見出し画像

ミルクは大麦に置き換え完了。北欧の、宇宙レベルなサスティナブル意識

あまから手帖 連載「食からSDGs」2022年 9月号より。バックナンバーはhttps://www.amakaratecho.jp/ でどうぞ。

あの 環 境 運 動 家・グレタ・トゥーンベリさんを 輩 出した 環 境 先 進 国 。北欧の意識の高さは想定していたが、そこで聞いたのは「 食 か ら S D G s 」の ネ ク ス ト レ ベ ル 、 食 の 再 編 が 導 く 未 来 の 話 だ っ た 。

北欧の、食のサスティナブル志向は、次元が違ってた

スウェーデンの北の都市・ウメアで6月に開催されたフードシンポジウムに参加した。食のサスティナブルへの意識が高いとは知ってはいたが、初日に聴講したウメオ大学の博士による講演に驚いた。
「食料システムは、惑星すべてに影響 を与え」、その食こそが「地球上の人 間の健康と環境の持続可能性を最適化 するための唯一、最も強力な手段」と 断言される。

つまりSDGsの課題は食から 生じ、ゴールも食システムの再編頼りだという。ここで提唱されていたのが 「More than human 」“人間を超える”取組みだ。
例えば昆虫食のような食のタブーを逸 脱する、人間以外の生き物の視点から 食料政策を考える。強烈なのが、人間 の身体や生理から食べ物を創造すると いうカニバル=人肉食的アプローチだ。 博士が子供たちと行ったワークショップでは、チューブを消化器官に見立て、 食べ物が吸収、発酵されるプロセスを 再現。最後に“消化の最終形態”を模 したチョコレートを食べていた。この徹底したサイエンス思考は北欧 の食のイノベーションの源泉でもある。

持続可能な食と聞くと“古き良き”に 固執しがちな日本と対極に、北欧は食 で未来社会を目指す。

持続可能な食として、まず取り組みが進むヴィーガン食。 コンビニのホットドッグにまで大豆肉が浸透し、どこのコーヒースタ ンドにも、必ずオーツ麦のミルクOATLYのボトルが立っていた。

このオーツミルク、日本ではちょっとしたおしゃれトレンド商品だが、現地では牛乳と ほ ぼ 同 じ 価 格 の 大 衆 商 品 。家 畜 か ら 排 出 さ れ る メ タ ン ガ ス を 削 減 で き る のは豆乳と同じだが、大豆栽培のための新たな農地開発は不要。


完全に置き換え完了されたミルク。おまけに、食べ物を思わせないほど振り切ったクールなデザインのグレーの紙ボトルが、私には“人間を 超える”世界への旅の宇宙食に見えた。

スウェーデン、マルメ初のOATLYは、ナスダックに株式上場。
資産価値130億ドル!

こちらの株式投資家チャンネルの、株には詳しくてもヴィーガンフードに疎いご家族の市場レポートが面白い。




この記事が参加している募集

#SDGsへの向き合い方

14,720件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?