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BBQの楽しみ方

私は未だにバーベキューをどのように楽しんだらいいのか分からない。
お肉も野菜も黒こげになるし、準備は大変、荷物は重い。そして誰ともちゃんと話せない。しかも手ぶらでBBQとなると結構いいお値段なので、同じ金額で美味しいランチをゆっくり食べられるのに…と思っていた。

と思いながらも、毎年GWになると女4人で恒例となったBBQをする。

彼女たちとは高校2年生の時に同じクラスだったので、もう20年の付き合いだ。

私を除いた3人はとにかく、お酒をよく飲む。どれくらい飲むかというと、先日1時間のランチをした際、私がシャンディガフを1杯飲む間に、ジョッキのハイボールを7杯飲んでいた。

大学生の頃は、よく4人で旅行にいった。沖縄に行った時、うっかり居酒屋さんで寝てしまっていた私は、パッと起きて周りをみると3人とも寝ており(ごめんなさい…)時刻は朝の4時だった。とにかくお会計しなければ…と店員さんにお願いすると、注文したものを読み上げながらお会計を進めてくれる。「海ぶどう1、刺身の盛り合わせ1、さんぴん茶ハイ46…」
え?さんぴん茶ハイ46…?

でも私は知っている。奴らなら飲む。何かの間違いではない。
私のお財布からだけでは足りず、寝ているみんなのお財布からも同じだけお金を集めて支払いを済ませた。

お酒は強いが、これだけ飲むため皆んなしっかり酔っぱらう。そして次の日には3人ともその夜のほとんどの記憶を保持していない。体質的にすぐに頭が痛くなってしまいたくさん飲めない私だけがいつも全てを覚えている。

奴らは酔っ払うと謎の勝負を挑んできた。
「誰が一番エロい官能小説を即興で作れるか勝負しよう!」
「誰が一番お相撲が強いか勝負しよう!」
「誰が一番エロい声を出せるか勝負しよう!」

全員ベロベロなので、本気でこれらの対決に挑んでくるが、理性がある私には羞恥心がある。居酒屋でエロい声対決が始まった瞬間(ごめんなさい…)店員さんが注意しに来てくれて、私は心の底から店員さんに謝罪と感謝をした。

ちなみに、お相撲対決(in旅館)では、酔っ払い相手に全敗した。ベロベロなのになんでこんなに足腰が強いのか。悔しい。それどころか最後は、「負けると思ってかかってきてんじゃねぇよ!本気で来い!」と酔っ払いに謎の稽古をつけられて、心の底からもういいから早く寝てほしいと思った。

ここにはとても書ききれない彼女たちとの大量のお酒(の失敗)エピソードがある。
この前ふいに、「みぃちゃん、全然飲んでないのにいつも割り勘にしててごめんね。」と突然謝られた。20年越しの初めての謝罪である。
突然なんなのかと笑ってしまったが、よく考えてみれば全く加担していない46杯のさんぴん茶ハイ代を4人で負担していたのはおかしい。
お金に困ってどうしようもなくなったら、まずあの3人に言おう。と心に誓った。

このような破天荒な女たちに囲まれて、私の青春は過ぎていった。

この破天荒たちとのBBQを翌日に控えた夜、私は全然眠れずにいた。
その前の日は急にnoteを書こう!!今しかない!と思ってほぼ完徹で夫との話しを書いたので、体は眠くてたまらないのに、全然寝付けない。
このままでは2日連続の徹夜になってしまう。寝なければ…!と焦れば焦るほど頭が冴えていく。

カーテン越しに漏れる月明かりがいつもより眩しいので、窓の外をみるとその日は蠍座の満月だった。

私の月星座は蠍座であることと、あとはなんだったか忘れてしまったが他に3つの天体が蠍座に集中しているとを教えてもらったことを思い出した。

眠れないのは、きっとその影響に違いない。

話はそれるが、今もなかなか眠れずにいる。のび太と同じくどこでも眠れることが取り柄だったはずの私が、なかなか寝付けず、寝ても3時間くらいで目が覚めてしまう。まだ蠍座満月の影響が続いているのだろうか。

眠れない夜にベットにいる時間はとてつもなく長く感じるので、私は娘の保育園で使う衣装を縫い、足の指に明るいオレンジのジェルネイルを施し、池田晶子さんの本を読み、二徹目の朝日を迎えるころには思考が暴走し、「今年の夏は腹筋を割ってやらぁ!」とバイシクルクランチをしていた。

一体何をやっているのだろうか。
私の後をいつも付いてきてくれる可愛い毛むくじゃら(犬)にも3時過ぎに見捨てられてしまった。

娘の朝食を作ろうとキッチンに立つと、ものすごい頭痛に襲われた。少ししゃがむと膝が震える。

このままではBBQどころか娘を連れて地元に帰る気力すらないと、私は今こそお酒を飲むことにした。

もうこの地に足がつかない感じと猛烈な頭痛の原因はありすぎて不明。という状態で娘を連れて懐かしい笑顔に会いに行った。

彼女たちの話しはいつも想像の斜め上をいくので、爆笑が起きていると「なになにー!?聞かせてー!」となるのだが、その日は頭痛をカバーするために、火の番に徹することにした。火力を調整し、どこで何を焼けば良い頃合いになるかのみに集中した。

しまった、娘!と思い皆の方を振り返ると、誰かが握ってきてくれた小さいおにぎりを笑顔で頬張っていた。

皆んな、ありがとう…。とほっとして火の番に戻ると、紅葉の新緑が優しかった。風に混じって聞こえる子どもたちのキャッキャッする声に思わず笑顔になる。
あれ?今日はなんだかBBQがなんだか楽しいぞ!
そうか!与えられた役割に徹する方がこの場を楽しむことができるのか!

受付の前を通ると、ジャンボマシュマロが売っていた。これを子どもたちに買っていったら喜ぶかな!そう思うと私が1番嬉しかった。

子どもは、えーと全部で6人。
そう年の変わらないそれぞれの子どもたちが、今一緒に遊んでいることがとても不思議で、とても有難いことだと思った。
それぞれが経験したいくつもの恋と、いくつものストーリーを思った。

強風警報が出ていたのその日、テーブルの上は荒れた。
私は、風で飛んで誰のお箸かわからなくなったお箸でお肉を食べ、誰のものかわからなくなったビールを飲んだ。ちなみに、血液型はA型だ。
潔癖を自称する2人にどうやって自分のものをキープしているのか来年は聞いてみようと思う。

一人お家に残してきた可愛い毛むくじゃらも心配だったので、私は二次会には行かず帰ることにした。
私たちが帰るね!というと、円陣が組まれた。どう見てもダサいその円陣の中にいるとなんだか体温が少し上がった気がした。いつの間にか頭痛も治っている。

「またね!」と言って夕焼けに染まるオレンジの空を眺めながら、娘と駅までの道を歩いた。

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