歳の差の悩み

母には兄がいた。兄と母の2人兄弟。
けれど、身体の強くない兄は私が生まれる少し前に亡くなったという話を、いつだったか聞いたことがある。

友達の〇〇ちゃんが、胃がんになって明日手術するみたいなの。母は久しく落ち込んでいて、かなり体調も崩していた。普段とあまり変わらないテンションではあったが、私が泊まりに行って家にいなかった2日間、母は相当精神的にショックを受けていて腰の痛みも増していた。かなり仲のいい友達ががんになってしまったという話を聞き、私は母ぐらいになると、周りの人の死が身近になってくるのだと知った。
私はこの一週間、彼氏が地元に戻るか東京にいるか、遠距離になるかそのままだったとしてもお金のない生活になるかもしれない、どうするべきか、そんな学生が終わった後の進路についてお金の大事さを痛感していて、どうすればいいのかという悩みを抱えていた。
母は私を24の時に産んだ。24年の差があるからもちろんその歳によって人の悩みは変わってくる。私はこれから親元を離れ、自分でお金を稼ぎ自分だけの力で生きていく、家を出て自立することがどういうことなのか、実際どれぐらいのお金でやりくりしなければならないのか、今の歳になってやっとわかるようになった。今は学生でアルバイト生活と就活をしながら生活しているが、今の生活ですらかなり金銭面はパツパツなのに、結婚や子供なんか言い出したら到底お金がないと思ってしまった。母はよく24の時に私を産んでこんなしっかり育てられたなと感心してしまった。

そんな恋愛やお金、進路について悩んでいる私と比べ、母と話していて面白かったのが(絶対面白いという言葉はよくない表現ではあるが、他に思いつかなかったのでこのままにする)死についての話だ。
私の大学の友達は最近犬が亡くなって相当落ち込んでいた。私も犬を飼っているので私と母で犬が死んだら相当ショックだよね、と話している。親戚のおじさんが亡くなるより絶対ショックだと、比べものにならないと。母にとって胃がんになってしまった友達はかなり仲のいい人だったらしく、かなりショックだったらしい。だんだん周りが病気になったり死んでしまったり、自分もでかい病気にかかるのではと今後の人生の悩みを細々と話していた。
私はお兄さんが亡くなった時も相当なショックだったのではないか、と聞いた。母は、兄が亡くなったことよりも、それをみて悲しんでいる母を見るのが辛かった、と話していて驚いた。血が繋がっていても親と兄弟は違うよ、と言っていて不思議だった。人の命、亡くなったら平等に悲しまなければいけないなんてことはない。人によってその人の命の価値なんて変わる。自分により身近で、大事に思っている人ほどその人が病気になったり事故に遭ったり、亡くなってしまうことにショックを受ける。

私と母では悩みの内容が全然違う。でもその違いから自分の悩みなんてちっぽけだ、なんて思わなくていいかなと思った。自分の中ではどんどん自分は成長していて、歳を重ねるごとにいろんな障害だったり、ぶち当たる壁があり、それを通過することでさらに先の道ができたり、次のステージが待っている様に感じる。成長とは違うような気がするが、これも一種の成長というのが意味合的に正しいのだろうか。母の気持ちに寄り添うのももちろん大事だけど、どんなことも実際に自分の身に起こってみないと、経験しないとわからないことは多い。そこから得るものもあるし失うものもある。
私は今ある自分の悩みを今一生懸命考える。

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