沢田眉香子

編集・著述業。[エルマガジン]編集長を経てフリー。『京都うつわさんぽ』(光村推古書院)…

沢田眉香子

編集・著述業。[エルマガジン]編集長を経てフリー。『京都うつわさんぽ』(光村推古書院)、『バイリンガル茶の湯BOOK』(淡交社)他。『世界に教えたい日本のごはんWASHOKU』(淡交社)でグルマン世界料理本グランプリ受賞。京都新聞美術展評、NHK関西ラジオワイド「アート情報」担当

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    京都うつわさんぽ 2015年改訂版

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    イラスト&英語でガイド 世界に教えたい日本のごはんWASHOKU

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物議を醸しつづけるアーティスト、岡本光博が驚いた、台湾の「日本神」

京都新聞 2024年9月21日掲載 ブランドバッグの生地で縫ったバッタ『バッタもん』、人気キャラクターが水に浮かぶ『ドザえもん』など、商標、著作権や表現の自由を考えさせる作品をつくる岡本光博。2005年に台湾・高雄でのプロジェクトを映像と写真で振り返る。 滞在制作に赴いた岡本は、終戦まで約50年続いた日本統治時代に建てられた神社の石燈籠の遺構を見て興味をひかれ、復元を提案する。占領を美化する行為だという反発は予想できたが、大々的に報道され、殺害予告まで受けた。それでも実現

    • エリザベス・ペイトン:daystar 白露@両足院で感じた、「現代アーティストをおもてなしできる職人がいる京都」の誇らしさ

      「外国人アーティストが寺で展示」の“見せ物感”よ、さようなら まるで白日夢のよう。 京都がやっと国際的で現代的な美術都市になってきた。いや、そうであった時期もあったのだが、昭和の長い眠りから醒めて、時代の変わり目がやってきたことを、酷暑のなか感じた展覧会だった。 エリザベス・ペイトンというと、今さらご紹介の必要のない人気アーティストであるが、その約7年ぶりの個展が、京都の禅寺・両足院で開催された。 数々のコンテンポラリーアートの展示をおこなってきた両足院だが、柱に釘が打

      • 「美しい春画」を見て、ハスラーアキラの詩を読み返す。裸で平和を考えようや

        このテキスト、先に書いた春画展レビューの1段落でしたが、「ハスラーアキラの話が唐突やで」と指摘されたので、この段落を別の投稿に分けました。 ハスラーアキラの「売男日記」の一節を胸に、春画を見よ 「美しい春画展」に出品された上品な春画に横溢するのが、エロよりも「平和な感じ」であることに、心がホッとしているのに気づいた。 だいたい、普段隠してる「実」や「具」を、安心してほっぽり出せるシチュエーションが、平和でなければ、なんなのか。 そういうことを書いた一節どっかにあったな、

        • コミュニケーションに開く陶、木田陽子展

          京都新聞 2024年 9月7日掲載 ほぼ同寸で並んだ10点の陶の彫刻。釉薬ではなく土を塗って本焼成した素朴な風合いだ。窪み、盛り上がり、カットが不規則に組み合わさり、それらが丸みでまとめられている。有機的な形は、小動物のようにも、大きな植物の種にも見える。 文字をかたどった、半具象の陶オブジェ 一見、抽象的なオブジェ陶のようだが、木田陽子が取り組むのは、文字をかたどった半具象の陶作品だ。今回は全てアルファベットの「m」をモデルにしている。言葉にならない鼻歌「mmm…」を

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        • stop making ZEN:art in Kyoto
          9本
        • SDGs✖️食 雑誌連載まとめ
          20本
        • 能あそび
          0本

