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患者SNS「ミライク」間質性肺疾患コミュニティ|あおさん(全身性強皮症による間質性肺炎)インタビュー

全身性強皮症は膠原病の1つであり、指定難病です。
皮膚や内臓が硬くなり、内臓病変を起こします。

全身性強皮症の患者さんの半数に、肺の間質に炎症や線維化が起こり間質性肺炎がみられます。
ミライクの間質性肺疾患コミュニティに参加している、あおさんも最初の症状から約半年後に、間質性肺炎の症状が発現しました。

▼ミライク間質性肺疾患コミュニティは下記から

今回は、あおさん(全身性強皮症による間質性肺炎の患者さん)に、病気について実際の経験や、同じ病気の方との交流についてお伺いしました!


間質性肺炎とは

私たちが吸った空気(吸気)は、気道(気管や気管支など)を通過し、最終的に肺の奥にある「肺胞」と呼ばれる風船のような部屋に運ばれます。この肺胞には薄い壁があり(肺胞壁、あるいは間質)、その中に毛細血管が流れています。(中略)間質性肺炎は、さまざまな原因からこの肺胞壁に炎症や損傷がおこり、肺胞壁が厚く硬くなり(線維化)ガス交換がうまくできなくなる病気です。

難病情報センターホームページ(2023年11月現在)から引用

あおさんプロフィール・病歴

あおさんのミライクプロフィール

ーー簡単な自己紹介からお願いします。あおさんのお人柄なども知りたいので、お休みの過ごし方や趣味なども教えてください。

あおです。来年、還暦のアラ還です。
夫と3人の娘と暮らしています。

休みの日はほぼ動けてないですね。
ベッドとダイニングテーブルの間を、行ったり来たりかな。

食いしん坊なので、本当はお料理が好きなんです。
でも後片付けができないので、最近は三ツ星ファーム(冷凍の宅配弁当)を頼んでます。

三ツ星ファームを取り入れてから、必ず食べるものがある安心感がありますね。
ラザニアとバターチキンカレーが美味しかったです。種類も豊富で助かってます。

一番下の娘はまだ大学生なので食事の用意をしてあげなきゃならないんですが、レンジで温めるだけなので無理せずに済みます。

ーーミライクのプロフィールに「辛い時もありますが、仕事が私を支えてくれています」と書かれていますね。お仕事について、お聞かせいただけますか?

在宅で、ケアマネージャー(※)をしています。

※ケアマネージャー…高齢者などに対し、適切な介護や福祉サービスを提供するためのプロフェッショナル。利用者のニーズから、適切なサポートプランを策定し、関連機関と連携してサポートをおこなう。

元々は、がん末期の患者さんが暮らす施設で看護師をしていたんです。
普通の施設とは違って、麻薬の管理や点滴といった、看護師の仕事がたくさんあります。
元々ホスピスでの勤務を希望していたのでやりがいはあったんですが、体への負担は大きかったんですね。

症状が強くなってきて、訪問看護に移りました。
そこの管理者の方のお誘いで、今はケアマネージャーとして働いています。
障害者枠もあるので、来ないかということで。

コロナの感染拡大防止のため、訪問が必須ではなくなったんですね。
なので、主に在宅勤務でケアプランを作ったり、利用者さんに電話で様子を伺ったりしています。

利用者さんも私の病気のことを知っているので、電話したときに逆に体調について聞いてくれたりするんですよ。

「あなただけが頼りだから、無理しないで」「大変なときは言ってね」って仰ってくれるんです。

起きているのが大変な時もあるんですが、利用者さんの言葉とやりがいが、私を支えてくれています。

診断がつくまでの苦労や経験。専門医との出会いによる好転

ーーミライクの事前アンケートで、「自分の経験を共有したい、 自分と同じ目にあう人がいないといいなって思う」と書いていただきました。それはやはり診断までの苦労でしょうか。

