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株式投資・企業分析⑦SANKYO

 企業分析の7回目は、パチンコ・パチスロ事業を持つ「SANKYO」とします。
 ここは筆者が特に思い入れが強い企業のため、普段より密度が高くなること、ご了承ください。

 株式やっている人は、今年11月の『スマスロ』相場で注目した方も多いはず。好業績でもPER7~8倍台というお化け収益企業に迫ります。

※特記なき場合、SANKYOの決算説明書・株価指標などはマネックス証券より引用しています。

なんだこの数字?!

基本的な企業情報

東証プライム上場で、従業員数は906名。

株価チャート・2年週足
売上高・営業利益

 長らく売上高は低迷していましたが、ここ2年で急回復どころか急成長しています。(2021/3に大きく落ち込んでいるのは、新型コロナのために多くの遊技機の出荷を延期したのが理由です。)

SANKYOの事業について

 主に、「パチンコ関連事業」「パチスロ関連事業」「補給機器関連事業」となっています。セガサミーホールディングスや平和などと異なり、パチンコ・パチスロ一本足で、今のところ他の目立つ事業はないです。(ブロックチェーン事業をやっているそうですが)
 本記事では、「パチンコ関連事業」「パチスロ関連事業」の2つについて解説します。

売上構成比率。

売上の8割超!主力のパチンコ関連事業

パチンコの簡単な説明(藤商事様のIR資料より引用)

「ミドル」がパチンコホールの主役。「ライトミドル」、「甘デジ」は固定客が多い印象

 SANKYOのパチンコとしては、「エヴァンゲリヲン」「宇宙戦艦ヤマト」「アクエリオン」「機動戦士ガンダム」などのシリーズがあります。
(エヴァシリーズなどは関連会社が開発、販売していますが、ここではSANKYOとして扱います)

進撃の2021年~SANKYOの超当たり年~

 この年はとにかくSANKYOの一強でした。8月に登場の「フィーバー機動戦士ガンダムユニコーン」は高速で出玉を演出、一方でメンテナンスが楽な汎用枠でパチンコホールからもユーザーからも支持を獲得、3度の増台を行うほどの人気になり、長期稼働につながりました。

公式のTwitterより引用。負けてハズレ・・・からそれでも!で復活し脳汁全開。打ち手の心理を突く作りは、多くの中毒者を産みました。
3000FEVER、超高速の覚醒ハイパーをもう一度!ってなる。

 12月に登場した「新世紀エヴァンゲリオン~未来への咆哮~」は初号機を彩った専用枠で登場、こちらはユニコーンを超える大当たり機種となりました。
 ここ10年ほどエヴァンゲリオンのパチンコは「つまらない」「マンネリ」と言われ続け、ホールからも大量導入はされるもすぐに客が飛ぶ・・・という悪循環でした。昔はエヴァ専門店なんてワードも聞き、80台や100台・・・ってお店もあったのですが。
 専用枠で装いを鮮やかに、大当り後はレバーを使うギミック、スマホなどと同時に操作しやすく、長時間打っていても疲れにくい専用のハンドル(画像中央下)…打ち手からの強い支持を集めて現在のホールの主役機種となっています。

筆者撮影。近くで見ると雰囲気に圧倒されます

 少し前になりますが、2017年、2020年にライトミドルで高い継続率を誇る「戦姫絶唱シンフォギア」シリーズで大ヒット。特にこの時期不作だったパチンコを支え、コロナ後のホールの稼働トップを誇りました。ライトミドルでもヒットを飛ばしたことで、SANKYOの機種は絶大な信頼を集めていきます。

p-world様より引用。パチンコで話題になったことで、
元のコンテンツまでファンが増える事例は久々に見ました。

 実際、上方修正の説明でも、「2022年3月期に販売したパチンコ機「フィーバー機動戦士ガンダムユニコーン」、「新世紀エヴァンゲリオン~未来への咆哮~」がパチンコパーラー及びファンからの高い支持を得てロングラン稼働となり、と説明しています。この2機種で、大きくブランド価値は向上したと言えるでしょう。
 ライバルの機種を軒並み押しのけ、300万近い中古価格だったミドルのエース、「牙狼」を半年で4万円程度まで落とし、まさに飛ぶ石を落とす勢いでした。しかし…

不振の2022年~SANPAIを出し続ける~

 半導体不足で供給不足、部材によっては100倍単位で値段が変わっている(ダイコク電機様のIRより)中で、巨大メーカーの強みとブランドを活かし、パチンコ機は16.4万台の販売だった前期から、2022年度は25万台の販売予定、パチスロ機は前期の2.4万台から4万台と販売台数を大きく伸ばしました
 しかし、今年の新台は、どれも長期稼働どころか、短命に終わる機種が多かったです。パチンコ機の稼働平均値を上回っている期間を「稼働貢献週」と呼び、●●週とカウントするのですが、販売台数が多いものをまとめていくと・・・

