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水曜日の本棚#21 フランスの配色

フランスやイタリアでハッとすることといえば、わたしたち−と、勝手に主語を大きくするが−にはない色彩感覚がそこここに散らばっていることだ。ちょっとしたお店のディスプレイ、パティスリーのショウケース、メトロのポスター、ショップに並ぶ文房具−。ひとつひとつの色はもちろん、配置の仕方も美しくていちいちうっとりしてしまう。

この美的感覚ってどこから来るんだろう、と考える。街の美しさかな(ゴミが捨てられてて汚い、とかそういう意味ではなく)。アート的なものが身近にあるからかな。

昔、京都・祇園の人気店の店主がパリにお店を出すと決めた理由に、「お出しする料理の一皿一皿、それこそ料理、皿、酒とのマリアージュ...すべてに自分なりの感想を述べてくれるのがフランスからのお客さんだったから」と言っていた。それが京都のお客さんと似ていて、けれど人気が出すぎてなかなかお店側が来て欲しいと思うひとに来てもらえなくなってしまったから...とまでは直接的には言わなかったけれど、まぁ要するにそんなことを語っていた。

天狼院でたまたま見かけて連れ帰って来た「フランスの配色」をめくったとき、思い出したのはそんなこと。

もちろん日本だって、美しい日本語で表すさまざまな色(萌黄色とか茄子紺色とか...「鼠」がつく色だけでも何十種類とか!)があるし、着物と帯の組み合わせなんか本当に芸術的って感じがするから、ないものねだり的に惹かれるのだろうか。ちょっと疲れたときにペラペラとめくっては、「この色とこの色合わせるの!」「は〜、教科書の配色からしておしゃれやな」「今度、この色の服欲しいな」と、心を遊ばせている。

#本 #読書 #書評 #フランスの配色

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