余命10年 小坂流加

久しぶりに本を読んで涙した。
私があと10年しか生きられなかったらどうする?
そんなことを考えながら、10年という「長さ」と「短さ」そのどちらもを感じさせてくれた。

私が中学生の時父は亡くなった。
闘病の末亡くなったから、死と向き合う時間が長くて。闘病は死を徐々に受け入れていけるという幸せなことである一方で、本人も家族も疲弊するという辛い運命でもある。私はそんな父と母を見て、大事なものは多く持っていてはいけない。そう中学生ながらに思ったし、家族というものは切っても切り離せないものだという認識になった。この闘病がなければ家族というものを痛感せずに大事にしない自分になっていたのかもしれなかったのかもしれないが、この闘病によって、私は家族を背負ってきてしまったような気もする。

だから、この小説の中で、家族との関わり方と大事な人との向き合い方を読んで、自分と重ねる部分が多くて、辛かった。

父のことを忘れたことはないし、自分が迷った時、感動した時、過去を振り返る時、いつも父と会話をする。いたらどうだったのだろう?何て声をかけてくれるのかな?そう思う。生きていたら疎ましい存在だったのかもしれないし、仲良くやっていたのかもしれないし、タラレバになってしまうのでなんとも言えないけれども、亡くなった人は綺麗な思い出を鮮明に残していく。嫌なこともきっとたくさんあったはずなのに、良いところばかりしか思い出せない。辛かった大変そうな姿の中に、それでも一生懸命生きようとして、良い思い出を残そうをしていた姿が鮮やかに残っている。

そんな姿が主人公と重なった。

人はきっと自分が生きてきた理由を求め、自分が生きてきた証を残して亡くなりたいと思うんだと思う。それは、自分が忘れられてしまう恐怖があって、若ければ若いほどそう思うのかなと。
私は父に家族を教えてもらって、楽しいこともたくさん教えてもらった。できないことをできるように乗り越えることの大切さも教えてもらった。彼が生まれてきた意味は、私の人生の礎だと思う。強く生きたいと思っていたのに、色んなことしたいと思っていたのに、いつの間にか自信をなくして、努力することは好きだったはずなのに、義務だと思っていた気がする。

この本に出会って、私はどう生きていくのか。なにをしたいのか。なにを成し遂げたいのか。努力もやりたいこともやりたい時にやっておかなければならないこと。1日は1日でも、前に進むことを諦めてはいけないこと、思い出させてもらった。

誰かのために生きるわけではなくて、自分のために生きていい。でも、誰かのために頑張る力は100%以上の力が出せる。
そう最近人に教えてもらった。
その話を聞いて自分というものに悩んでいたところに、間違ってなかったのかもと思えるようになった。
まだまだ人生半ば。でもこの毎日は当たり前じゃない。だから大切に日々生きていきたい。

たくさんの感情を抱かせてくれた。

来月、映画が公開されると知り、父が亡くなって2年後位に知ったRADWIMPSが音楽を担当することとなり、気になった本。小松菜奈さんの演技はほとんど見たことはないけど、本から得るイメージとビジュアルでは少しギャップがある。でも、1年かけて減量したり一生懸命役作りしたり、作中通りなら可愛いシーンの小松菜奈さんも見られると思っていて、それはめちゃくちゃ楽しみだし、坂口健太郎さんの憂いた演技も見られるのかと期待満載ですごく楽しみ。

あなたにとって今日も素敵な1日でありますように。

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