新卒1年目で適応障害になった話
秋めいてくるとあの頃を思い出すのでお話をさせてください。
私は大学を卒業後、ご多分に漏れず一般企業に入社しました。
私の会社は総合職一括採用のため職種は採用時には分からず、新人研修の途中に「営業職」として配属が発表されました。
当時は営業職に大きな抵抗はなく、配属前に新人営業向けの本を読んだり、顧客業界のことを調べたりして新しい環境をドキドキしながら迎えたことを覚えています。
配属
同期達との楽しい研修を終え、ついに配属。
なんと私は配属先の部署で10年ぶりの新人でした。
さらに配属の部は私以外全員男性。さすがに緊張しましたが、先輩は優しく迎え入れてくださいました。
私は初年度の目標を言い渡されそれをもとにOJTの方と活動していくことになりました。
なんだかうまくいかない日々
私の配属された営業部署は、いわゆる「アカウント営業」の部署でした。つまり、決まった何かの商品などを売るのではなく、大雑把に言うと「お客様のお話を聞いてそれに合った製品やサービスを社内から探して提案する」というような形でした。
これが新人の私にはかなり難しかったです。
私のやることは「とにかくお客様に会う」こと。しかもその相手は部長クラス以上。
営業なので当たり前のことなのでしょうが、それでも新人の私にとっては、いきなりお客様の部長クラスの方に「会って話を聞く」ことはかなり困難なことでした。
私は決まった手順を正確に処理することが得意であり、性格も慎重な方なので、決まったネタがないのにお客様を「とりあえず」訪問するということがストレスになっていたのだと思います。
先輩の協力もあり、一応お客様の訪問はできるものの、話は進まない。
こんな状況で目標達成などできるのか…と不安になったり、
もっとああすればよかった、こうすればよかった…と思い悩んだりすることが増えました。
発症?
私は毎日のように意味のない「一人反省会」を繰り返していました。
特に家に帰るまでの道のりや土日はほとんど仕事のことを考えていました。
当時は実家に住んでいたのですが、家に暗い顔で帰るわけにはいかないと思い、家に着く直前までは反省会をし、どうにか切り替えて元気に「ただいま!」と帰ってくるようにしていました。
土日は彼氏や友達と遊んだりしていましたが、頭の片隅には必ず仕事のことがありました。特に日曜日はお昼ごはんを食べ終わったくらいから「明日は月曜日…」と憂鬱な気持ちになっていました。
ある時から、毎日通勤電車で涙が出るようになりました。
電車に乗って窓の外を見ていると、自然と涙が流れてくるような感じです。
周りの人からどう見られているかも気にせず、たらたらと涙を流していました。毎日のことでしたので、だんだんそれをおかしいとも思わなくなりました。
電車以外でも、家でお風呂に入っているときなど人に見られていないときは無意識に泣いているような状態が続きました。
「きっと周りの人もこれ以上に辛い思いをしているんだ」と自分に言い聞かせていました。
さらに「死にたい」となんとなく思うようになりました。特に駅のホームで電車を待っているときや、道路で信号待ちをしているときに「今飛び込めば…」とたびたび思うようになりました。
寒くなってきてマフラーを巻いて通勤していましたが、帰り道に人通りのないところでマフラーで首をきつく絞めてみたりすることもありました。
思い返せば明らかに異常な状態なのですが、当時の私は家族や友達、彼氏になかなかそのことを相談できずにいました。「周りはもっと大変なんだ!」とずっと思っていたからです。遊びに行くまでの電車では泣いているのに、なんでもないような顔で遊び、また帰り道で泣くというような休日を過ごしました。
自覚、そして休職
毎日電車で泣く日々が2か月近く続いたころ、私は会社の大々的なイベントに参加しました。そこでは著名な方が「夢を叶える」ことについて素晴らしい講演をしていました。私はその1時間近くの講演を絶望しながら聞いていました。
その講演を聞いてからさらに状況は悪化し、仕事中、PCに向かいながら「会社でどうすれば死ねるか」を考えるようになりました。
ある日、大きな窓がある部屋でセミナーを受けたとき、
「今この窓を割って飛び降りれば…」と本当に馬鹿な妄想で頭がいっぱいになっていることもありました。
その頃、違う会社にいる高校からの友人が同様に辛い状態になっており、会社を休職する、という話を聞きました。
私は人の話を聞いたことでやっと自分を客観視することができました。
自分もあまりよい状態ではないのでは…と気づき、会社のカウンセリングルームに行くことにしました。
カウンセリングの時はほとんど泣いていました。
その場で産業医面談の予約を取ってもらい、後日産業医面談を受けました。
そこでも私は泣いたり震えたりしており、「とりあえずしばらく休みましょう。」と休職の指示書が出ました。