        記事

          「美しい春画」展は、女も男も美しい。睦み合う裸の「美人画」パラダイス。

          いやー、不景気には裸が一番だわっ 、、、と一人ごちながら、細見美術館 「美しい春画-北斎・歌麿、交歓の競艶-」報道内覧会へ。ほらやっぱり、すんごい人の入り。みんな気持ちはおんなじだね(笑)。 8年前は「勇気」、今回は「美しさ」の春画展 細見美術館での春画展といえば、8年前。 「猥褻か、芸術か」と、スキャンダラスな開幕だったが、開けてみたら連日行列ができる大賑わい。列が道路を超えて疏水の橋まで続いている日もあって、「春画展、お並びの方こちらにお願いします」と、でっかい声と

          「美しい春画」展は、女も男も美しい。睦み合う裸の「美人画」パラダイス。

          堀井ヒロツグ展「身体の脱ぎ方」。関係は、まとわる言葉を脱いでゆく

          京都新聞 2024年6月22日掲載 若い男性二人が二重写しになっている写真。背景はホテルの部屋、夜の公園。一人は堀井ヒロツグ。もう一人は堀井と親密な関係にある男。「ロマンチックな関係」の記録かと邪推したが、写真は長時間露光でシャッターを開放し、交互にカメラの前に行って撮影された。重なって見えている二つの体は、実際には接触していない。 多様性の時代と言われ、人の関係性を定義する言葉は、今や数多い。しかし、堀井は、自分と「彼」との間にある親密さと距離感は、社会にあるボキャブラ

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          日本では流行らなさそうなsex用語policule。一瞬、港区女子のことかと思った

          ニール・ブレナンのトークの相手として、久しぶりにアメリカのコメディ界の波乱万丈ガール、マーガレット・チョウの元気な話が聞けてコーフンした。この番組、心理セラピーのスポンサーがついているようで、有名人たちに精神的な葛藤について聞くことが多い。別の回で、トレヴァーノアが、自身のADHDと芸風について語っていて、興味深かった。 ここで、マーガレットが自身のパートナーシップや性遍歴を語る中で「polycule(ポリキュール)」という言葉が出てきたので調べてみた。 この言葉は 、一

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          民藝と生活工芸ブームが生んだ、「作家ものの実用品」というジャンルは、民具を作家作品としてつくりなおす文化的な「アップサイクル」かもしれない

          京都新聞 2024年5月25日掲載  陶芸家の工房の古民家内のギャラリーでの、工芸作家三人展。金属に微妙な風合いを表現する金森正起。繊細でゆらぎのある吹きガラス作品の小澄正雄。無垢であたたかな木の質感を活かす木工の川合優。 それぞれの素材と技を寄せた合作も展示。木枠に色ガラスの柵をはめた虫籠は小澄と川合、ガラスの持ち手をつけた銀メッキの水桶は小澄と金森の作品だ。 見ているだけで、使った時の気持ちよさが感じられる 金森は川合との合作で、車輪と引き手を、鉄を鍛えてつくった

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          映画「ザ・メニュー」にチラ見えした、ガストロノミー界でオンナの居場所はどこか?問題

          美食=「男のエゴを食べさせられている」問題 去年、グルメ界のセレブ女史が来日した。来店されたことが自慢になるような重鎮だったので、ご接待で有名レストランに引きまわされた。連れて行かれた店で、さぞかし鼻息を荒くした料理人達からドヤった料理責めにあったのだろう。やっとのこと落ち着ける環境に休むことができた時に、「男のエゴを食べさせられたわ」と打ち明けられ、深いため息をつかれたとの由。ご愁傷様でござります。 セレブ女史を苦しませた、ガストロノミー界=「男のエゴの世界」が、高解像

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          そう来たか!の衝撃が走った、「シン 東洋陶磁」展

          陶芸の話を振ると「やきものって解んないんですー」と逃げようとする人がほとんどだ。逆に「李朝がわかる女になりたいんです」と意識の異様に高い女性も少数いるが。 両方のやきもの反応について、必ずおすすめしていることがある。「大阪市立東洋陶磁美術館に行くしかないでしょう」 20年前にうつわの記事を書くことになり、勉強のためにワタシがまず取った行動が、ここの会員になって、時間を見つけて通うことだった。誰からのアドバイスでもなかったが、後から思えば、これはだいぶラッキーだったと思ってい

          そう来たか!の衝撃が走った、「シン 東洋陶磁」展

          村上隆を「嫌い」と言うことで、「良きアートファン」の顔する人が多いのが問題じゃね?