  • Pフィーバー革命機ヴァルヴレイヴ2H 5000台 7週

  • Pフィーバーアイドルマスター 39フェス 7000台 7週

  • PフィーバーダンまちF 2.2万台 5週

  • PフィーバーからくりサーカスV 3.3万台 18週

  • Pフィーバー戦姫絶唱シンフォギア 黄金絶唱N 3万台 9週(ダイコク電機のSISデータだと11週)

  • Pゴジラ対エヴァンゲリオン G細胞覚醒L 5万台 貢献中(12月に出たばかり)

※g-net様より引用、ダイコク電機のSISデータは業界関係者様のツイッターより。

 前述した「フィーバー機動戦士ガンダムユニコーン」は68週貢献中、「新世紀エヴァンゲリオン~未来への咆哮~」は48週貢献中と1年以上のロングラン稼働となっていますが、現段階ではからくりサーカスの18週を超えるヒットを出せていません。シンフォギアも初めてコケてしまい、ダンまちに至っては爆死に近い形に・・・他のメーカーもガッカリ台を連発してたのですが・・・

p-world様より引用。Pダンまちはヘソにクルーンがあるせいで全然回りません。筆者は今年最大のクソ台だと思っています・・・48台導入した近隣店がかわいそう。

 果たして、来年も同水準の販売台数を保てるか?と言われたら、筆者は疑問符を付けざるを得ないです。ましてや成長だと・・・
 大手パチンコホールの巨大店に集約されている傾向があるので、7000店舗を割り込んだパチンコ店の減少傾向でも思ったよりは設置台数は減っていないのですけどね。

規制の影響で長らく低迷も、スマスロで伸び期待のパチスロ機関連事業

パチスロの簡単な説明

パチンコホールの主役は「ジャグラー」などのAタイプ、ならびにAT機。

 お店が6段階の設定を決め、客がスロットを回す。パチンコより設置台数は少ないものの、お金を吸い込む速度が段違いで、パチンコホールは儲けやすい。一方、高設定による出玉の演出などが容易なため、プロや若い層に好まれる(専業スロッターなどと言うことも)。

 新店舗のグランドオープンや力の入れる日には、パチスロに高設定を投入し、出玉をアピールすることで客の定着を狙うのは定石と言えるでしょう。上記の例ではパチスロ480台だけで約1200万円の赤字営業をしています。

規制緩和が続くパチスロ市場

 特に2018年末から始まった規制は厳しすぎるもので、2020年、2021年、2022年に立て続けに緩和が行われ、特に枚数上限の見直しで「2400枚までしか出ないから5万円突っ込んだら絶対勝てない」という状況はほぼなくなりました。

セガサミー様のIRより引用。

 厳しい規制と、その緩和がコロコロ続いた影響で腰を据えて開発することが難しかったですが、ようやく6.5号機、スマスロで納得のいく開発ができるようになってきました。

SANKYOのパチスロは上り調子

 他社が6.5号機でヒットを出す中、SANKYOも7月の「パチスロ アクエリオン ALL STARS」を出し、稼働は落ちてきたものの23週貢献中と中ヒット。
 さらに、スマスロ第一弾として「L革命機ヴァルヴレイヴ」を出し、その圧倒、爆発的な出玉力はTwitterのトレンド入りを果たしました。来年には再販の話題(5000台?)もあり、パチスロにおいてSANKYOはサミーやユニバーサルエンターテインメントの後塵を拝すことが今まで多かったのですが、業界をリードする機種がようやく出てきました

円形の目立つ箇所にスマスロヴァルヴレイヴ!主役扱いです。

おわりに

 上方修正やスマスロ相場をリードして話題を呼びましたが、今のところは2021年のユニコーンやエヴァで築いたブランド力で強い販売をリードできたのが実情です。株主としては機械の台数さばければ業績良くなるのですが、それが次回以降も続くかはそのブランド力にも大きくかかわってきます。(セガサミーの回でも述べたことですが、北斗の拳の6号機で大コケしたことで次回作の販売台数は6割超の減少と、大きく落ち込んだ例があります。)
 このペースを守るためにも、短期的には現在ホールに大量導入されている「ゴジラ対エヴァンゲリオン」などのSANKYO系列機種や、中期的にはスマスロ第二弾の機種、長期トレンドは業界動向などを見ていく必要がありそうです。

 


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