沢田眉香子

編集・著述業。[エルマガジン]編集長を経てフリー。『京都うつわさんぽ』(光村推古書院)…

沢田眉香子

編集・著述業。[エルマガジン]編集長を経てフリー。『京都うつわさんぽ』(光村推古書院)、『バイリンガル茶の湯BOOK』(淡交社)他。『世界に教えたい日本のごはんWASHOKU』(淡交社)でグルマン世界料理本グランプリ受賞。京都新聞美術展評、NHK関西ラジオワイド「アート情報」担当

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    京都こっとうを買いに (えるまがMOOK)

    沢田 眉香子,山口 紀子
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    京都うつわさんぽ 2015年改訂版

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    イラスト&英語でガイド 世界に教えたい日本のごはんWASHOKU

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    ランディー・チャネル宗榮のバイリンガル茶の湯BOOK

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桑田卓郎キュレーション「PLAIN」展。膨大なリソースと対話できる作家の強みを見た。

2024年10月12日 京都新聞掲載 荒々しく隆起した塊に覆われた陶オブジェは、桑田卓郎の作品。釉薬が縮れた「梅花皮(かいらぎ)」や、土の中で石が発泡した「土はぜ」という、茶人や好事家が愛好してきたやきものの景色を誇張することで、抽象彫刻のようなフォルムを生み出した。驚くべき形象は、コンテンポラリーアート、ファッションの世界にも刺激を与えている。その桑田が、自身と一脈通じる作家5人を選んだ。 田中陽子は、ガラスと磁器を融合させる手法を編み出し、白と透明な層の重なりから、清冽

    • 何度も生き返り、永遠の憧れであり続ける。GUCCI COSMOSに「火の鳥」をみた

      グッチは昭和のオカンのお宝だった。なじみ深いグリーンと赤とGGマーク。GUCCI COSMOSを見ると、「今のグッチはそんなんじゃないですよ」ということがわかるだけでなく、何世代もの女性の憧れであり続けるための戦略も開示されている。 ブランドは、一般人にとって謎めいたビジネスだ。 「ブランドだから高い」、「ブランドだからかっこいい」と、うっかり信じしまう理由は何なのか。 展覧会を見ると、視覚効果に対して惜しげもないリソースが投入されていることがわかる。そうした費用に対して「憧

      • 高級ブランド通りになることを良しとしない。祇園は、イケズでどこまで生き延びれるのか

        情緒なんか微塵もなくなった祇園花見小路。 にやけた観光客の雑踏をかき分けて、怒った顔で歩いている舞妓さんが、動物園の客に揉まれる珍獣に見える。 もう誰にも行くことをお勧めできないエリアになった。 それでも、地元の人たちは「ここは歓楽街で、生活の場」とあらためて主張。高級ブランドであっても、街にそぐわない業種の出店は歓迎しない。 年間5000万人の観光客を吸い寄せる京都の「希少地」への出店ニーズは高い。それと、「伝統と格式」という街のステイタス感を共に満たすあり方はあり得る

        • デジタルでは残せない、中尾美園「模写」がうつす時間、記憶、愛着

          開催中の個展「こまぎれの色どりたち」では、中尾は母親の嫁入りダンスの中身の模写を出品している。 10年近い前、彼女にインタビューした記事を見返してみた。中尾の制作への気持ちやスタンスはこの時と変わっていない。じっくりと対象に向かいつづける「模写」の仕事の気の長さと、そこから持続して彼女が得ている充実感の深さを考えた。 描く対象として加わったものは、5歳になった娘の成長がある。 娘が絵や折り紙、肌身離さず持っているタオル。過去と同様、目の前でみるみる成長してゆく娘の身辺も、や

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        • stop making ZEN:art in Kyoto
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        • SDGs✖️食 雑誌連載まとめ
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        • 能あそび
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        記事

