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人生で一番痛かったこと
まずは、一般人よりもはるかに痛いことを経験するであろう女子プロレスラーである北斗晶様の「人生で痛かったことトップ3」はこちらだ。
1位 頭蓋骨に穴をあけた時
2位 出産
3位 試合でフェンスにぶつかりひざの骨が見える
恐ろしい。。この中で2位の出産だけ私にも経験がある。そして私にもこれを上回る痛かったことがある。
それは「生理痛」である。
「女はまた子どもを産むために出産の痛みを忘れるように出来ている」とどこかで聞いたことがあるし、同時に起きたことではないので比べることは難しいが、どちらが辛かったかと問われたら、やはりぶっちぎりで「生理痛」だ。
10代後半〜20代までは常に生理の影に怯えていた。
私の生理周期は24日と月の満ち欠けのサイクルより短く、ズレたことがほとんどない。生理周期だけは順調な人生だった。
鎮痛剤を飲むのが少しでも遅れると、もう取り返しのつかないことになる。
それは大変に恐ろしいことなので生理がくるであろう前日から、鎮痛剤が切れる時間のないよう、用法・用量を上回る鎮痛剤を摂取し続けていた。
生理が始まってから飲むのでは遅い。
効かなかった場合は、座っても寝てもいられないほどの下腹部の激痛が始まり、あまりの痛さに吐き気を催し実際に嘔吐し続ける。そこまでいくと大抵寝れるようになるので(気絶)、しばらく寝て意識が戻る頃に復活をする。という悲劇が起きる。
これが家で起きた場合は「あー。。死ぬかと思った。。辛かった」で終わるが、外出中にこのような事態になり、心配した方が救急車を呼んでくださる。ということが2度起きた。
1度目は大学1年生の時。
これは具合が悪くなる…と確信に近い予感があり、授業を途中退席し自宅に向かった。
嫌な予感は的中し、目的の駅まで耐えることができず途中下車をして駅のトイレに向かった。
嘔吐しても痛みが治まることはなく、普段ならスカートの裾がつかないよう最新の注意を払う駅のトイレに倒れ込む以外、座っていることもできなかった。
助けを求めるため、携帯で自宅に電話をするも誰も出ない。
母の携帯に鬼電すると、メールが返ってきた。
「電話しましたか?今、お父さんと紫陽花寺へ紫陽花を見にきています。とても綺麗です。」という文章とともに紫陽花の写真が送られてきた。
・・・母よ。電話しましたか?というレベルの着信回数ではなかったはずだぞ。
母の呑気なメールを見て「終わった」と思ったところで記憶が途絶える。
心(意識)と身体は繋がっている。ということが生理痛の経験からよくわかった。
耐えられない痛みに到達すると、自分を守るために意識がなくなるのである。
その時も身体に起きている事象は変わらないはずだが、意識がない間はひどい痛みから開放される。
意識がない間は痛みがない。意識とは一体何なのだろうか。
自分の意図しないところで意識が消えることで、この生理痛を乗り越えられたことが何度もある。
次に気付いた時には、救急車の中だった。誰かが救急車を呼んでくれたのだ。
「お名前言えますか?」と救急隊の方に問われても、声すらでなかった。
「身分証確認するために財布見せてもらいますね、いいですか?」との問いに辛うじて首を縦に振るくらいしかできなかった。
子宮内膜症なのではないかと検査に行ったり、ピルを処方してもらったりしたが改善することはなく、いざという時のために処方してもらった座薬の鎮痛剤をいつも持ち歩いていた。
ちなみに、私は痛みに弱いわけではないと思う。
誰しも自分しか経験できないから、人の痛みの感じ方と比べることはできないが、例えばVIOのブラジリアンワックスなど私は余裕のよっちゃんであり、施術してくださるお姉さんと談笑を続けられる。
今日、会社で生理痛のためにお休みされた方がおり、その人の代わりに別の人がリモート予定だったところ急いで出勤するという事態が起きた。
今日のような雨のふる梅雨に、急遽出勤してくれた人は「あ〜あ。」と思って当然である。
それはもちろん当然のことなのだけど、このような痛みを経験した私が「生理痛って本当に辛いよね。」と言えなくては嘘だ。
20代の頃の自分と今酷い生理痛に悩む女子に言いたい。
鎮痛剤の座薬を入れてまで出勤しなくて良い。生理痛なんかで休んだら悪い、生理痛なんかで救急車に乗るのは申し訳ない。などと思わず、限界を迎えて駅で倒れる前に休んでほしい。その痛みは総合的に出産より辛い。北斗様ですら人生で2番目に辛かった痛みより私は辛かった。こういう人もいるのだ。
元気な時に挽回すれば、それでいいじゃないかとまずは自分が自分に思ってやって欲しい。
生理休暇が有給か無給などと言っていられないレベルの人がいることを、私はちゃんと知っているので安心して欲しい(何が)。
産婦人科には何度もこの生理痛を相談し座薬やピルを処方してもらっていたが、妊娠がわかった時、そのお医者さん(男)が最初に私に言った一言は「え?産むの?」だった。
驚いて「何故ですか?」と聞くと、「だってずっとピル飲んでたから。」と言われた。
あまりにも衝撃的だったが、「産みます。何度も相談しましたがピルは生理痛に悩んでいた為です」と言うと
「あそ。」と言った。いや、言いやがった。
誰しも自分しか経験できないから、人の痛みの感じ方と比べることはできない。
だからこそ、人の痛みを慮れる人でありたい。
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