初めてのチャイ
インドに到着して1日目。
ニューデリー駅から15分の宿にたどり着くまで
騙され、嘘付かれ、喧嘩し、4時間掛かった。
「インドの洗礼」を実感しながら
へとへとになった私たちは
遅めの昼食いや、早めの夕食を求め
日が傾きかけたパパラガンジーを歩いた。
路地の曲がり角に
小さな露店。
グツグツ煮える液体に
コンッコンッとまな板で砕いたスパイスを店主が投げ入れる。
スプーンたっぷりの砂糖
そして袋詰めされた牛乳を一袋加え
出来上がったのは、インド名物チャイ。
「私にも一杯ください 」
エスプレッソくらいの少量カップに注がれる。
一杯7ルピーという安さ。
露店の横に腰掛け椅子があった。
もう既に年老いたインド人男性が座っていた。
私も彼にならって腰掛ける。
一気飲みすればすぐになくなってしまう量だけど
暑い中でチビチビと暑いチャイを飲んだ。
とても甘いのだけれどスパイスが鼻に抜け後味が爽快だ。
チャイを飲みながら砂埃舞う景色を眺めた。
狭い通りにひしめき合う店と
絶えることのない人の流れ。
色黒で目力の強いインド人男性。
鼻ピアスに色鮮やかなサリーを身にまとうインド人女性。
その周りを走り回る子供達。
「あぁ異国に来たんだなぁ」
親近感のあった東南アジアを抜け
ついにインドまで来てしまった。
これから続く長い長い旅に心踊りながらも
ふと立ち止まった夕暮れ時であった。
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