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ほしのかげ

雲の影にぷかぷかと星の光が滲んでいる。
この光が何億光年前のものとかそんなことはどうでもよくって
今この景色を目に焼き付けるのは、とても心に痛い。

人生をフェードアウトさせるようにと、肌に深く食い込ませた刃は
茶色く濁った傷跡となり、フェードアウトではなく本当はドロップアウトしていただけの人生の証明として、私の体中に残っている。

「死ねなかった」それだけの事実だ。
本当は死ぬ勇気なんてなかったんでしょ、と言われたけれど
私の死にたさなんて他の人にわからなくたっていい。
どうせ他人は他人なのだから、わかりあう必要なんてないのだ。

星の影をみている。といっても私は乱視だから見えているのは陰ではなく滲んだ光だ。
雲がかかるとその陰は滲んでいく。そして消える。
雲が切れて空が晴れたなら、また星は輝いて私の目に届くときには陰として滲んでいく。

一番暗いのは夜明け前の朝だよと、尊敬していた人に言われた。
それは中学生の頃だったか。

ねえ先生、わたしの夜は明けるのかな。
あの日から10年近く立っても、まだ夜は明けていないと嘆く、夜の中。



三重県で、シンガーソングライターをしています。代表曲は「ひかりとつき」など。サポートや投げ銭でいただいたお金は制作機材やサイトなどの維持費充てています。応援よろしくどーぞ!!!