子供に自分の感情を伝えられない友人の話。
「つい先日、ショックというか、受け止められなくて悲しくなったことがあって」
と、話を切り出した友人。
大学4年生になる娘さんのお話です。
就活真っ只中の娘さんは、ひとつ内定をいただき、あと数社の最終選考が残っている状況。
娘さんが希望しているのは「営業職」。
友人からみた娘さんはとても営業なんてこなせるタイプではなく心配だと言っていました。
友人がショックを受けたというのは、娘さんが営業職を選んだということではなく、
「一人暮らしを希望している」
ということでした。
友人は基本寂しがりやさんで、息子さんが大学進学で一人暮らしをする時もとても寂しくて辛かったそうです。
それでも息子さんに寂しい感情をぶつけたら息子さんの未来に重荷になってしまったら嫌だからと、息子さんの前では平静を保ち、絶対に寂しそうにしてはいけない!と頑張ったそうです。
子供に気づかれないように泣いていたと。
今回娘さんの就職について、友人は勝手に想像していたそうです。
自宅から通える職場を選ぶだろう、と。
自宅から通えるから、毎日会えるだろうと。
親目線で勝手に想像していたそうです。
しかし娘さんは全国に転勤の可能性がある会社ばかりを選んでいて、実家を出て一人暮らしを希望していたのを、内定が出てから知ったそうです。
それに対して友人はショックだったそうです。
娘さんが、自分の考えに及ばない想像外の望みがあったこと。
そして娘さんが離れていき自分が寂しくなってしまう環境になることへの不安。
娘の成長を自分の感情で阻んでしまうのではないかとの恐れ。
そんな感情で落ち着かないんだ、と。
寂しいけど娘を応援したい気持ちはある。
だけど娘が1人でやっていけるのか心配だし、自分も寂しくなって辛くてもやっていけるのか、と。
「寂しいなぁということは、娘さんに伝えた?」
と聞くと、伝えていない、伝えたくない、分かっているかもしれないけど伝えたくない、と。
なぜ伝えたくないか聞くと、
娘に余計な心配をかけたくない
娘の未来の重荷になりたくない
と言っていました。
自分の感情に蓋をするのは良くないと思うよ
寂しくなるなぁと伝えてもいいと思うよ
伝えても娘さんは一人暮らしを選ぶと思うよ
自分が寂しい気持ちを閉じ込めなくていいと思うよ
娘さんを信じていいんじゃない?
そんな話をしました。
自分の子供がいつのまにか自分の人生を自分で決断し生きていきたいと思うことは、本当は親にとってはとても喜ばしいこと。
でもやはり、親から巣立つ子供を見守るのは、急に寂しくなるものです。
親も子離れする時期がやってきます。
一緒に住んでいても親離れ子離れしている関係もあるし、そうでない場合もあると思います。
友人の場合、もしかすると物理的に離れることで親離れ子離れができるようになるのかもしれません。それを娘さんは感じ取っているのかも。
話を進めていくと、ある事に気づきました。
友人と友人のお姉さんと、お母様との関係です。
友人のお母様はお父様に従ってきた人生で、友人はあまり父母の夫婦間の関係をよく思っていないようでした。
母がかわいそうだと思っている、と。
だからお母様が望む時には、今でも自分の都合を合わせてお母様に会いにいくそうです。
それは全く苦にはならないと。
ただご実家の近所にお姉様が住んでいるが、お姉様はご両親のわがままの相手をするのにうんざりしているとのこと。
どうやら友人はお姉様のことを見ていて、
親の感情に振り回されて、子供が迷惑だったら嫌だ
と思っているようで、子供と離れて寂しくなるという感情を子供に伝えたくないと思っているようです。
整理すると、
お姉様がうんざりしているのは、お姉様の感情。
子供達が同じくうんざりするかは分からない。
子供達に感情を伝えた先のことは分からない。
子供に迷惑がかかると思っているのは、お姉さまの態度からそう思ってしまうだけ。
お姉様と子供達は同一ではない。
そんなふうに思いました。
友人の寂しく辛い気持ちは分かります。
私も娘が(まだ一緒に住んでいますが)一人暮らしのために計画を立ててるよ、と言った時には、オドオドしてしまいましたから(笑)。
娘さんは、友人が寂しく感じるのを分かっていても自分の道を選ぶんだから凄いじゃないですか。
1人でやっていこう!と思っている時に背中を押してあげるのはチャンスですからね。
親にとっても子供にとっても。
親離れ子離れってどういうことなのかな。
自分の子供は生まれた時から親の所有物ではないから、生まれた時から離れていると思うけどなぁ。
親としては子供の幸せを願うばかりなのだから、寂しい気持ちを感じつつ、子供を応援できたらいいですね。
周りでは子供の結婚の話も良く聞くようになりました。
ますます親離れ子離れが必要になるでしょう。
友人がどうか寂しさを乗り越えて娘さんを応援できますように!
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