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介護しているあなたに伝えたいこと

「気がつくとお茶を入れておいたやかんにゴミがたくさん入ってるんだよ。

 必要なものがある日なくなっていて、探したらタンスの奥の方にしまわれていたんだ。」

認知症の奥さまを介護しているご主人の言葉。

私の患者さん。


介護をする人のからだと心のケア

介護と子育ては似ているな、と思うのは思うようにならない人の世話をするという部分。

眠れなかったり、言うことを聞いてもらえなかったり。

でも子育ては子どもがどんどん成長する。

成長するスピードは子どもによって違ったりするけれど、できなかったことができるようになっていく。

介護は違う。

どんどん老いていく相手と自分。

よりできる方が、よりできない方を見るしかなくなる現状がある。

自分だってつらいんだけど、もっと大変な人が目の前にいるからやらなきゃいけない。

そのときにいかに自分をいたわりながら取り組めるか。

自分を守るために、サポートをお願いしたり、公的なサービスを使えるか。

自分が休む時間をとれるか。

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私が思うこととできること

私は今、整形外科クリニックに勤めていて、オーダーが出ればその方の治療をすることができる。

担当している方の中には、現在介護中だったり、介護する仕事をしている人が結構いる。

こうやって出てこられて、自分の体をいたわる時間が持てているっていうのは大事なこと。

冒頭の患者さんは80代男性で、家にいるときは家事をしながら奥さまから目が離せない。

奥さまの認知症はかなり進んでいて、目の前にあるものが何で、どういう使い方をするもので…という認識ができなくなっている状態なんだと思う。

だけど、きっとね、ご主人がアレコレ動いていて、自分にも何かできないかなぁって思っているんじゃないかと思う。

じっとしていることができなくて、つい目についたやかんにゴミを入れてしまったりするんじゃないかな。

実際の場面も奥さまも見たことはないけれど、とても心優しいご主人で、奥さまのために一生懸命で、アレコレ動いていたらそう感じるような気がする。

自分がやることがもっとご主人を大変にする、という事実は悲しくて、無力感とか焦りとかいろんな気持ちが湧き上がったりするんじゃないかしら。

何かおうちで、これだけはできるとか、やっていても安心して目を離していられることを作ってあげられたらなぁ、と思う。

思うだけだけれど。

誰かそういう関わりができる人が生活に関わってもらえたらいいのに。


私ができるのは、ご主人の体をリセットして、使えていない筋肉を使えるようにして、少しでも楽な体をつくってあげること。

まず歩くのが結構大変そうになっていて、よく使う腕や肩はカッチカチで、あらゆるところの痛みが出ている。

以前は肩で、しっかり治療したら全然上がらなくて痛かった肩が楽に上がるようになった。

今は股関節と腰。

楽に歩けるようにね。

そして大変な話をとにかく聞く。

夜もトイレ介助で寝られないと言う。

子どもの授乳の頃を思い出す。

夜、何度も起こされてコマ切れ睡眠になるってものすごくつらい。

私「それは本当に大変だから、奥さまがデイに行っている間はゆっくり休むことを大切にしてくださいね。」

と伝えると、

「休もうと思うとお弁当やらミネラルウォーターなんかが宅配で来て、おちおち寝ていられないんだよ。

 それに妻がいない時間にやれることをやっておかなくちゃ。」

と言う。


自分の子育てを思い出した。

子どもがお昼寝したら自分も休めばいいのに、この時間にやれることをしようって動いて、しんどくなってたっけ。


休んでいいんだよ、自分の体を大切にしようよ。


私は筋肉の声を代弁して、その想いを伝えたりする。

私「ここの太ももの横の筋肉ね、ガッチガチなんですね。

これは太ももの前の筋肉とかお尻の筋肉が使えないとこうなることが多くてね。

〇〇さんの筋肉はそうやって使えない筋肉があって、使えるところで何とか歩いていて。

で、使える筋肉がもうあんまりなくって、ホラ、足を蹴っ飛ばす力がもう全然ないんです。

頑張りすぎな体になってますよ。」


疲れたら休む。

これは大事なこと。

心にも体にも。


今も介護をしているあなたへ

お疲れさまです。

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