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「どちらの名字を選ぶか」はそもそも相談の対象にならないらしい

「いつの間にか、シフト表に載っているみかの名字が変わってるかもしれないもんね」

職場の人に交際していることを言うべきかどうか、そんな話をしているときにふと、同じ職場で働くパートナーがそう言った。こちらが公言する前に「私の名字が変わっていること」で婚姻関係が公になるかもしれない。そんな話だった。

「さすがにシフト表で初めて知られるのはやばいでしょ。その前にちゃんと報告しないと」と笑って何気ない会話は流れたが、あれから何日か経った今でも、どこか引っかかる思いは小さなモヤモヤとして残っていた。

「どちらの名字にするか」って、話題にすらならないことなんだ……。

当たり前のように「私が名字を変える」認識だったことが、少し悲しい。


SHE株式会社によると、パートナーと姓の相談をした既婚者は57%(PRTIMESより)。つまり大体半分の夫婦は、相談もせず当たり前のようにどちらかの姓(多くは夫の姓)を選択しているようだ。

かく言う私も、特に名字にこだわりはない。何がなんでもえんどうのままがいい!というわけでは無いし、とはいえ絶対に夫の名字がいい!というわけでも無い。パートナーに「自分の名字にしてほしい」と言われればそれはもちろん、喜んで引き受ける。

けれど、同じ「夫の姓を選ぶ」にしても、それまでの話し合いの有無で納得感にだいぶ差が出ると思う。

自分にも姓を選ぶ権利がありながら、相談の余地なく当たり前のように改姓を突きつけられるのは、少し違和感があるのだ。

昨年の参加した、コピーライター・阿部広太郎さん主催の講座『企画メシ』の『なんとかしたいの企画』で、ある企画生が改姓にまつわる企画を提出していた。

彼女は入籍を機にどちらの名字にするか夫と揉めて、結局自分の名字に決まったものの、相手への申し訳なさでモヤモヤするのを「なんとかしたい」こととして挙げていたのだ。

彼女の企画は「改姓すること」ではなく「改姓させた申し訳なさ」に焦点を当てていることに当事者ならではのリアルな悩みがあり、その解決策のひとつである『名義変更デート』には「どちらの名字にするかはふたりで決めたんだから、大変な名義変更の作業は一緒にやろう」という姿勢が現れていて、すごく素敵だと思った。


「私も入籍するときはこういう問題が出るのか……」と、当時は遠い未来をぼんやり想像していた。そんな現実が近づいてきた今、こうして彼女が改姓に対する問題と解決策を先に提示してくれたのは、本当にありがたい。

きっと相談してもしなくても結果は変わらないと思うけれど、どうせ同じ結果になるのであれば、ポジティブな道のりを一緒に通りたい。

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