          村上隆のことを「嫌い」「俺は認めない」などと言っておけば、アートがわかったような、「良識ある」アート好きであるかのような格好がつく、そんな空気はある。 私も漫然とその空気の中にいた。 自分の展覧会の開会挨拶でカネの話に終始する、そして「ワタシは世界で評価されているのに、日本では嫌われている」と、面白くないネタを繰り返す村上さんも村上さんだが、ワタシには、村上さんにそう言わせている「空気」の方が大問題なのではないかと思えてきた。 村上さんがデビュー期に大阪の鶴橋のラブホテル

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          「伝統」がしんどい

          「縮小社会の文化創造」(思文閣出版 山田奨治編)に寄稿したコラムを加筆。日文研の同研究会に参加(ぶっちゃけお邪魔)させていただきました。 「伝統工芸品を使いましょう」という「お願い」 二〇二二年一〇月十九日の日経新聞の記事に、「伝統的工芸品産業振興議員連盟」が全国の二百品目以上を伝統的工芸品に指定し、展示や販促などを後押ししてゆくとあった。議連の会長の逢沢一郎氏は「各省庁に向けて、海外に行くときの手土産も伝統的工芸品にするよう発信している」という。 それで議連の皆さんは

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          さくらいともか展「はりこのほとけ」の、厳粛さとユーモア

          京都新聞2024年3月30日掲載 郷土玩具でおなじみの張子人形は、粘土などでつくった型に紙を貼り付けて固め、割って中の型を抜いて着色してつくる。軽くて中身は空っぽ。「張子の虎」は、見掛け倒しのたとえでもある。 さくらいともかの展覧会「はりこのほとけ」に並ぶのは、持仏のような小さなサイズのものや、顔や頭部がない不完全な姿、欠けた部分の像。のっぺりとして衣紋も単純化され、印を結んだ手は、緊張感よりもゆるやかさが感じられる。色は経年変化した青銅や木のように黒光りしている。興福寺

          さくらいともか展「はりこのほとけ」の、厳粛さとユーモア

          The World of Kyoto-Sushi, Where Pre-Nigiri Traditions Live On

          Have you ever heard of the "edible craft" of sushi called "kyo-sushi(Kyoto sushi)" ? "Izuju" is located under the stone steps of Yasaka Shrine in Gion, Kyoto. As soon as the restaurant opens, customers rush in one after another to order th

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          「京都」が生き続けている小宇宙、京寿司

          何度書いても書き足りないね、京寿司のことは。 「外資系」(京都では、東京資本のこともこう呼ぶ)に住、食環境をアミューズメントパークにされて、ヘトヘトな京都だが、京寿司には、折り詰めというタイムカプセルに護られた「ちょっと前の京都」がある。 ひとつひとつのネタに注がれる、気の遠くなるような細やかな手間。映えより滋味を最優先する料理であり、派手さのないルックスと味ながら、手間は省けないので、お値段はそれなりにする。アミューズメントパークの客には全くアピールしない料理だが、細々と

          「京都」が生き続けている小宇宙、京寿司

          MtK「旅と夢」展。旅情なき「遠くへ行きたい」

          京都新聞 2024年3月9日掲載 小さなモニタにうつる映像。そこに鳥が横切ると、センサーが反応し、レトロなおもちゃのピアノが鳴る。サウンド・アーティスト、すずえりの作品だ。時空を超え、メディアと現実の間をまたいでインタラクションが生じ、懐かしい音が響く。 大和田俊は、石灰石にクエン酸を染み込ませ、鉱物が溶ける音を増幅させ、いま我々が立つ大地とそれが結晶した時間を音として感じさせる。小林椋は、SF小説の一節からインスパイアされたオブジェを制作。昔なら未来的だと感じただろう、機

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