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絵本作家、Y


私は、絵本作家、Yの大ファンである。

絵本作家、Yが初めて絵本を作ったのは、彼が4歳の頃。

『がんばれかじをけせしょうぼうしゃ』

はい、こちらは消防署。
遠くで火事が起きています。

はい、わかりました。
今すぐ出かけます。
今日はこの消防車で出かけよう。
地図で調べよう。

よしあそこだ。
ちょっとだけ火事が見える。
急ごう。

消防隊員がエンジンをめっちゃ早くしました。


『がんばれけがにんいそげきゅうきゅうしゃ』

けが人のところへ急ぎます。
ピーポー
ピーポー
救急車がスーパーアンビュランスを呼んできました。
けが人のところへ急ぎます。
さぁ、どっちの道でしょうか。

こっちだー!
おっと気がつきました。
山道に住んでいる子がけがしたのです。
おっと気がつきました。
今度は救急車くんがいなくなったのです。

おっとキキキー!
おっとキキキー!

そして家の人が飛び出して来ました。
そして「どこをけがしましたか」と言うと、
「ハサミで切っちゃいました」
「それは大事件だ。急ごう。大きい病院へ行った方がいいか」


『ちびっこバスのながいいちにち』

ちっちゃいバス。
あんなのあったっけ。
後ろからキャンピングカーがついてきます。
どこにいくんだろう?

クジラがぷかぷか浮かんでいます。
おひさまがニコニコ笑っています。
今日も天気になりそうですね。

新幹線が横をとおり過ぎていきます。


アシスタント母さんは、どの作品も愛おしくてたまらず、
必死に書き留めた。

だって、絵本作家、Yは、1度しか物語を話してくれないからね。

もう、必死でしたよね、アシスタント母さんは。

5歳になった絵本作家、Yの絵本の作り方は、

まず、

タイトルから始まる。

彼の絵本のタイトルは魅力的なものばかり。

1しごとがわからないケートラ
2どろにはまったバス
3うんこうしんかんせん
4うわーおおきいな
5でんしゃがガタンゴトン
6しごとをやすむトラック
7こわれそうなごみしゅうしゅうしゃ
8みちがわからないスポーツカー
9おんがくがすきなトラック
10ちっちゃいくるま
11がんばれおもたそうなひこうき
12どろぼうをつかまえろパトカー
13こけそうなくるま
14はやすぎてぶつかりそうなしょうぼうしゃ
15うわーはやいなとっきゅうれっしゃ
16かいぞうじどうしゃ
17ジープのぷぷ

母は、あまりにもタイトルが素敵だから、必死にメモったことを覚えているよ。


しかし、

タイトルだけで満足してしまった

絵本作家、Y。

中には、絵本にしてくれた作品もある。


『ドキドキレース』

ある朝、ちっちゃいトラックは困っている自動車を見つけました。
雪があるので、道路は見えません。
レッカー車も雪で埋もれてるし、

なんてこった!

雪はやみました。
ちっちゃいトラックと困っていた自動車はどっかいきました。
誰かに助けられたんでしょうか。

心配している自動車は、ドキドキしていました。
でも、スポーツカーも見ていたので、
今日のレースはドキドキレースになってしまいました。

ドキドキレースになってしまったから、
気にして運転できない。

トラックは道路の上を通り、
雪はもうなくなったんでしょうか。

明日はサンタクロースが来るんだよねぇ。

いよいよレースが始まりました。

気にしないんだ。
僕ったら気にしないんだってば!
僕ったら気にしないんだってば!
僕ったら気にしないんだってば!

ほんとにドキドキレースだ。

一回も優勝したことがありません。
今日のレースは勝つかな。
ドキドキしてるし。
あのくらいいったから大丈夫かな。
一応、もう一回言っておくか。

やっぱやめた。
やっぱドキドキレースの名前やめた。

ちょんまげレース!

途中で空飛ぶ船見ないかな。
飛行機渋滞しないかな。
そしたら目が回って運転に夢中にできそう。
僕っていつか空飛びたいな。
そしたら眺めもいいし。

ぶーんぶーん。

アシスタント母さんは、彼が話してくれる物語を
相変わらず、必死に書き留めた。

5歳だから、ちょっと、レベルが上がっており、
んまー

文が、長いのよぉ。

『ふゆをこすかぶとむしのようちゅう』

絵本作家、Yは、自分で字を書くようになった。
自分で書いたもんだから、
読み返しても、

なんて書いているのか、

ワカラナーイ。

たぶん、

カブトムシが、しつこいカラスに追いかけられたけど、逃げて、
ついにたまごをうみました。

と、いう物語。

文章が、きっと絶対素敵なはずなんだろうけど、

なんて書いているのか、

ワカラナーイ。


現在7歳になった、絵本作家、Yの新作。

ある日の朝。
男は、

で、物語は止まっている。

止まって、

もうかれこれ

数ヶ月が経とうとしている。


なになに?
男は一体何したっていうのよ。

気になるやん。
気になるやんか。

この物語の男が一体何をしようとしているのか、


それは、絵本作家、Yにしか


ワカラナーイ。


っていうか、

もはや

もう、

ワスレテール。


物語の男よ!

いつか、あなたに会えるその時が来たら、

この、noteに綴るから、

その時まで、まぁ、

どこかでのんびりコーヒーでも飲んでておくれ。

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