インターンシップに関する調査 ディスコ

https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2020/03/internship2021_chosa.pdf

1.参加したインターンシップの内容
最初に、学生モニターが実際に参加したインターンシップの概要を確認したい。
まず、参加時期を見ると、前年調査に引き続き 3 年生(修士 1 年生)の「8 月」が最も多い(23.8%)
次に多いのは「2 月」だが、割合はやや下がった(21.3%→19.6%)。代わりに「9 月」が大きく増加したのが目立つ(13.7%→17.7%)。早い時期の参加が増え、前倒しの傾向が見て取れる。
参加日数は「1 日」が最も多く、前年より割合が増えている(37.7%→38.0%)。「半日」の割合も増え(24.0%→26.3%)、1 日以内の短期プログラムへの参加が今年も 6 割強を占める(計 64.3%)
プログラム内容を見ると、「講義・座学」「グループワーク」が 8 割近くに上り(それぞれ 79.7%、76.0%)、大半のインターンシップで行われていることがわかる。「仕事体験」を伴うものは 27.3%で、依然としてかなり限られるのが現状だ。

次に「参加時期」と「参加日数」の関係を調べてみた。いずれの時期も「半日」と「1 日」を合わせた 1 日以内の短期プログラムが過半数に上るが、とりわけ 10 月以降は 7 割を超えている。
一方で、7 月~9 月は 2 日以上の複数日程のプログラムへの参加が約半数で(計 48.6%)、1 週間以上に限っても約 2 割を占めるなど、比較的長期のプログラムへの参加が多い。大学の夏季休暇中は複数日にわたって実施されるプログラム、授業が始まる秋以降は短期プログラム中心へと移っていった様子が見て取れる。

「参加目的」についても参加時期別に見てみる。6 月以前は「自身の成長のため」が約 3 割を占めていたが(29.6%)、7 月以降は約 1 割に減少。代わりに「業界研究のため」や「その企業をより深く知るため」の割合が増える。
特に 7 月~9 月は「業界研究のため」が約半数で(46.4%)、夏のインターンシップは業界研究の場として捉える学生が多いことが読み取れる
また、「その企業をより深く知るため」の割合が時期を追うごとに増していくことから、業界から企業(個社)へと徐々に重心が移っていく様子が表れている。参加時期によって、インターンシップの参加目的は変化していくことがわかる。

2.インターンシップ情報を探した時期
インターンシップに関する情報(募集企業)を具体的に探し始めた時期を尋ねた。「6 月」が最も多く(32.0%)、6 月までに 7 割超が情報収集を始めていた。
さらに、よく探していた時期を複数回答で尋ねたところ、「6 月」と「7 月」がともに 43.5%で最も多かった。6~7 月に熱心に情報収集を行い、夏休み中の参加を目指すという流れができていたことがわかる。また、「12 月」にも 3 割を超えているが(31.7%)、春休みに実施されるインターンシップの募集情報をこの時期に探すことが多かったのだろう。
なお、参加したインターンシップを知ったきっかけは「就職情報サイト」が最多で、過半数を占める(55.8%)。

3.インターンシップ先を探す際に重視した点
インターンシップ先を探す際の条件として項目を示し、それぞれ重視した度合いを尋ねた。
「とても重視した」という回答が最も多いのは「学業に支障が出ないこと」。半数近くが選び(47.9%)、学業との両立が多くの学生にとっていかに重要視されているかがわかる。
「とても重視した」と「やや重視した」を合計してみると、最も多いのは「プログラム内容の詳細が記載されていること」で、8 割を超える(計 82.2%)。内容が曖昧なインターンシップを敬遠する学生が少なくないことが読み取れる。ここに「実践的な仕事を経験できること」(計 67.3%)が続くが、仕事体験を伴う実践的なプログラムは現状ではかなり少ないのが実態だ。
「本選考での優遇が期待できること」までが、重視する学生の割合が半数を超えている(計 57.1%)

4.インターンシップの満足状況
インターンシップに参加した満足度を尋ねたところ、「大変満足」が 42.7%と 4 割強。「やや満足」(42.4%)とあわせると 8 割を超え(計 85.1%)、総じて満足度は高い。ただし、実施内容や時期により違いが見られる。「参加日数別」「プログラム別」「社員との接点有無別」「成長実感別」の 4 つの指標でデータを紹介したい。
まず、参加日数別。「大変満足」の割合に注目してみると、「半日」は 25.2%、「1 日」は 41.3%と半数に満たない。
これが「2~4 日」の複数日程になると半数を超え(53.0%)、「1 週間程度」は 6 割を超える(61.8%)。複数日程のものは「やや満足」を合わせると 9 割を超え、満足度は日数が増えるほど高くなる傾向が見られる。(2 週間以上のものは、参加者が限られるため参考値)

次に、参加したプログラム別に見てみる。「講義・座学」「グループワーク」の組み合わせで実施されるインターンシップが主流であることは先述の通りだが(2 ページ)、「講義・グループワークのみ(いずれか、または両方)」の場合と、それ以外の内容を含む場合に分けて、満足度を比較した。
「講義・グループワークのみ」では「大変満足」が 22.7%であるのに対し、「社内見学・社員との座談会・仕事体験・実務を含む」ものでは 4 割を超え(46.8%)、2 倍以上になる。実際に職場の雰囲気を感じ取ったり、実態に近い情報を得たりして、企業理解も進み、満足度が上がるのだろう。

