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#001知的重度の自閉症児16歳の自力通学一部始終①【リアルレポート】

こんにちは。
自閉症児Kの母みいこです。

特別支援学校に通うことになった高等部入学の春(2020年4月)

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知的障害重度の自閉症児なので、やっぱり心配なのが、『通学』です。
今まで、一人で交通機関を利用したことなど一度もありませんでした。

しかし、学校説明会では…

小・中学生でいっぱいいっぱいなので、
基本的に高等部の生徒はスクールバスに
乗車することはできません。

というお話しがありました…

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もちろん義務教育が優先ですが…

「知的障害重度なのに…」

という言葉を飲み込みました。
定員オーバーで、
物理的に無理なのでここで
どうこう言ってもしかたない。

じゃあどうやって
通学したらいいのだろう?

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学校まで、混んでたら車で片道30分近くかかるため、毎日の送り迎えは難しい状況。学校までJRとバスを乗り継いで、たっぷり一時間かかります。

一人で交通機関を利用なんて出来るわけない…と思っていたのですが、そんな甘いことを言うことも許されず…


もう「やるしかない」状況でした。そこで今回は、知的障害重度の自閉症児が交通機関を利用して、

・練習を重ねて特別支援学校まで自力通学する様子
・自力通学の重要性
・将来性


についてリアルな体験レポートを
紹介していきながら、
お伝えしていきます。

自力通学のルートは、
大きく分けると5つになります

知的障害重度の自閉症児の自力通学ルート

1.自宅から最寄り駅
2.電車に乗車と降車
3.電車からバスに乗り換え
4.バスに乗車
5.バスの降車から学校まで


を1つずつ紹介していきます。

知的障害重度の自閉症児が
どのようにして
通学しているのか?

それぞれに気づきや難関があり
そのリアルな一部始終を
お届けしていきます。

1.自宅から最寄り駅


まず最初のルートは、
『自宅→徒歩10分→JR最寄り駅』
についてです。

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自宅から出発するK


入学前に登校時間に合わせて毎日付き添い、シミュレーションを行いました。自閉症児といっても個々によって特性は人それぞれ違います。予めわかっていることに対しては、わりとすんなり受け入れることが出来るため、Kにとってはシミュレーションを行うことは重要でした。

10回やればOKというわけでもありません。しっかり身について、一人で出来るようになるまでシミュレーションを行う必要があります。

自宅から最寄り駅までは
信号が一つもないため、
そこは難なくこなせました。


ほとんど喋らず、聴覚過敏でイヤマフを使用。よく空を見上げてはニコニコしています。凡人には見えてないものが見えているのかも…?

しかし、わかっていないようで、チラッと見ただけでいろんなことを把握している様子。

Kは光とともに…~自閉症児を抱えて~
の、ひかるくんみたいなタイプです。

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まだSNSなどもなく、
あまり情報もないこの時代。
この本は、私のバイブルでした。


2.電車に乗車と降車


2.1自動改札機通過

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自動改札機にSuicaをタッチ。乗り鉄のKとは毎週土曜日、電車の旅に出かけているのでここは慣れたもので、すんなりクリア。普段からいろんなことに慣れておくのも大事なことですね。

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2.2乗りやすい車両はどこ?

朝の時間帯「電車は先頭、中央寄り、最後尾と、どの車両が乗りやすいか?」を検証したところ、先頭車両がわりと乗車率が低く、座れることがわかりました。

2.3障害のある方も女性専用車両に乗車可能

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「女性のお客様のほか、小学生以下のお客様、お身体の不自由なお客様とその介助者の方もご乗車いただけます。」と書いてありましたが…

「きもっ」とか、すれ違い様に言われることは今でもあります。言わなくても、汚いものでも見るようなあからさまな視線とか。何万回も感じました。でも、その気持ちもわからなくはないのです。

家族や職場、同じクラスなどに障害のある子がいなければ一般生活において障害者と呼ばれる方と接点がないからです。

私はKの母なので、Kが人に手を出さないことは知っています。が、電車で一人で大声で喋っている人などがいたら、何も言わず私もスッと席を移動します。

保護者はわかっていても、他人はそうじゃない。「何をされるかわからない恐怖感」がある、ということを念頭においておかねばなりません。

また、「異質なものを排除しようする日本特有の文化」の影響も少なからずあるでしょうね…。「アメリカなどに移住したらもっと自由にKらしく過ごせるんじゃなかな」などと、本気で移住も考えたものです。

「付き添いなしで一人で交通機関を利用できるようになること」が、目標です。

・女性専用車両も結構混み合う。
・電車に乗ると嬉しくて声が出ることがある
・窓の外をキョロキョロ眺める。
・混みすぎると、降りれない可能性あり。
・チカン呼ばわりされた時に、反論出来る術がない。


以上の理由から、比較的空いている先頭車両に乗るのがベストと判断。とにかく普通に交通機関を利用できるようになった方がゆくゆくは本人にとってもいいことですし、避けられるリスクは避けたほうがいいですからね。

2.4ヘルプマークにも助けられてます


「柱の横の緑の線の前」と、
電車を待つ位置も固定に。

目で見てわかる支援は
彼の特性に合っていて
「身に付けやすいから」
という理由からです。

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しかし。

普通高校の生徒は、

・音楽聞いたり
・スマホ見たり
・参考書を見たり

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ドアの開閉とか大好きなため
(左右対称の動きを見るのが大好物)
食い気味にキョロキョロと
電車を見ているのはKだけです。

傍から見たら、
もう違和感しかないですよね…。

周りの方も初見では

「え、何コイツ?」

という表情を一瞬するのですが、
イヤーマフも付けてるし、
ヘルプマークに気付いた方は

「あ、なんかワケありっぽいけど
頑張ってるんだね。」


という感じで、スルーしてくれます。

悪意のない同情の言葉をかけられるより、
さりげなく見て見ぬふりをしてくれるほうが
気持ち的にもありがたかったです。



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駅のホームで電車を待っている時。


同じ時間の電車に乗るので、
乗客もだいたい、いつも一緒です。


ヘルプマークの存在、
とても助かります。
お住いの市町村自治体の
「障害者支援課」などで
無料でいただくことが出来ます。

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2.4いよいよ電車に乗車


JRに無事に乗車。先頭車両の乗車率はそんなに高くないので、座ることができます。座ったらリュックを下ろして、ひざの上に置く。カサがある時は、ひざの間にはさむ。それもOKでした。

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2駅乗って、目的の駅で下車しました。ここは練習を積んでいたので、バッチリでした!



2.5定期にも一工夫


定期の中にも 「職員の方へ。残高には気をつけていますが、もし残高不足で困っていたら、チャージしてあげて下さい」と書いたメモと千円札を入れてあります。これだけでは支援が足りず、後々トラブルに…。

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ちなみに定期ではなく、Suica利用なので、週末は必ず残高をチェックします。これを忘れてて、ここでもトラブルになりました…。後々、記事に書いていきます。スマホも持たせていますが、高一のこの時点ではまだ通信手段として使いこなせないため、GPS代わりにリュックに入れています。


次回は難関の「電車からバスに乗り換え」編です。

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よりによって、千葉県で一番混雑するターミナル駅での乗り換えです。

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#002に続きます。


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