見出し画像

出産と面会

結婚してしばらくは子どもはいらないかなぁ?と思い呑気に日々の生活を送っていた。

運良く絶好のタイミングで妊娠し、出産した。

しかし、38週での早産。
わたしは先に退院して、子どもに毎日会いに行くという、とてもとても辛い思いをした。
黄疸が強く、治療や採血もかわいそうだった。


妊婦でも甘えは許されない職場だったため、私は通常の業務を妊娠7ヶ月過ぎるまで続けた。

悪阻で辛くても貧血でも、欠勤はできなかった。
それが当たり前だった。
今思えば、お腹はよく張っていた。

退職して一月ちょっと過ぎたころ、夫の海外出張があった。出産前最後の出張。
当時は月の半分くらいは家に居なかった。
多忙を極めていた夫の荷造りを手伝い、買い物でバタバタした。

夫を見送ったその夜だった。
あれ?
トイレに行きたいのかな?
なんかおかしい。
尿漏れ?でもない。
お腹が痛いかも…

何度も何度もトイレを行ったり来たり。
あれーー?
どうしちゃったのかな…

その時、お腹の中で何かが弾けたような気がした。
破水してしまったのだ。

時計は夜の12時を回っていた。
慌てて病院に電話して指示を仰ぐ。
"今日は先生が帰ってしまったから、朝になったら受診してください"
との事だった。

仕方ない…
近所に住む母にも電話した。

看護師さんも母も、
"初産は時間がかかるから大丈夫"
と言う。まだまだ時間はあるからと。

頼りにしていた夫は出張中で戻って来れるはずもない。
どんどん不安は募った。

心配で、心細くて、何度か病院に電話すると

"そんなに心配なら来ても良いですよ"と。

ようやく病院に行ける事になった。
母に送迎してもらい、クリニックへ。
時計は既に2時半をまわっていた。

分娩室の横の待機部屋に入り、一安心。
これで、万が一何かあっても助けてもらえる。

確かに破水はしているけれど、まだ子宮口は硬いままだから大丈夫。
朝になったら先生の診察をうけ、今後の予定を決めましょう。
との事だった。

なーんだ、急がなくても大丈夫だったんだ!

"破水してもどんどん羊水は作られるから、心配はない。
安静にして、少しでも出産日を遅らせることになると思います。"
との事だった。

しかし、なかなか思い通りにはいかないのが世の常。
わたしは、そのままスピード出産をする事になったのだ。

理由は二つ。
①子どもの体重が2800gを超えている
②子宮口が開き始めて、陣痛らしきものがスタートした

朝の5時半から6時位だった。
急にわたしの周りが急がしくなった。

助産師さんのヒソヒソ話に耳を傾けると…

"え?子宮口開いてきてる"

6時半から7時位になると先生がいらした。

"これからお産が始まるよ。
赤ちゃんは大丈夫だから、お母さん頑張ろう"
と、いきなり言われた。

わたし、このまま産むんですか?!
心の準備ができてなかった。

海外にいる夫にも国際電話をかけなくては...
今のようにスマホもフェイスタイムもなかった。
妹が代わりに連絡をしてくれた。

ちなみに、子どもが生まれたのは
母子手帳によると8時30分。
約4時間のスピード出産だった。

夫だけでない。
母も間に合わなかった。
誰もがそんなに早く生まれてくるとは思っていなかったから。

産後の感動とかしている余裕もない。
生まれちゃったよーどうしよ...
夫が日本に戻るのは4日後だよ....


#出産#早産
#38週
#出張
#破水
#深夜
#スピード
#安産

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?