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育休退園で地獄を見た話

育休退園で潰された

2016年(平成28年)、私は次女を出産しました。

当時、長女は保育園に通っていましたが、私の住む自治体では、育児休業を取ると、未満児(0歳~2歳児クラス)は退園しなければならないという制度になっていました。

この制度は、当時、全国の自治体で見受けられ、母親たちが、退園取消を求めて自治体を提訴するなど、社会問題化していました。

私の住んでいる自治体では、その後、この制度は廃止されましたが、今でも継続している自治体があるということです。

驚くべきことです。

背景には、保育所不足・待機児童問題がありますが、その解決方法が育休退園というのは、本当にお粗末です。

育休退園させられて、私は地獄を見ました。

もう、一生取り返しのつかない、健康を失いました。

育休退園後の日常

育休期間中は、母親が自宅で子どもの面倒が見られるから、保育に欠ける要件に該当しないとの見解が取られ、原則、保育園退園との制度運用になっていますが、果たして、本当に、育休中の母親は子どもの世話ができるのか?

母親がどうやって毎日子どもの世話をしているか、わかって言ってるのか?

と甚だ疑問です。

我が家は、夫も私も実家が遠く、日々の家事育児に両親の支援はまったくありません。

気軽に頼れる友人関係もありません。

夫は、(当時は)夕食の時間には帰って来ますが、日中は、まったくのワンオペです。

授乳は、混合栄養で育てていましたので、3時間おきに授乳です。

まずミルクを作って、手元に用意しておき、母乳をあげます。

だいたい20~30分吸わせて、ミルクをあげます。

げっぷをさせてから、オムツ交換して、寝かしつけ。

その後、哺乳瓶を洗って消毒。

ここまでで、最低でもだいたい1時間はかかります。

これを一日中、3時間毎に無限ループ。

ループの合間に寝ようとしても、続けて寝られるのはせいぜい2時間。

長女がいるので、2時間まるまる寝るわけにもいきません。

長女にも、絵本を読んであげたり、外に遊びに連れて行ってあげたりしたい。

でも、体力的にも精神的にも厳しい現実。

当時の長女は、イヤイヤ期ど真ん中な上に、急に現れた妹の存在を受け入れられず、激しい赤ちゃん返りがありました。

着替えをしないと言って、何時間も裸でいたり、お風呂に入らないと言って、何日も入らなかったりと、何をするのも修羅場でした。

授乳無限ループの合間に、毎日の食事の準備と後片付け、洗濯。

この際、掃除なんかしてる余裕はなく、家の中はぐちゃぐちゃです。

長女の寝かしつけには、当時、1〜2時間かかっていました。

全部ひとりでやっていました。

毎日、誰とも会話することなく、密室で、子ども二人と向き合って、必死にやるべきことをこなしていました。

「そのくらい普通だよ」「みんなやってるよ」と思われたかもしれません。

私は無理でした。

夫に何度も「あなたも一度くらい全部ひとりでやってみてよ、どんだけ大変か!」と言いました。

無理すぎて、壊れて、精神を病みました。

今も通院中です。

市長宛のメール

当時、あまりにも追い詰められた私は、市長宛にメールを送りました。

私がどれだけ追い詰められていたかおわかりいただけると思うので、以下に、市長宛のメールを転記します。

〜〜以下メール引用〜〜

私は、3歳・0歳(4ヶ月)の2児の子を持つ母親です。

第2子が生まれるまで働いておりましたが、現在は育児休業中です。

これに伴い、第1子は、通っていた保育園を9月末で育休退園いたしました。

市長は、年内の育休退園制度の撤廃を名言されましたが、本日現在、実行されてはいません。

第1子が育休退園して以来、非常に困っており、一日も早く、また保育園に通わせたいと思っています。

どうか、助けてください。

育休退園制度の前提として、育休期間中は保育に欠ける要件に該当しないため原則退園との見解がとられていますが、乳呑み児を抱えながら、未満児を家庭内で保育する過酷さをご存じでしょうか。

