#短編小説
【よみもの】夜を超えろ
シングルの薄っぺらい布団に残った香り。
夜遅く、毛布を被って思いっきり息を吸う。むせるくらいに腹にちからをこめて。
鼻をくすぐるのはもちろん自分の匂いではなく、連泊していった想い人のものだ。
朝が苦手だから、日がよく入る窓辺に頭を向けられるように枕を配置する。今日も月明かりがこの部屋を照らしている。きのうはふたつの影が重なっていたけれど、今日は自分の影ひとつ。
起き上がって窓辺に寄り添う。昨
シングルの薄っぺらい布団に残った香り。
夜遅く、毛布を被って思いっきり息を吸う。むせるくらいに腹にちからをこめて。
鼻をくすぐるのはもちろん自分の匂いではなく、連泊していった想い人のものだ。
朝が苦手だから、日がよく入る窓辺に頭を向けられるように枕を配置する。今日も月明かりがこの部屋を照らしている。きのうはふたつの影が重なっていたけれど、今日は自分の影ひとつ。
起き上がって窓辺に寄り添う。昨