          物議を醸しつづけるアーティスト、岡本光博が驚いた、台湾の「日本神」

          京都新聞 2024年9月21日掲載 ブランドバッグの生地で縫ったバッタ『バッタもん』、人気キャラクターが水に浮かぶ『ドザえもん』など、商標、著作権や表現の自由を考えさせる作品をつくる岡本光博。2005年に台湾・高雄でのプロジェクトを映像と写真で振り返る。 滞在制作に赴いた岡本は、終戦まで約50年続いた日本統治時代に建てられた神社の石燈籠の遺構を見て興味をひかれ、復元を提案する。占領を美化する行為だという反発は予想できたが、大々的に報道され、殺害予告まで受けた。それでも実現

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          エリザベス・ペイトン:daystar 白露@両足院で感じた、「現代アーティストをおもてなしできる職人がいる京都」の誇らしさ

          「外国人アーティストが寺で展示」の“見せ物感”よ、さようなら まるで白日夢のよう。 京都がやっと国際的で現代的な美術都市になってきた。いや、そうであった時期もあったのだが、昭和の長い眠りから醒めて、時代の変わり目がやってきたことを、酷暑のなか感じた展覧会だった。 エリザベス・ペイトンというと、今さらご紹介の必要のない人気アーティストであるが、その約7年ぶりの個展が、京都の禅寺・両足院で開催された。 数々のコンテンポラリーアートの展示をおこなってきた両足院だが、柱に釘が打

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          「美しい春画」を見て、ハスラーアキラの詩を読み返す。裸で平和を考えようや

          このテキスト、先に書いた春画展レビューの1段落でしたが、「ハスラーアキラの話が唐突やで」と指摘されたので、この段落を別の投稿に分けました。 ハスラーアキラの「売男日記」の一節を胸に、春画を見よ 「美しい春画展」に出品された上品な春画に横溢するのが、エロよりも「平和な感じ」であることに、心がホッとしているのに気づいた。 だいたい、普段隠してる「実」や「具」を、安心してほっぽり出せるシチュエーションが、平和でなければ、なんなのか。 そういうことを書いた一節どっかにあったな、

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          コミュニケーションに開く陶、木田陽子展

          京都新聞 2024年 9月7日掲載 ほぼ同寸で並んだ10点の陶の彫刻。釉薬ではなく土を塗って本焼成した素朴な風合いだ。窪み、盛り上がり、カットが不規則に組み合わさり、それらが丸みでまとめられている。有機的な形は、小動物のようにも、大きな植物の種にも見える。 文字をかたどった、半具象の陶オブジェ 一見、抽象的なオブジェ陶のようだが、木田陽子が取り組むのは、文字をかたどった半具象の陶作品だ。今回は全てアルファベットの「m」をモデルにしている。言葉にならない鼻歌「mmm…」を

          コミュニケーションに開く陶、木田陽子展

          「美しい春画」展は、女も男も美しい。睦み合う裸の「美人画」パラダイス。

          いやー、不景気には裸が一番だわっ 、、、と一人ごちながら、細見美術館 「美しい春画-北斎・歌麿、交歓の競艶-」報道内覧会へ。ほらやっぱり、すんごい人の入り。みんな気持ちはおんなじだね(笑)。 8年前は「勇気」、今回は「美しさ」の春画展 細見美術館での春画展といえば、8年前。 「猥褻か、芸術か」と、スキャンダラスな開幕だったが、開けてみたら連日行列ができる大賑わい。列が道路を超えて疏水の橋まで続いている日もあって、「春画展、お並びの方こちらにお願いします」と、でっかい声と

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          堀井ヒロツグ展「身体の脱ぎ方」。関係は、まとわる言葉を脱いでゆく

          京都新聞 2024年6月22日掲載 若い男性二人が二重写しになっている写真。背景はホテルの部屋、夜の公園。一人は堀井ヒロツグ。もう一人は堀井と親密な関係にある男。「ロマンチックな関係」の記録かと邪推したが、写真は長時間露光でシャッターを開放し、交互にカメラの前に行って撮影された。重なって見えている二つの体は、実際には接触していない。 多様性の時代と言われ、人の関係性を定義する言葉は、今や数多い。しかし、堀井は、自分と「彼」との間にある親密さと距離感は、社会にあるボキャブラ

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          日本では流行らなさそうなsex用語policule。一瞬、港区女子のことかと思った