ご存じであれば、とても「保育に欠ける要件に該当しない」とは言えないと思います。

第2子が生まれてからは、一日の睡眠時間は5時間未満です。

まとめて3時間以上眠れたことがありません。

常に睡眠不足で朦朧として疲れています。

それでも子どもは泣くし、遊んでと言うし、日々の家事があります。

毎日ふらふらになりながら子どもと向き合っています。

第1子は赤ちゃん返りとイヤイヤ期で、一言目には「イヤだ」と言い、すさまじい癇癪で泣き叫びます。

第2子が生まれてから、子どもに対して怒鳴ることが増えました。

時には手を上げてしまうこともあります。

「虐待」「母親失格」の文字が頭をよぎります。

自己嫌悪です。

振り上げた拳の持っていき場がなく、壁や自分自身を殴ります。

子どもに対するイライラがつのり、怒りの衝動を抑えきれず、子どもにぶつけるわけにはいかないので、壁や自分を殴って殴って、その痛みで何とか怒りの衝動を逃がしています。

私も夫も県外出身なので、近くに頼れる人はいません。

日中は一人で子どもの面倒を見ています。

夫は、第2子が生まれるまでは、帰宅時間が22時を過ぎることもザラでした。

第2子が生まれてからは、さすがに「寝かしつけの時間までには帰ってきてください」とお願いして、20時には帰ってくるようになりました。

(そのかわり、出勤時間が午前6時です)

幸い、夫は家事・育児に協力的ですが、それだけに、これ以上、夫に負担を強いることはできません。

それでも、自分の時間を30分取ることもできないほど、家事・育児に追われ、心身の疲労が常にピークで、現実から逃げ出したい気持ちです。

自分が失踪したら、家族はどうなるだろうかと考えたりします。

子どもがかわいいから、そんなことできませんが。

子どもに怒鳴ったり手を上げたりしてしまう時、どうしようもなく自己嫌悪に陥り、誰かに助けてほしいと思います。

相談機関に電話をかけたこともありますが、傾聴されるだけで、具体的解決に導いてくれるわけではありません。

私が望んでいる具体的解決は、せめて第1子を数時間でもいいから預かってくれる人がほしい、ということです。

ファミリーサポートに紹介を依頼していますが、条件が合う方が見つからない状況です。

保育園を退園して以降、本当に困っています。

妊産婦の死因の最多が自殺であるとのニュースを目にしました。

他人事とは思えません。

助けてくれる人がおらず、子どもと向き合うしかない母親の追い詰められた現実を知ってください。

私にとって、育児を助けてくれるのは、保育園しかありませんでした。

育休に入ったからといって、梯子を外すように退園させられ、途方に暮れております。

また、職場に復帰するため、第2子の保育園入園の申請も行いましたが、区役所に問い合わせたところ、「育休中の方は保育園の入園申請は行えません」と言われました。

条例や制度の運用上は、そのような解釈になるのでしょう。

しかし、現実問題として、入園申請すれば100%入園できる状況ではないのですから、先に職場復帰をして入園申請をすることなどできません。

順番としては、保育園を確保してから職場復帰するしかないのです。

現実から乖離した杓子定規な対応に、本当にガッカリしました。

このメールを市長ご本人がご覧になるのかわかりませんが、担当部署からのご連絡は不要です。

私が望んでいるのは、第1子を保育園に通わせることだけですから、それ以外の対応をいただいても迷惑ですので、よろしくお願いします。

〜〜引用終わり〜〜

願い

多かれ少なかれ、育休退園を強いられたお母さんたちは、似たような苦しさを味わっていると思います。

このような状態になりたくないし、一度退園させられたらまた入園できるとは限らないので、出産を控えるという人もいます。

少子化の問題の解決に、明らかに逆行しています。

どうか、お母さんを苦しめないでください。

地域で子どもを育てるという社会であってください。

一日でも早く、日本全国のすべての自治体で、育休退園の制度が廃止されることを願います。


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