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【イベントレポート前編】肺移植オンライン交流会「肺移植経験者に聞きたい!移植前後の生活や気持ち」

こんにちは!
病気で悩む人が支えあう患者SNSアプリ「ミライク」です。

2024年3月16日に、肺移植の経験者の方にお話を聞くオンライン交流会を開催しました。

肺移植は国内での実施件数が多くはなく、経験者のお話を聞きにくい状況です。
インターネットでも体験談は多くありません。

今回の交流会は、肺移植を経験された2人のミライクユーザ―さんが
「自分の経験を伝えることで、肺移植を考える方・肺移植を経験された方の役に立てれば。」と仰ってくださったことがきっかけで開催に至りました。

本イベントレポートは前編・後編にわたってお届けします。
(前編)肺移植経験者に聞きたい!移植前後の生活や気持ち←今回はココ
(後編)もっと聞きたいアレコレ。フリートークタイム
※後編は2024年6月上旬に公開予定です。


今回のゲストスピーカーは、こちらのお2人です。

肺移植についてのお話は、ミライク「肺移植」グループでも聞くことができます。
※具体的なグループへの参加方法は本記事の最後にご紹介してます✨

肺移植経験者に聞きたい!移植前後の生活や気持ち

※本記事内で紹介している内容は、個人の体験談です。
症状や適切な対処法は、疾患の種類や個人差によって大きく異なる可能性があります。これらの体験談は参考のひとつとし、必ず主治医の先生と十分に相談し、適切な治療を受けることが大切です。

移植前の生活についての質問

Q1. 移植待機期間~移植前にした方が良いことや準備すべきことはありますか?

茄子さん
物の準備より心と身体の準備が大事だと考えてました。朝起きて日光に当たったり、食事をしっかり取ったり、運動をしたり。いい状態で移植手術できたと思うので、そこは頑張ってよかったです。

銀河さん
自宅から移植施設までの移動手段を確認したり、万が一のときのための連絡先リストを作りました。
準備した方が良かったのは、自分に合うサイズのおむつを見つけておくことです。サイズが合わないと横漏れしてしまうので。
歯の治療や、移植以外の手術もしておいた方が良いです。
脱毛の予定がある方は、手術前でないとダメと言われるかと思います。

Q2.移植に向けて頑張ろうと思えた原動力は何ですか?

茄子さん
何かあったらこの先の人生はないのかと思うと寂しく、もっと長く生きたいと強く思っていました。
あとは術後したいことを考えました。もっと頑張って仕事をしたいとか、友達と遊びたいとか。
些細なことだと、好きなマンガの続きが読みたいとか、好きなアーティストの新曲を聞きたいなど。
色々と積み重なって、原動力になったのかと思います。

銀河さん
娘がまだ高校生だったので、 大学卒業や結婚まで生きて娘の姿を見たいなと思っていました。

移植後の生活についての質問

Q3.12時間ごとに必要な免疫抑制剤はきちんと服薬できていますか?

銀河さん
時間を守って飲むように努力しています。
スマホのアラームを設定していますが、月に1~2回は飲むのを忘れて後から飲んだり、1回飛ばしてしまうこともあります。
飲む時間は最初は9時と21時でしたが、朝寝坊の私には辛いのと毎月の血中濃度の検査の時間と重なるので、10時半と22時半に変更しました。

茄子さん
今のところ飲み忘れはないと思います。
7時と19時の12時間毎に飲んでいますが、起床と夕食の時間に近いのでルーティンにしやすいのかもしれませんね。

Q4.移植後の体調や生活の変化はどんなものがありましたか?

茄子さん
酸素をつけなくても動けるようになったことが良かったと思っています。
身の回りのことはだいたい1人でできるし、旅行や長めの散歩もできるようになりました。街中で会っても、健康な人と変わらないかなと思います。

コロナ禍や移植後の制限もあってか、何となくメンタルが安定しない時期もありましたが、少しづつ新しい生活にも慣れて、結構元気に過ごせています。

銀河さん
私も同じで、酸素なしで歩けるようになったことが良かったです。
手術前は歩けませんでしたから。
大変なことはやはり、薬が多くて副作用が出てしまうことです。

私も最初の1~2年は辛く感じることが多かったですが、1人で散歩や車の運転ができるようになると安定してきました。

後はこういう場でお話させていただいたり、質問をいただいて、それに応えられること自体に私も助けられています。

Q5.移植後の食事や飲水量に制限はありますか?

銀河さん
食事のコントロールには、食中毒に注意するものと、免疫抑制剤の血中濃度コントロールに関連するもの、そして感染症の対策があります。
ルールは移植した病院や、本人の健康状態によっても大きく変わります。

大事なのは制限がある理由を理解することだと思います。
例えば一部の柑橘類を避けるのは、フラノクマリンという物質によって、免疫抑制剤の濃度が高くなってしまうからです。
実際にママレードジャムをパンに塗って食べたら、血中濃度が1.5倍になってしまいました。

飲水量は腎機能によって変わりますが、私は術後500mlから始めて、最後は2リットル飲んでいました。

Q6.移植後、感染症対策で気を付けていることはありますか?

茄子さん
手洗いうがいの徹底と、基本的に人混みには行かないよう、空いてる時間帯に出かけるようにしてます。
移植後は看護師さんから感染対策についてレクチャーがあって(部屋のカビ対策や庭の土いじりは避けるなど)、そこは守るようにしてます。あと、今でも迷うことは移植コーディネーターさんに相談してますよ。

言われたことはやって、後は心配し過ぎないで楽しく生活しようと思ってます。

銀河さん
一般的な感染対策に加えて、免疫抑制剤で免疫が落ちているので寝不足や栄養不足に気を付けています。
レジオネラ菌や水虫の白癬菌がうつる可能性があるので、スーパー銭湯は避けています。

Q7.移植後、働き方や仕事は変更しましたか?

