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飼いヤギの選択

 私はこの沖縄離島を出たい、ヤギはどうする?という選択肢を模索してました。

愛知に一緒に連れて帰る
近くの無人島に放す

最初に頭に浮かんだ2択。ヤギを食べる文化がある沖縄。そして私が移住した離島には野生のヤギを捕まえて捌いて食べるご家庭もあると聞き及んでました。そこに善悪は無いし、私とてミー子とヤー子と暮らす前は、ヤギ汁、ヤギ刺身をいただく機会もありました。けれど、懐いてくれたこの2頭を食べられる確率がかなり高い土地に置いていくことに、自分に対する凄まじい罪悪感を覚えました。
だからせめて無人島に放す、って言い方替えれば捨てヤギですが、その近隣無人島の偵察に行くことにしました。
島の船渡しをしている兄さん(沖縄では目上の男性をそう呼ぶ)の船に乗せてもらいながら事情を話しました。

「ヤギは赤ん坊の頃から険しい崖や斜面を経験して足腰を鍛えておかないと、飼われていた大人のヤギを無人島に放っても生きていけないさ。木の上の方の葉を食べようとして角が太枝に引っかかって動けなくなって死んでたヤギもいたさー。」

というムゴイけれどごもっともなコメント。

私は離島を出ることを決めつつあったので、ご近所迷惑承知の上で、ミー子とヤー子を囲っている柵の出入り口を開け放ち、どこへでも自由に行ける様にしてみました。けれども近所をウロウロして直ぐに庭に戻ってきます。そして居心地良さそうな机の上などにちょこんと座ってます。

島の兄さんが昔飼えなくなったヤギを無人島に放したのですが、大引き潮の時に、普段は兄さんの住む有人島と隔てている海面が、歩ける程の浅瀬になり、そこを歩いて渡って、兄さんの家に戻ってきたそうです。これ程までに飼い主をしたうヤギもいるんですね、、

無人島に放す線は消えつつありました。
いや、振り返ってみれば最初から答えは出ていたのだと思います。

 愛知に一緒に連れて帰る選択をした場合大まかに段取りする点は3つ。
輸送手段、飼育する土地、費用です。

まずクリアできたのが飼育する土地です。ヤギを連れて帰って来る事に乗り気でない父。自分が巻き込まれるのはごめんだと言わんばかりの父が、ゴルフ仲間の冨田さん(仮名)に冗談半分で娘がヤギ連れで帰って来るかもしれない事情を話したみたいです。

『うちの農地の草食べてもらっていいよ、ただで貸すよ。』

というお話があったとの事。
まだ連れて帰る事が本決まりしてなかったのですが、せっかくの提案であり、ヤギを連れて帰る可能性を広げる為にもゴールデンウィークに帰省した時に突如父にアポをとってもらって見に行きました。辺りは柿畑、その柿畑に囲まれる様に草刈が行き届いた平坦な野っ原がありました。いざとなればミー子とヤー子の居場所は作れる事を確認できました。

そして輸送手段。インターネットで情報が得られる時代。この離島においては尚更ありがたいです。ペットを輸送してくださる業者さんがいてくれる事を知りました。沖縄の離島から愛知県への輸送ができるか問い合わせたところ、できる、の回答でした。そしてヤギ2頭の航空運賃、陸送運賃、ゲージ代、私の旅費、その他諸々でざっと30万円。もちろん自分でヤギを出荷できる方はお値段を抑えられると思います。けれどノウハウと、愛知でも車を持たない私は業者を頼ることにしました。

ただし、離島から沖縄本島までの移送は私自身で手配をしなければならないのです。離島からフェリーの貨物として那覇港までヤギを移送した後に、那覇港で一晩過ごし、翌朝業者のトラックに乗せて引き渡し、愛知の目的地でヤギに再会、という流れです。

『情報は簡単に取れても、物質を動かすのに数倍のエネルギーがいる!離島はーーー!』

続く



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