最初の症状は、足の浮腫みから始まったんです。顔も浮腫んできちゃって。

周りはベテランの看護師ばっかりだったので、すぐ循環器に行けと。心不全とか疑いますんで。
でも違ったわけです。

加えて、関節痛が出てきたので次はリウマチを疑いました。でもリウマチの検査も陰性。
そうこうするうちに、関節の可動域が狭まって手が握れなくなっちゃったんです。

血液検査で数値が出ないリウマチもあると聞いていたので、リウマチの専門病院で診てもらった方がいいかなと思ったんですね。

調べてみたら「とうきょうスカイツリー駅前内科」に関節リウマチ科と膠原病内科がありました。

それで行って手を見せたら、一発で「あ、強皮症ですね。」って。
「レイノー(※)出てるでしょ」と。

※レイノー現象…血管障害により指先や足が変色したり、潰瘍ができること。

先生に一生ついて行く!って思った瞬間でした。
その後血液検査をして、膠原病の強皮症と確定しました。

ーーとうきょうスカイツリー駅前内科の先生との出会いが、正しい診断に導いてくれたんですね。

すごくいい先生なんです。

診察に行くと、必ず手や腕を触って診察してくれる。
触りも見もしないで、「変わりなし」って言う先生とは違いますよ。

足の浮腫みも、浮腫みじゃないって教えてくれました。
「押してへこまないのは、浮腫みじゃない。強皮症の症状。」と。
専門医にかかるって、やっぱり大事です。

私の職場には自分を含めて、たくさん医療従事者がいたのに、誰も膠原病を疑わなかった。
浮腫みでないこともわかりませんでした。
それだけ判断が難しいんだろうなと。

私の症状や体験を知った人が、「自分も同じかも」と感じて判断の参考にしてくれたら良いなと思います。

今行っているのは順天堂大学の呼吸器内科です。
そちらも良い病院ですよ。

順天堂さんの方には難病センターがあるんですが、色々と相談に乗ってくれます。
車椅子を借りたいのになかなか借りれないとか、就労したいのに困ってるとか聞いてみると良いと思います。

駐車場におじさんがたくさんいて、車椅子がいるって言ったら持ってきてくれたりするんですよ。
甘やかされてます(笑)

ーー間質性肺炎の症状が出たのは、いつ頃ですか?

最初に症状が出てから、半年後くらいです。
膠原病の強皮症に伴う間質性肺炎と診断がついたのは、さらにその半年後。

膠原病と言われたときに、自分から喘息の症状があることを先生に伝えました。
関係があるんじゃないかなと思って。

そしたらスカイツリー駅前内科の先生が、すぐに大学病院に行くように言ってくれて。
そこで診断がついています。

初めの症状が出てから、診断まで10ヶ月くらいかかりました。
その間にも間質性肺炎は進行していました。肺は普通の人の2/3くらいしかないです。

もっと早く診断がついていたら、間質性肺炎もこんなに進行しなかっただろうと思いますね。
早くに専門医に繋がれることが、本当に大事だと思います。

ーー強皮症・間質性肺炎の診断がついたときの、お気持ちをお聞かせいただけますか?

「私のだるさと具合の悪さは、気のせいじゃなかった、良かった。」

そんな気持ちでした。
体がだるくてだるくて、全く動けない時があったんです。

怠け病かしらとか、 精神疾患かしらとか…色々考えちゃう。
うつ病かな、更年期障害かなって…病名がぐるぐると。気合が足りないのかな、なんて。

診断がつかないことが不安につながっていたので、膠原病ですって言われたときは、ほっとしましたね。

ーー肺移植の順番待ちをされていると聞きました。肺移植を決断するまでの流れやお気持ちをお聞かせいただけますか?

間質性肺炎の薬は使っているんですけど…進行が止まらないんでしょうね。

こればっかりは運なので。(効くか、効かないか)
仕方ないことはわかっているんですが、だんだん動けなくなってきてるんですよ。

それで先生に、肺移植を打診されたんです。
最初に順天堂大学を受診した時にも勧められていたみたいなんですが、バタバタして良くわからなくて。

私、最初から「延命拒否で」って伝えていたんですよね。
エクモも人工呼吸器もなしって。間質性肺炎だから人工呼吸器が辛いのもわかりますし。

だから肺移植については、すごく悩んだんですよ。
ですけど、B型なんで、悩むのも24時間から48時間って決めてるんですね。

元々、自分は死んだら臓器を移植してもいいし、検体でもいいって思ってました。
医療従事者の端くれだから、医学の進歩に貢献したいと。

それを考えたときに、自分は他人に臓器をあげたいとか貢献したい気持ちがあるのに、他の人があげるというものをいらないって言うのは違うんじゃないかなって思ったんですね。

