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誰のための人生ですか?

誰かが亡くなったり、誰かを人に紹介したりするとき、「あの人はいい人」だと言われる人がいる。

私もある人からは「いい人」だと言われるし、別の人からは「わがままな人」だと言われることもある。

正直言って、私は自分で自分を「いい人(人間)」とは思っていない。それどころか、いい人でいようとも思っていない。

どういう人のことを「いい人」というかは、人それぞれ定義が違うだろう。私にとっては「相手にとって都合のいい人」という解釈になる。

もちろん、相手がそういうつもりで言ってないケースもある。それは相手との関りや、その人の感じ方を多少なりとも知っていれば、私の定義とは異なっていることくらいはわかる。

それでも、やっぱり「いい人」と言われるのには、少なからず違和感を覚える。(だからといって、言わないでくれと求めるつもりもない。)

そもそも私が「いい人」に対して嫌悪感に近い感情を覚えるのは、ずっと「いい子」を求められてきた反動でもある。それは自覚している。

子どもらしい立ち居振る舞いができる子、子どもだけれど親にとって自慢できる子、親の体裁を取り繕うための材料として「いい子」をずっと求められてきた。

子どもの頃は窮屈さを感じつつも、それが当たり前だと思っていた。物心ついたときから、そう求められていたから。

少しずつ外の世界を知るようになって、「いい子」は「親にとって」あるいは「教師にとって」便利な存在なんだと気づき始めた。それからまた、時間をかけて「いい人」が周りにとって、その人にとっての都合のいい存在に対する評価でしかないと知っていった。

社会で生きていくには、他者評価は必要だけど、それは絶対指標ではないのだ。環境が変われば、立場が変われば、見える世界が変われば、評価なんていくらでも変わる。

いい人でいようとするのを、私は否定しない。そうやって律することで、自分らしく生きていけるなら、それでいいと思うから。

けれど、いい人でいようとして、そのために自分の思いや感情を抑圧しているのなら、ちょっと考え方を変えてみない?と言いたい。

他人と円滑に関係を構築するためには、ときに自分の思いを飲み込んだり、感情を押さえたりしたほうがいい場面もある。なんでもかんでもバカ正直に全てを他人にぶつけるのは、理性のない獣と変わりない。

とはいえ、飲み込んでばかり押さえこんでばかりいるのなら、その「自分」は誰がすくい上げてくれるんだろうね?と問いたい。 

身も蓋もないようだけれど、誰もすくい上げてなんてくれない。自分ですくい上げてやるしかない。まれに気づいてくれる人はいるかもしれない。けれど、自分の求める100%に応えてくれるなんて、それこそおとぎ話ではあったとしても現実にはあり得ない。

だって、誰も他人の内側まで丸ごと理解することなんてできないんだから。

いい人でいるために我慢をする。それは誰のための我慢なんだろう?

自分の生き様として「いい人」でいるのならば、それは自分のためだといえる。もしも、そうではないのなら、相手に認められたいゆえの我慢かもしれないよね。

誰だって、誰かに認めてもらえるのは嬉しい。今の自分や頑張っている自分を肯定してもらえるから。承認欲求は、適度に求めれば良薬になる。過度に求めれば毒になる。

誰かに認めてもらおうと過剰に求めるのは、自らの人生を差し出すことと同じなんだ。いい人でいようとするのも、変わらない。

あなたの人生は、誰のためのものなのか?

他人に迷惑をかけたくないから、いい人でいる。それも一つの矜持として理解できる。だけど、その迷惑とはなんだろうか?

迷惑をかけずに生きることを美徳とする節があるけれど、人はいつどこで死ぬかわからない。もしかしたら、駅の階段を上る途中やホームで電車待ちをしているとき、信号待ちで交差点にいるとき、突然心臓が止まってしまうことだってあり得る。

階段を上っている途中なら、後ろの人を巻き込んでしまうかもしれない。ホームの際にいたなら、線路に転落してしまうかもしれない。交差点で車道に倒れこんでしまうかもしれない。

普段、無意識に健康に対して自信を持っていると、そうした万が一の事態なんて考えることはまずない。自分の行動を完全にコントロールできると思っている、無意識のうちに。だけど、ひとたび明日の命が知れない状態になると、そんな自信なんて木っ端みじんに崩れてしまう。

誰かに迷惑をかけることが簡単に予測できるようになる。それもリアルに。

そんな経験なんてしないに越したことはないけれど、いつどこでどんなふうに死んでしまうのかわからないのだから、過度に迷惑なんて考えずに、自分の気持ちを大切に生きるほうが健全なんじゃないだろうか。

誰の人生でもない。自分の人生なんだから。

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