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出会いはナンパ

「なんかこのひと気になる」と、勘が働くときがある。近所のカフェで、バーで、その存在がくっきり見えるというか、纏っている空気感が他のひととは違って見えるとき。かなり躊躇するが、どうしても気になるときは声をかける。はっきり言ってナンパである。

昨日は、そんな「出会いはナンパ」な方−といっても、相手は女性です−のバースデーのお祝いにお邪魔した。乾杯し、フランス産のチーズとテリーヌを堪能し、自家製アンチョビと野菜のパスタをたらふく平らげ、持参したチョコレートケーキまで遠慮もせずペロリといただく。

久々に飲んだ赤ワインに心も頭もポーッとなりながら、思い出していた。

彼女と出会ったのはもう数年前、友人に連れられて行ったバーだった。テーブル席でオーダーを待つわたしたちのすぐ横のカウンターで、6人の男女がああでもないこうでもないと会話を交わしていたのだ。その内容や言葉の端々から垣間見れる教養の香りにクラクラしつつ–わたしはこういうひとたちに弱い–、彼らが50〜60代のご夫婦3組ということに気づいたわたしはものすごく感動したのを覚えている。こんな素敵な大人のカップルが、この街にもいるんだ。夫婦揃って夜遊びとかしてるんだ!

このときカウンターのいちばん端、わたしたちのテーブルのすぐ近くに座っていたのが、彼女だった。ひと目で、そして会話からも住む世界が違うことは分かったし、心臓はバクバクだったけれど、なぜか絶対にいまここで話しかけなきゃ後悔すると思った。

そしてその時以来、何だかんだと家族ぐるみで親しく遊んでいる。彼女がいなかったら展開されていなかったであろう数々のできごとがあり、わたしの人生に添えられた彩りがある。

出会いって、本当に不思議なものだな。そう思うと同時に、心臓バクバクになりながらも縁を結びたくて行動したあのときの自分に、「グッジョブ!」と言いたい。

人間は一生のうち逢うべき人に必ず会える。
しかも、一瞬早すぎず、一瞬遅すぎないときに。
しかし、うちに求める心なくば、
眼前にその人ありといえども、縁は生じず。
森信三(教育学者)

#日記 #エッセイ #出逢い #毎日更新




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