素直に「ありがとう」ってもらった方がいいんじゃないかなって。
好意の循環ですよね。
怖い気持ちはあります。
でも、好意を受け取って進みたいなと。

もうやりたいことは全部やったんで、我が人生に一片の悔いはなしです。
後悔はあるけど、こんなこと馬鹿だな私っていう気持ちはありますけど。
でもやっちまったことも、その時自分ができる最善のことをしたと思ってるので、 後悔はしてないです。

ーー病気との戦いで色々なことがある中で、自分の中で大事にしている気持ちや楽しみなことはありますか?

実は、今は1日がいっぱいいっぱいなんですよ。
障害者1級が取れましたので、電動車椅子と介護ベッドを入れてもらえるようにお願いしているところなんです。
ヘルパーさんも入れようかって話も出ていて、ヘルパー入れながら 仕事するんだって自分でツッコミながら。
ケアマネの知識があるので、トントンと進むんですよね。

呼吸リハをしようと思えば、「ここの病院に呼吸器リハのPTさんいたな」とか、わかるわけです。

病気の方のお家での生活のことは、ケアマネに相談してくれれば良いってことを伝えていけたらなとは思いますね。
情報がなくて、困っている方は多いですから。

あと、来年還暦なのでディズニーランドのホテルでパーティーをしようと思っています。
娘が張り切って準備してくれているので、とても楽しみです。

間質性肺炎の患者の繋がり。読者の方へメッセージ

ーーミライクの間質性肺炎コミュニティに参加してくださった理由を教えて頂けますか?

同じ境遇の方とお話してみたいというのが、大きいです。

X(旧twitter)でもDMでお話することはありますけどね。
実際、X(旧Twitter)のリプライでやりとりしているのは少しお見かけしてるんですけど、直接お話みたいのはあんまりないですかね。
例えば、介護ベッドのことで困っている方に、お声をかけたりはあります。

ただXでの交流はお顔も見えないし、嘘をつく方もいるんですよ。
だから警戒している方が多いんです。

それで信用してもらうには、こちらの個人情報も伝えなきゃならなくて…
ミライクの方が、安心してお話できそうですね。

同じ肺移植待ちの方と、情報交換などできればなと思います。


ーー最後に、記事を読んでくださっている方や、間質性肺炎コミュニティに参加してくださっている方にお伝えしたいことはありますか?

難病になって辛いことの方が多いんですけど、私、全然変わらなかったんですよ。

本当に体が辛い時は、子供に当たったりして、これは逆ギレだなと思いながら、 子供がすっといなくなる時もあるんですけども。
基本的には、機嫌良く暮らしたいなって。
泣いても笑っても同じ一生だから、どうせなら毎日楽しく暮らせたらなって。

だから一緒に病気と戦ってる人に、「一緒に笑いませんか?」って伝えたいです!

最後に

ミライクでは間質性肺疾患コミュニティの参加者を募集しています。
患者様、ご家族、それぞれのお部屋でコミュニティを開始しています。
新たな参加者さまをまだまだ募集中です!
年内には #ミライク でのつながりをより深められるよう、イベントも開催予定です。

▼ミライク|間質性肺疾患コミュニティへの参加はこちらから

【執筆】
三上小夜香・・・薬剤師として大手調剤薬局で勤務後、ドラッグストアのパート、派遣薬剤師を経験。患者SNS「ミライク」note作成や日本初の臨床試験マッチングサイト「SearchMyTrial」投稿を担当しています。
【編集】
藤澤春菜・・・看護師として病院に勤務後、自治体の地域包括支援センターで保健師として地域住民・家族の医療や介護の総合相談・支援業務を経験。患者SNS「ミライク」コンシューマー・マーケティングを担当。