面談後に上司と会いました。私は何も成果を出していないのに申し訳ないという気持ちでいっぱいでしたが、上司のとても心配そうな様子が記憶に残っています。
たいして溜まっていないタスクを先輩にお願いし、私は少し会社を休むことになりました。入社した年の12月のことでした。
休職スタート
しぶしぶ両親に「死にたいと思うことが増えたので休職することになった」と伝え、休職期間がスタートしました。
休んでおいておかしい話ですが、最初の1週間くらいは「なんで私は仕事に行っていないんだろう、最低だ」という気持ちでいっぱいで辛かったです。
産業医に指示された通り実家近くの心療内科に行き、不安を軽減するお薬を処方されました。また、診断書を書いてもらい会社に提出しました。
診断名は「自律神経失調症」でした。
だんだん落ち着いてきた私は、本を読んだり、Twitterで同じようにメンタルで悩んでいる方とつながったりして、メンタルヘルスについて勉強をするようになりました。
転院
二度目に実家近くの心療内科に行ったとき、医師にとても雑な対応をされ、ひどく悲しい気持ちになりました。
定期的に行うことになっている産業医面談でそのことを話すと、産業医の方にとある心療内科を薦められました。
実家からはかなり遠い場所ですが、私はそこに行ってみることにしました。
そこの先生は少し変わった方でしたが、しっかり話を聞いて様々なアドバイスをしてくださりました。
自分自身でもそうだとは思っていましたが、調子が悪くなってしまった原因は「仕事が自分に合っていないこと」でした。
なので休職期間中に自分が得意なこと、好きなこと、そして苦手なことをしっかり分析するようにと言われました。
「適応障害」の診断書をもらい、その時点から1か月休職を延長することになりました。また、抗不安薬だけでなく抗うつ薬(SSRI)を処方されました。
この抗うつ薬が私にはてきめんに効きました。
副作用として朝まったく起きられないのですが、常に心にぼんやりとある暗いものが晴れ、物事を前向きにとらえられる時間ができるようになりました。
抗うつ薬を服用していたのは短期間でしたが、上記のような気持ちを味わうことができたおかげで、精神状態は少し改善しました。
復職
上記の転院と薬の効果を転機に、私は復職を考えるようになりました。
何度か会社に足を運び産業医や上司と自分の体調や復職について面談をし、数日間「通勤訓練」(決まった時間に会社に来る練習)を行うことになりました。
また私はその期間中に実家よりかなり会社に近いところに引っ越しをしました。実家から会社までは片道2時間近くかかるため、通勤によるストレスを軽減できればと考えたからです。
通勤訓練は無事に終わり、私は約3か月ぶりにもといた部署に復職しました。
医師との話でも営業職は合っていないといわれていたため、
復職後は直接お客様とやり取りするような仕事ではなく、資料作成など事務的な仕事をすることになりました。
復職初日はかなり緊張しましたが、職場の人は普通に接してくださり、すぐに落ち着いて仕事に取り組むことができました。
それ以降から現在に至るまで、大きな部署異動はなく、基本的には自分に合った仕事をしています。
まとめ?
まとめというほどではありませんが、新卒入社1年目でメンタル崩壊~休職の経験をして学んだことは下記の通りです。
・休日も仕事のことで頭がいっぱいになったり、趣味を楽しめなくなったりしたら不調の証拠
この時点で何らかの対処が必要だと思います。すぐに心療内科を受診!とは言いませんが(いい医者やお薬に巡り合えるかは運かなと…)こういった状況で無理を重ねるべきではないです。
・考え方や行動を変える前に今自分がしていることが自分に合っていることなのか考える
ビジネスマインドの本を読んだりして「自分の考え方がよくない!」と自分を責めて無理をしても逆効果なだけだと思います。
・(自分のことが嫌いでも)「自分優先」にする頻度を少しでも増やす
結局自分がストレスまみれだと人のことを考える余裕もなくなるので、自分に合っていること、自分が心地いいことを少しでも増やして心に余裕を作らないと生きていけないと思いました。
以上です。
正直自分はメンタルは強いほうだと思っていました。
しかしこの新卒1年目の経験からメンタルが弱い人間なんだなと自覚させられました。
今も、ここに書いたような深刻な状況ではありませんが精神が不安定になり薬を飲んだり1日中寝込んだりすることが稀にあります。
でもそのような時も「休んでもいいんだ」と今は思えるので、その分だけは成長したかなと思います。
メンタルの不調は深刻化するだけ人に相談するだけではなかなか解決しないものになると思います。
しっかり休んで、たまに自分と向き合って、ゆっくり改善していくことがベストです!
ここまで読んでくださりありがとうございました。
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