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月一の崖っぷち
弱っていることこそ公にしてしまおう。
大学生くらいからだったと思う。
月に1~2日、この世の終わりみたいな気持ちになる。
自分がやっていることは誰にも認めてもらえないし、
誰にも必要とされなくて、誰にも助けてもらえない、
私は誰よりも不幸だと涙がとまらなくなるのだ。
勉強でも仕事でも、どんなに楽しく一生懸命取り組んでいるときでも
その日で中断されてしまう
楽しみにしていた予定や大切な面接を自暴自棄になってキャンセルしてしまうこともあった。
でも2日も経てば元に戻る
またわくわくして活動的になる
たまに不安定になってしまう、
そんな『性格』だと思っていた。
誰にも言えなかった。
3年ほど前、PMDDという言葉を知る。
PMSは知っていた。
生理前にイライラしたり、胸が痛くなったり・・・・・・
でもそんなものじゃなかった。
コントロールできないくらい崖っぷちの気持ちなんだから。
PMDD(月経前不快気分障害)
月経前症候群(PMS)の症状のうち、心の症状が特に悪化して日常生活に支障をきたすような症状を月経前不快気分障害(PMDD)といいます。
普段はうつ症状のない方が、月経開始数日前から抑うつ感や不安感などの精神症状が前面に出て、絶望感にとらわれたり、涙がとまらなくなったり、また反対にイライラしたり、怒りっぽくなったり、攻撃的になったりするなど感情のコントロールが難しくなります。感情の爆発を周囲にぶつけると、人間関係や社会活動にも支障をきたすことにもなります。
このような症状は、月経開始から数日後には消失し、全く普通の精神状態に戻ります。
「生理前 涙でる」とかで検索していたら出てきた。
これか!!の気持ちと、これのせいにしていいのか?甘えでは?の気持ち。
とりあえず、様子をみようと、崖っぷちの時期を観察するとどうも生理と関連している……
ホルモンのせいなのか……少し安心した。
安心しても症状が治まるわけではない。
仕事中に突然涙がでてトイレに駆け込むこともあった。
でも、こんな訳が分からないことで休むなんて言えないとやり過ごした。
症状はどんどんひどくなった。
ある日突然動けなくなった。
朝起きるときから体が重くて、一度座ったら準備ができなくなりそうな。
PMDDなのか、ただ会社に行きたくないのか、甘えか、
自分でもはっきり分からないから、とりあえず、何とか家をでる。
自分の気持ちを探りながら、電車に乗る。
人が溢れる乗り換えの駅。
足音が迫ってくるようで、怖くなって、涙が出てきて、足が動かなくなったた。
さすがにこの感じじゃ1日乗り切れないな。やっと休もうと思えた。
家の近くのドトールでコーヒーを飲みながら、上司が出社する時間を待って電話をした。
「調子が悪いので休みます」
「え?大丈夫?熱とか?」
「いや、調子が悪いので……」
コロナ禍で上司も体調不良の内容を把握しなければいけない。
訊きたいんだろうな、と思いながらも、何と説明すればいいのか分からなくて、震える声で調子が悪いを繰り返して休みをもらった。
その足で、婦人科にいった。2時間待った。
その間も何回か涙がでた。
「PMDDですね」
「片頭痛があるとのことなので、ピルは飲めません」
SSRIのひとつが処方された。
これで解放される!と喜んだのも束の間、
薬で鬱々とした気持ちはなくなったが、それ以外の気持ちもなくなった。
集中力もなく、文章を読んだり考えたりすることができなくなった。
これこそ、仕事にならない。
ようやく上司に伝えることにした。
上司は50歳を超える男性ばかり。
生理の話をするのは嫌だったけど、もう構ってられなかった。
PMDDの説明と今の経過を話した。
多分、理解は出来ていないと思うけど、
配慮してくれるようになった。
毎月休むわけではないが、数か月に1度、症状が重いときは休んでもいいと思えるだけでも気が楽になった。
上司はなんて声をかければいいのか分からないというのが正直なところみたいだけれど、こちらも必要以上に構ってほしくないというのが本音なのでちょうどいい。
今は同じチームの先輩たちにも話していて、気遣ってくれる。
一つ、心配事について心が軽くなるだけでも症状の軽減につながっている気がする。
弱っていることこそ隠さず、公にしてしまおう。
自分が思っているより誰も気にしない。
手放して軽くなろう。
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