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新潟県民から埼玉銘菓「十万石饅頭」を教わる埼玉県民

外国人観光客の方が、日本人より日本のことを知っていたりする。

先日NHKで観た番組では、「新しい観光」を楽しむ外国人観光客が特集されていた。

そこでは、タイ人女性3人組が山梨の静かな村に訪れていたり、4回目の来日というカナダ人夫婦が岩手のなんてことない川沿いを歩いたり、英語表記など当然なさそうな喫茶店に入ったり。

海外でも、京都や東京などの「ザ・観光地」ではなく、地元に溶け込むスタイルの観光が流行っているらしい。


私は生まれて丸26年間、埼玉県に住んでいる。住む場所はおろか、大学も職場も埼玉。10ヶ月だけ赤羽に勤務していたが、まあ、赤羽も埼玉みたいなもんだからね(ごめんなさい)。

でも私は埼玉のことを知らない。もちろん深谷ネギとか秩父、小江戸川越くらいは知っている。けれど、埼玉県民であれば誰でも知っている(らしい)銘菓を私は大学1年生まで知らなかった。

「うまい、うますぎる、十万石饅頭」のCMで埼玉県民はお馴染みの、十万石饅頭だ。

「エビアンさんに見せたいものがあるんだ」

大学1年生のころ、大学から最寄り駅までのバス内で同級生がそう切り出した。


「十万石饅頭が駅中に売ってるんだよ!」

「……え、何それ?」

「えっ!十万石饅頭知らないの?!そしたらなおさら見に行かないとね!」


ちなみにこの同級生は新潟出身。大学入学を機に埼玉に引っ越してきたが、そこで実物の十万石饅頭を見て感動したそう。

新潟県民に埼玉銘菓を紹介されるとは……
てか、そもそも何で知ってるの……?

さまざまな疑問を抱えながら初めて対面した十万石饅頭は、ごく普通の小さめな饅頭だった。買わなかった。

このとき私ははじめて、「他県の人から見た埼玉」を知った。

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先日、ひょんなことから同い年の韓国人男性に「東京でおすすめの店はある?」と聞かれた。

そんなん急に聞かれたって。「ええ、どこだろう〜……」とはぐらかしてしまった。ごめん。

でも私もきっと韓国に行ったら、その辺の韓国人に「おすすめの店は?」と聞いてしまうだろう。

せっかく観光に来てくれているんだから、おいしいもの食べて楽しんでもらいたい。自分が住んでいる場所のことくらい、少しは答えられるようにならないと。


ちなみに十万石饅頭はまだ一度も食べたことがありません。

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