茄子さん
移植前は病院などで患者さんの口の中を見る仕事をしていましたが、感染リスクが高いので事務職に変えました。
移植後すぐ障害者雇用にてフルタイムで働いていたのですが、忙しくて体を壊してしまって。
今はフルリモートの職場に転職しました。身体は大分楽になりました。
あと副業的に動画や文章を作ってます。

銀河さん
大手の企業に勤めていたので移植後に復帰できると思っていたのですが、退職するように言われてしまいました。
退職のときに60歳近くだったこともあり、リモートワークもさせてもらえませんでした。
今は障害厚生年金をいただいて暮らしています。

茄子さん
酸素が外れると、体調に関しての理解が得られにくい部分がありますね。
疲れて辛いときも、怠けているように見られてしまう。

銀河さん
病気で休職した社員用の復帰プログラムがあったのですが、
術後に体調が戻りやすい病気の方向け作られているようで、「職場復帰するなら元のパフォーマンスに戻して欲しい」と言われました。会社によって対応は違うと思いますが、厳しい話でした。

Q8.移植後、家族からのサポートはどの程度必要ですか?

茄子さん
私は移植から1ヵ月ほどで退院したので、1人ではできないこともありました。
近くに母親が住んでいるので、本当に無理なときは家事などを手伝ってもらいました。
薬の影響で運転できない時期があり、家族に運転や送迎をお願いしていました。
感染対策として、家族にインフルエンザの予防接種を打ってもらったり、コロナ対策をしてもらったり、家族には本当に感謝しています。

銀河さん
退院して半年も経てば、自分で買い物に行けるようになりました。
通院だけは、最初の1年くらいは娘についてきてもらっていました。
移植前は買い物も付き添ってもらっていたので、移植後の家族の負担は減ったと思います。

Q9.移植後、外出時に気を付けていることはありますか?

茄子さん
やはり気を付けているのは、感染対策です。
カフェによく行くので、混んでいる時間は避けるようにしています。
でも普通にスタバやコメダなど行っていますよ。

銀河さん
私は外出そのものが結構体力を使うので、初めて行く場所は行き方やトイレの場所・車いすの有無などを調べておくようにしています。

Q10.移植後の悩みはありますか?

銀河さん
臓器移植をしていると、近隣のお医者さんが診てくれないことです。
露骨に嫌な顔をされたり、「何でうちに来たのか」と言われたり。
でも大学病院では、「これくらいは近所の病院に行ってください」と言われて板挟みになります。

あと薬剤性過敏症なので副作用が出やすく、術後に飲む薬でも、めまい・腹痛・頭痛・手足のしびれ・神経痛や皮膚のただれなどで悩まされました。
3年付き合ってきて、腹痛などは起きなくなってきました。

茄子さん
病院に拠るんだと思いますが、僕の近所では診てもらえる病院があります。
薬の副作用は多少あるのと、気胸になりやすいですが、これは仕方がないですよね。生活で改善できそうなことは見直して、あとは深く考えないようにしてます。

Q11.移植の選択をして良かったと思いますか?

銀河さん
移植の直後に自己肺の気胸が治らず、ベッドから動けなくなったときは手術を後悔してしまいました。
そのとき、移植医から言われたのは、術後すぐは痛みやリハビリの辛さで手術を後悔したり、精神的に不安的になりやすいけど、手術は成功したのだから前向きに行きましょうと。

私は移植をしなければ近い将来にいなくなってしまう病状だったので、生きているだけで成功。
歩いたり買い物したり、娘の成人式の姿も見ることができました。皆さんとお話できていることも、奇跡だと思っています。

余命宣告された患者にとって、移植して失敗ということはないと思います。ただ、移植しなくても何十年も生きられる状況ならとても悩むと思うし、そもそも脳死移植のレシピエントの順番がまわってこない可能性もありますから、まさにご縁なのだと思います。

茄子さん
移植して悪かったと思ったことはないです。
高校生のときに間質性肺炎と告知されて、その頃は日本で移植例も全然ないし治療法もなかった。
自分は30歳くらいまでの人生だろうと思っていたので、肺移植をして長く生きられるようになって良かったです。

移植をして1年半後くらいに友達と旅行して自然の中を散歩したんですが、友達にとっては何でもない1コマでも、自分にとっては日常の尊い一瞬を感じて、すごく満たされた気持ちになって。

そのときに移植して本当によかったなと思いました。

前編は、肺移植経験者の銀河さんと茄子さんにお話いただいたことをご紹介しました✨

後編は、「もっと聞きたいアレコレ。フリートークタイム」 をお届けします!参加者さんの肺移植に関する気になるポイントや、交流会の様子をもっと知りたい方は是非読んでみてくださいね。
※後編は2024年6月上旬に公開予定です。


おわりに:ミライク【臓器移植】肺移植グループへの参加方法をご紹介!

今回のオンラインイベントにご参加くださった方の多くは、
ミライクの【臓器移植】肺移植グループに所属されています。

今後イベントを開催させていただく時は、グループ内でお知らせさせていただきますので、ぜひご参加いただけますと幸いです✨

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参加が完了したら、まずはメンバーさんにグループチャットでご挨拶をしてみてくださいね✨
※グループでできることについては、詳しくはこちらの記事をご覧ください。


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