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残り香 of the year
唐突にnoteを動かしてみようと思ったのは、今しがた気になる呑み屋に予約電話したら驚くほど馬鹿にされたからなのだ。
ふんだ!なにさ!!どうせ私はオミソだよ。
この記事を電話口で話した大将に捧げます。
ともあれ折角アカウント作ったんだし、手持ち無沙汰なので高校時代の話をさせて頂こうと思う。
よく“多感な年頃”なんて言う。
若き命は太陽を浴び、背など雨の後の竹のようにグングン伸びる。
そんな同期の桜たちを尻目に、私は匂いに夢中だった。
高校に上がる直前、友人たちと卒業旅行に出た。
帰りの高速バスを待つ間、各自お土産を漁っていたのだが…そこで売られていたラベンダーのソフトクリームに一同心を奪われた。
あのラベンダーの香りが仄かに鼻をかすめる…今思えば官能的な出来事だったと思う。
それはまるで聖者が宗右衛門町界隈を行進しているようにそれは妖艶だったなと。
そんなラベンダーの香りに心奪われてからと言うもの、匂いに対して貪欲になった。
特に残り香に対しては異様な執着があり、1日穿いた靴下をクンカクンカしてはフレーメン反応を繰り返していた。
両親はそんな息子を心配してか、変な性癖に目覚めないよう『実験人形ダミーオスカー』を私に買い与えた。
それはそれでまた悪くはなかった。
両親の心配も虚しく、私は高校に進学しても匂いを求めた。
食べ終わった弁当箱、真新しい教科書、爪の間…私は頭おかしくなっちゃったのかな。
その年の暮れ。友人たちと集まって眺めた流れ星、あれは神秘的だったな…今更おセンチになって私馬鹿みたい。
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