで研修させている。同社では新入社員をケアするため、先輩がメンター社員としてマンツーマンでつく。新入社員からは「個人的な質問や思っていること、悩みが気軽に相談できる」「直接の上司ではないため、忖度無しに素直に意見を言える」と好評だ。さらに、新卒同士で社内チャット部屋での雑談、Zoom飲みやZoomランチなどを実施。コミュニケーションがしっかりとれる体制をとった。1日の終わりに終礼を実施し、当日の研修内容の感想、意見の発表や、日報を作成、共有することで、研修の成果をフィードバックするシステムもある。

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