言語学習について


 デンマークでは小学校低学年から、英語の授業が始まる。また、テレビでも英語の番組が翻訳されず放映されるなど、英語に触れる機会が多いようだ。また、中学生になると第三言語(主にドイツ語がフランス語)の授業が必須となっている。
 近年では、日本でも小学校3年生から英語の授業が始まるようであるが、私の世代では英語が始まったのは中学校になってからで、学校でしか英語を勉強してこなかった身としては、同い年のデンマーク人と比べて、6年程度の英語学習歴のギャップがある…。
 日本では日本語を話すことができれば、ある程度問題なく暮らすことができると思う。しかし、デンマークでは大学の授業も英語で開講されるなど、英語ができなければ日常生活に支障をきたすものと思われる。もちろん、日本で育っても英語がとてもできる人もいるが、母語さえできれば生きていけることについて、日本人の甘えな気がしてデンマーク人に話してみたところ、次のように言われた。
 デンマークは国の規模が小さいから、外国と関わらないと国として回ることができない。何もかも翻訳するほどの人もいないし、翻訳をして採算を合わせることもできない。だから、英語やドイツ語などを勉強しないといけないんだ。日本は、人口規模も経済力もあるから、日本国内だけでもある程度、経済を回すことができる。母語しかできなくても生きていけるのは、甘えじゃなくて、それだけの国力があるということだと思うよ。
 なるほど、国力の問題なのか、と思った。例えば人口をとっても、デンマークは585万人であるのに対し、日本は1億2000万人もいる。また、日本は島国で外国人が少ないのに対し、デンマークは他の国からの移住者(主にEU圏)がいる。私は、自分の英語ができないことがコンプレックスであるから、このような考え方はとても新鮮だった。
 また、第三言語の学習について一つ疑問が生じた。日本の高校では、古典の授業で古文と漢文(中国語じゃなくて昔の中国語)を勉強する。デンマークでも、少しだけ昔のデンマーク語を勉強するが、そのための科目が設定されるわけではないし、それほど今のものと変わらないようだ。日本の学習過程では、なぜ現在使われているものよりも過去使われていた言語の取得というか学習に時間を割くのか不思議に思わずにはいられない。確かに、古典を学ぶことでいくらか日本の文化を理解することができるのかもしれないが、実用性という意味では…と思った。外国に目を向けるのがいいこととか、外国のようにすることがいいこと、だとは言わないけれど、言語を勉強する意義を考えた上で、第三言語のあり方として、古典と外国語の選択肢があっても良いのではないかと思う。

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