マゾヒストしばいてた話
(久しぶりに会った友達から「ふみかつ」を紹介された時の話。という体で語る夢の話。あくまでフィクションとしてお読みくださいね。)
「友達が 踏み活 やってて」
「パパ活のSM版みたいなものらしいよ」
パパ活という言葉への警戒心よりも、見知らぬ世界への好奇心が勝ってしまった。
SNSで「踏み活」を検索してみると、確かにヒットする。マゾヒストを募集する投稿。踏んでくれる女の子を募集する投稿。思い描く理想のプレイについての投稿や、プレイの動画を売る投稿などなど……
この世には、わざわざお金を払って見下されたい人がいるらしい。痛い思いをしたい人がいるらしい。他人の顔面を踏みつけて立つ、他人の尻を蹴り飛ばして笑う、靴裏を舐めさせる。これらの行為に金銭的な価値が発生する界隈があるらしい。
まあ気になるじゃん。あと普通にお金ないし。
そのまま友達にアカウント作成してもらった。
以下、しばいてみた感想
私にサディスティックな欲望そのものは全く無いのだけど、「すみません!」「ありがとうございます!」の反応が良くてまあまあ楽しかった。音の鳴るおもちゃで笑う赤ちゃんの気持ちがわかるかもしれないと思った。
惨めであればあるほど良いという人、都合のいい存在として好きに使われたい人、シンプル足フェチの人、などなど。同じようにSMを希望する人たちでも、細かいところでそれぞれ違いがあって興味深かった。
たとえば、踏まれたいというニーズは同じでも、ヒールを好む人、素足を好む人で分かれたり。ヒール派は「女性らしさ」を感じられるのが好きらしく、素足派は「踏まれている」という状況をより感じられるから好みらしかった。
顔を踏みつけるというのは、いくら相手の希望によるものだとしても中々に抵抗がある行為だった。ふつーに怖い。
どこにても居るような普通の人が来る。なんなら妻子持ちもいた。変態は日常生活の中に案外溶け込んでいらっしゃる。たとえば電車であなたの隣の席に座った、清潔感があり姿勢のいい綺麗なお顔の青年だって、夜はパンツ1枚四つん這いかもしれない。ギャップがすごい。
そして飽き性な私は、しばらくしてSNSの運用が面倒くさくなってきたので、アカウントは友達(界隈について教えてくれたやつ)に任せることにした。友達には、マゾヒストの方々にお会いして頂いたお金をアカウント運用費として少しあげることにした。出来高制のアポインターのような、珍妙なSMマッチングビジネスができあがって面白かった。
今はもうやらなくなってアカウントも消してもらったけれど、奇妙で奥深い世界だったな。
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