社員との接点と満足度の関係はどうだろうか。
インターンシップ期間中に、社員との接点が「十分にあった」ものは約半数で(51.2%)、「それなりにあった」が 37.3%。これを、プログラムへの満足度と掛け合わせると、社員との接点が「十分にあった」ものにおいては「大変満足」が 6 割強(65.5%)。「やや満足」(30.2%)と合わせると 9 割を超える(計 95.7%)。「それなりにあった」ものでも、満足の合計は約 8 割(計 81.1%)と高いものの、「大変満足」は 2 割程度にとどまる(21.3%)。
社員との接点が「ほとんどなかった」ものにおいては、「大変満足」は 1 割に届かず(9.8%)、参加中にどの程度社員と接点をもつことができたかが、満足度に大きく影響していることがわかる。

同様に、「インターンシップ経験による成長実感別」に満足度を見てみる。「大きく成長を実感できた」インターンシップは満足度が圧倒的に高く、「大変満足」が 9 割近くに上る(87.9%)。「やや満足」と合わせると 98.7%。
一方、「成長を実感できなかった」と評価するインターンシップについては、満足度は非常に低い。
参加目的に「自身の成長のため」を挙げる学生は決して多くはなかったが、それでも参加したことで何らか成長を実感できないと、満足できないことがわかった。

5.インターンシップ参加前後の就職志望度の変化
インターンシップの参加前後で、その企業への就職志望度がどう変化したかを調べてみた。インターンシップ参加前は「この企業に就職したい」は 4 分の 1 未満だったが(24.2%)、参加後は 45.9%へと、20 ポイント以上増えている。
実際に接点を持つことで、就職先として意識したり、志望する度合いが高まったりしたと考えられる。

さらに、インターンシップ参加前の就職志望度ごとに、参加後の志望度を見てみる。参加前に「この企業に就職したい」と回答したものでは、参加後も「この企業に就職したい」と回答する割合が 85.0%と極めて高い。「この企業(業界、職種)には就職したくない」に転じた割合はわずか 8.1%だった。
一方、参加前には「志望していなかった」と回答したもののうち、参加後に「この企業に就職したい」に変化したのは約 3 割(31.7%)。「この業界に就職したい」は 15.7%。インターンシップに参加することで志望企業や志望業界となった割合は 47.4%に上った。

インターンシップ後にその企業に就職したいと感じた理由を尋ねたところ、最も多かったのは「事業内容に興味が湧いた」(68.6%)。続く「職場の雰囲気がよかった」も 6 割台で(62.2%)、多くの学生が選んだ。「仕事内容が自分に合っていると感じた」は 4 割台にとどまり(44.9%)、仕事内容よりも事業内容や雰囲気重視という結果は、就業体験を伴う実践的なプログラムを経験する学生が少ないことに起因していると思われる。

一方で、その企業に就職したくない理由を見ると、「仕事内容が自分に向いていないと思った」が最も多く、約半数(49.7%)。「事業内容に興味が持てなかった」(46.4%)が僅差で続く。「職場の雰囲気が合わないと思った」(25.8%)も比較的高く、様々な角度から自分に合う企業であるかを見極めていることがうかがえる。企業側は、より実務に即したプログラムを提供することで、ミスマッチの少ない、質の高い採用母集団形成につなげることが期待できるだろう。

6.インターンシップ参加企業への就職エントリー
参加したインターンシップの「満足度」と「就職エントリーの有無」との関係性を調べた。満足度が高いインターンシップほど、就職活動が始まってからその企業に「エントリーした」という割合が高く、「大変満足」では「エントリーした」が約 7 割(69.1%)。逆に満足度の低いもの(やや不満足/大変不満足)では「エントリーするつもりはない」が 6 割を超えている(61.0%)。インターンシップの満足度の高さは、志望度だけでなく、実際の就職エントリーにもつながっている。

また、「就職エントリーの有無」を「インターンシップ参加後のアプローチ・優遇の有無」別にも見てみた。参加企業から何らかの「アプローチがあった」場合、その企業に「エントリーした」は 6 割超に上り(63.2%)、「特になかった」場合(44.4%)を大きく上回った(18.8 ポイント差)。インターンシップそのものの満足度だけでなく、参加後のフォローやアプローチの有無も、エントリーに大きく影響を与えていることがわかる。

7.インターンシップ参加前の企業研究
参加にあたって、あらかじめ企業研究をして臨んだかどうかを尋ねてみた。「かなり調べて参加した」(11.7%)、「ある程度は調べて参加した」(57.8%)を合わせると約 7 割(計 69.5%)
大半の学生は事前に企業研究をした上で参加していたようだ。コメントからは、企業ホームページや就職情報サイトなどインターネット上の情報を中心に、様々な角度から情報収集を行っている様子がうかがえる。
「あまり調べず参加した」は 3 割(30.5%)。インターンシップの場で企業の概要を把握したいと考える学生も一定数いたことが読み取れる。ただし、事前に調べておけばより有意義になったと感じる声も少なくない。

8.インターンシップに参加しやすい日程
インターンシップ参加者が増加する中、学業への配慮が一層求められているが、学期中のインターンシップに参加しやすい曜日・時間帯を尋ねた。土曜日、日曜日の昼間はそれぞれ 7 割を超えるのに対し、平日の昼間はいずれも 2 割前後にとどまる。夕方以降になると 3 割台まで増えるが、それでも半数を超える曜日はなく、土日や長期休暇中の開催が望ましいことが表れている。文理別で大きな差は見られなかった。

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