映画デート
年長さんになった娘が保育園の同じクラスの男の子と映画に行く約束をしてきた。
マリオの映画を見るのだそうだ。男の子のママと相談し、小さな2人の映画デートは今日実現した。
娘はとても楽しみにしていたようである。
起こしてもなかなか起きない娘が「今日はマリオの映画だよ」と言うとパッと起きて「ママ、早く行こう!」と言った。
「今日はさ、せっかくのデートだから可愛い服着ようよ!」というと、ポケモンのTシャツとすみっコ暮らしのスパッツを選んできた。
どうやら、これが彼女の思う一張羅のようである。最近、一緒にお買い物に行くとキャラクターの服ばかり選んで譲らないので、なるべく私一人でいきたいと思っている。
「今日はTシャツじゃ寒いし、それは保育園にも着ていけるから、これにしない?」と私の中の一張羅のワンピースを渡した。
「よく似合うじゃん!可愛いよ!」と私が言うとタタッと姿見にチェックに行っている。赤ちゃんだと思っていたのに、もうすっかり女子である。無事にワンピースが気に入ったようだ。
待ち合わせ場所に着くと、2人で嬉しそうにキャッキャッと走ってどんどん先へ行ってしまう。
男の子のママに「○○ちゃん(娘)、保育園でモテモテなんだってうちの子が言ってましたよ。公園にお散歩に行くのに、誰が〇〇ちゃんと手を繋ぐかジャンケンする列ができるんですって」と言われた。
娘よ、やるではないか!5歳児のモテポイントがなんなのかは不明だが、自分の大切な存在と手を繋ぎたいと列を作ってくれる小さな男の子たちが愛おしい。
私が初めて男の子と映画デートをしたのは、いつだっけ?
そうだ、中学2年生の時だ。同じクラスの子に誘われたんだ。遥か遠すぎる記憶は自分のものではないような気さえした。
娘もいつかは恋をするんだな。と思うと胸がキュゥっとする。
大切に、大切に思ってくれる、強くて優しい人と出会って欲しいなと思う。
「ねぇねぇ、ママはさ、男の子って顔じゃないと思うんだよね。足の速さでもないよ。どれだけ〇〇のことを大切に思ってくれるか。ってポイントが一番重要だと思うんだよね!
ママはさ、もう最近さ、困ってることがあると「どうしたんだい、ベイビー」とか言ってくれるようなもう全面的に甘やかしてくれる人がいいなと思ってる。」
自分の「どうしたんだいベイビー」の言い方に、ちびまる子ちゃんの花輪君で頭がいっぱいになったし、娘には完全にスルーされた。
こんなことが言いたいわけではなかったのだが、思いを言葉にするのは難しい。
市販の睡眠薬買ってみようかな…と思うほど、最近眠れずにいる私は、映画で爆睡してしまうかと思ったが、懐かしい音楽とキャラクターがしっかり映画の世界に引っ張ってくれた。意識を飛ばしたのは、多分全体で10分くらいだ。
終わってみて印象に残っていることは2つ。
1、隣の席だった若いカップルの男性が、恐らく漏れる音を気にしてポップコーンをひと噛み5秒くらいかけて「ミシッ…ミシミシミシミシミシ…ミシッ」と2時間ずっと食べ続けていたこと。もうこれなら、ワシャワシャと盛大に音を立てていいから10分で食べ終えて欲しい…と思うほど気になってしまった。小さい女である。先ほどの「ママが思ういい男」に映画の最中はポップコーンを食べない男。と付け加えたい。
2、青い滴のような謎のキャラクターが放つ台詞。
「時間も人生も幻想だよ」
「でも逃げ道はある。それは死による開放さ」
「完璧なハッピーエンドかと思った?映画が終わった以上、残るのは自分と闇さ」
これは、マリオの世界の話しなのか、それとも…と考えさせられて映画の奥行きが急に増した。
終始、楽しそうな小さな二人を見て私も嬉しい日だった。
さぁ、明日も気持ちよく1日を始められるように、洗濯物を畳んでお皿を洗って、ベットに入ろう。
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