          ニール・ブレナンのトークの相手として、久しぶりにアメリカのコメディ界の波乱万丈ガール、マーガレット・チョウの元気な話が聞けてコーフンした。この番組、心理セラピーのスポンサーがついているようで、有名人たちに精神的な葛藤について聞くことが多い。別の回で、トレヴァーノアが、自身のADHDと芸風について語っていて、興味深かった。 ここで、マーガレットが自身のパートナーシップや性遍歴を語る中で「polycule(ポリキュール)」という言葉が出てきたので調べてみた。 この言葉は 、一

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          民藝と生活工芸ブームが生んだ、「作家ものの実用品」というジャンルは、民具を作家作品としてつくりなおす文化的な「アップサイクル」かもしれない

          京都新聞 2024年5月25日掲載  陶芸家の工房の古民家内のギャラリーでの、工芸作家三人展。金属に微妙な風合いを表現する金森正起。繊細でゆらぎのある吹きガラス作品の小澄正雄。無垢であたたかな木の質感を活かす木工の川合優。 それぞれの素材と技を寄せた合作も展示。木枠に色ガラスの柵をはめた虫籠は小澄と川合、ガラスの持ち手をつけた銀メッキの水桶は小澄と金森の作品だ。 見ているだけで、使った時の気持ちよさが感じられる 金森は川合との合作で、車輪と引き手を、鉄を鍛えてつくった

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          映画「ザ・メニュー」にチラ見えした、ガストロノミー界でオンナの居場所はどこか?問題

          美食=「男のエゴを食べさせられている」問題 去年、グルメ界のセレブ女史が来日した。来店されたことが自慢になるような重鎮だったので、ご接待で有名レストランに引きまわされた。連れて行かれた店で、さぞかし鼻息を荒くした料理人達からドヤった料理責めにあったのだろう。やっとのこと落ち着ける環境に休むことができた時に、「男のエゴを食べさせられたわ」と打ち明けられ、深いため息をつかれたとの由。ご愁傷様でござります。 セレブ女史を苦しませた、ガストロノミー界=「男のエゴの世界」が、高解像

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          そう来たか!の衝撃が走った、「シン 東洋陶磁」展

          陶芸の話を振ると「やきものって解んないんですー」と逃げようとする人がほとんどだ。逆に「李朝がわかる女になりたいんです」と意識の異様に高い女性も少数いるが。 両方のやきもの反応について、必ずおすすめしていることがある。「大阪市立東洋陶磁美術館に行くしかないでしょう」 20年前にうつわの記事を書くことになり、勉強のためにワタシがまず取った行動が、ここの会員になって、時間を見つけて通うことだった。誰からのアドバイスでもなかったが、後から思えば、これはだいぶラッキーだったと思ってい

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          村上隆を「嫌い」と言うことで、「良きアートファン」の顔する人が多いのが問題じゃね?

          村上隆のことを「嫌い」「俺は認めない」などと言っておけば、アートがわかったような、「良識ある」アート好きであるかのような格好がつく、そんな空気はある。 私も漫然とその空気の中にいた。 自分の展覧会の開会挨拶でカネの話に終始する、そして「ワタシは世界で評価されているのに、日本では嫌われている」と、面白くないネタを繰り返す村上さんも村上さんだが、ワタシには、村上さんにそう言わせている「空気」の方が大問題なのではないかと思えてきた。 村上さんがデビュー期に大阪の鶴橋のラブホテル

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          「伝統」がしんどい

          「縮小社会の文化創造」(思文閣出版 山田奨治編)に寄稿したコラムを加筆。日文研の同研究会に参加(ぶっちゃけお邪魔)させていただきました。 「伝統工芸品を使いましょう」という「お願い」 二〇二二年一〇月十九日の日経新聞の記事に、「伝統的工芸品産業振興議員連盟」が全国の二百品目以上を伝統的工芸品に指定し、展示や販促などを後押ししてゆくとあった。議連の会長の逢沢一郎氏は「各省庁に向けて、海外に行くときの手土産も伝統的工芸品にするよう発信している」という。 それで議連の皆さんは

          「伝統」がしんどい