Great vintage wine challenge! CHATEAU TALBOT 1982

「ワイン用アートの物語」では、いかにしてワイン用のおまもりアートが誕生したのか、その経緯を書きました。
この時、きっかけとなったワインがシャトー・タルボ 1982年というワインです。ボルドーの4級シャトーですがその評価は過小評価ではないかと云われることがしばしばある、というワイナリーです。そして1982年は当たり年で、パーカーポイント*でも96点を獲得しています。

*パーカーポイント:米国の著名なワイン評論家のロバート・パーカー氏が考案したワインの評価システム。100点が満点で、96点はかなりの高得点である。

チャレンジの内容

2020年の夏頃、シャトータルボ1982年のエネルギーをおまもりアートにしたところ、ワイン好きの知人が面白がっていろいろなワインにアートを巻き付け、Before/Afterを比較したところ、ワインは例外なく影響を受けて風味が変わったと教えてくれました。
そして、私を2回めのワイン会に招いて何種類かのワインを飲ませてくれました。

その中で、アートをシャトーベルナドット 2004年に巻きつけた物を飲んだところ、その風味がシャトー・タルボ 1982年によく似たものになったと感じました。ただ、私以外にシャトー・タルボ1982年を飲んだことのある人がいなかったため、私の「個人の感想」なのか、他の人も同じように感じるのか検証したいと思いたち、今回のチャレンジを企画しました。即ち、再度シャトー・タルボ 1982年のアートをシャトーベルナドット 2004年に巻き付けて、シャトー・タルボ1982に近づける再現ができるか検証しました。

シャトー・タルボ 1982年に似たワインとなったシャトーベルナドット 2004年について、調べたところ、シャトーベルナドットの所在地はボルドーオー・メドックと呼ばれるジロンド川の左岸地域にあり、シャトー・タルボが在るサンジュリアン村と地域的には近隣にあります。

また、ブドウの種類による混合比率を見ると、シャトー・タルボはカベルネ・ソーヴィニョン66%、メルロ26%、プティ・ヴェルド5%、カベルネ・フラン3%という比率。
シャトーベルナドットは組成の比率こそ開示されていませんが、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドとなっており、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローを主体とし、カベルネ・フランとプティ・ヴェルドが少量混ざっている点、典型的なボルドーワインの組成の仕方もほぼ共通していることが分かります。
つまり、ブドウの種類混合比率やテロワール(土壌・気候などの自然条件)が近ければ、近似させやすいと考えるわけです。

このような理由で、シャトーベルナドットがシャトー・タルボの風味に近づけられる、というのは理解しやすいです。
今回はさらに、同じくボルドーオー・メドックに在り、またブドウの組成がカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、プティ・ヴェルドとよく似ているシャトー・ラネッサン 2016年を使ってシャトー・タルボ 1982年のエネルギーを加えるとどのように変化するか、検証します。

検証方法


同じ種類のワインを2本ずつ用意し、片方には何も加えず、もう一方にシャトー・タルボ 1982年のエネルギーを放射するおまもりアートを巻き付けて一定時間放置し、両方のボトルとシャトー・タルボ 1982年を同時に開栓し、飲み比べる、という方法で複数人で味わい、風味の違いが感知できるか比較する、という方法で行いました。

比較したワイン:
シャトー・タルボ 1982年
シャトーベルナドット 2004年(2本)
シャトー・ラネッサン 2016年(2本)


↑左から、シャトー・タルボ1982、シャトーベルナドット2004、シャトー・ラネッサン2016

使用したおまもりアート:
G0003-002 CHATEAU TALBOT 1982

G0003-002 CHATEAU TALBOT 1982

試験に参加した人数:9名

検証作業

まず、シャトー・タルボ1982年は、40年以上経過したワインであることから、中身が腐って飲めない(ブショネ)状態であることがあり得ます。また、私が過去にシャトー・タルボ1982年を飲んだのは2013年と2014年のことであり、10年ほど前です。ですから、記憶している風味は、それから約10年経過した今日のシャトー・タルボ1982年とは異なる可能性も十分あります。ですから、シャトーベルナドット2004年にアートを巻いたものとシャトー・タルボ1982年の風味が似ていることは条件が揃わないと難しかろう、というのが事前の予想でした。

さて、テイスティングを始めるにあたって各ワインを開けるわけですが、まずシャトー・タルボ1982年を開栓しました。案の定、コルクは半分朽ちていて、ソムリエナイフのスクリューは入りましたがコルクは3つに割れてしまい、最初に引き上げた時はそのうちの2つを引き上げることができましたが、1つは中に残りました。もう一度スクリューを回し入れ、そぉっとゆっくりと持ち上げて無事抜栓できました。ここは抜栓を担当した友人の熟練の技術の賜です。
それからシャトーベルナドット2004年のアート有りと無しも続けて抜栓し、3種類のワインをグラスに注いでテイスティングを開始しました。

テイスティングの結果

1.シャトーベルナドット2004とシャトー・タルボ1982
まず、シャトーベルナドット2004について、アート有り(A)と無し(B)を比較したところ、有りの方が熟成が進んだ風味に明確に変化していることを参加者全員が認めました。アートが放射するエネルギーの影響がハッキリと風味に現れていました。
次に、アート有りとシャトー・タルボ1982(C)を比較したところ、開栓した直後の風味は殆ど差がないと感じられるほどよく似ていました。その後、時間の経過とともにワインが開いていき、風味が変わっていきましたが、(A)と(C)の差よりも(A)と(B)の差の方が大きい、ということは終始変わりませんでした。
ワインの開き具合は、やはりシャトー・タルボが最も大きく開いていき、アートを巻いたシャトーベルナドットとの風味の差がだんだん開いていきました。

2.シャトー・ラネッサン2016
次にシャトー・ラネッサン2016について、アート有り(D)と無し(E)を比較したところ、やはり有りの方が熟成が進んだ風味に明確に変化していることを参加者全員が認めました。また、シャトー・タルボ1982(C)との比較に於いては、DとCがそっくりというレベルには達しませんでしたが、(D)と(C)の差よりも(D)と(E)の差の方が大きいという結果になりました。

以上より、当初の目的であるシャトーベルナドット2004にシャトー・タルボ1982のおまもりアートを巻きつけると、シャトー・タルボ1982の風味に非常に似た風味になる、ということが複数の証人を得て証明され、成功となりました。

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