「うちで踊ろう」の楽曲解説と、アレンジを4パターンも作ってしまった話。
今日は音楽の話を。
社会現象となった星野源さんの「うちで踊ろう」
連日テレビでも放映され、いろいろな方がコラボレーションしていて、多種多様なアレンジが賑わっています。
私もこの投稿を見たときに「つくりたい!!」と思い、結果4パターンの「うちで踊ろう」を作ってしまいました。。。。!!
「作ってしまいました」という表現になるのは、自分でもこんなにたくさんのバージョンを作ることになるとは夢にも思わなかったからです......!!
ひとつ作り終わるとまた新しいアイディアが生まれてきて、何かに突き動かされるように連日作ってしまったんだけど、これを作っている間はすごく集中して不安なことも忘れてしまう、心のバランスを保つにはとても楽しい時間だったからだと思います。
全部アレンジが違うのでどうしてそういうアレンジになったのか等、全4パターンを音楽的に解説したいと思います!
の前に、まずはこの楽曲がどのように素晴らしいか解説したいと思います。
楽曲のすばらしさ
まだ楽譜がアップされる前だったので、まずは耳コピからしたんですが、
コードがこれまたお洒落でびっくりしました。
実際に演奏してみると
え!ここでこのコードなの!?
と思った方、多いのではないでしょうか?
現在、楽譜が公開されているのでそれを参考にびっくり&素敵ポイントを楽曲解説したいと思います。
(ここから先、コードの知識がないとわかりにくいかもですが、「C」「D」のようなアルファベット1文字だとシンプルな響きでそこに-(マイナス)がつくと暗い感じの印象に、#や♭、数字が増えていけばいくほど、複雑な響きやお洒落な響きになると思ってください。)
この楽譜を見てもわかる通り全体的に数字がついているので、基本的にちょっといい感じのコードで全体が構成されています。
まずびっくりしたのが、4つ目のコードG7からそのままコード変更しなくても曲は成り立つのに、
その次にD♭7♯11 がくる!!
というところです。
このコードを簡単に説明すると、
マスカルポーネチーズがティラミスになった、みたいな凝ったコード!
ここ、完全にピアノ的なコード進行でジャズっぽい響きなんですが、要はこのコードによってお洒落な感じがかなりプラスされます。
次に「いーっしょに~♪」(9・10小節目)のところのコード。
A-7 B-7 の次が普通なら C 行って D挟んで戻るのに、ここは
A-7 B-7 F/G となってて。
F/Gの浮遊感がものすごく際立っています。
C に行ったら普通でつまらないし、着地感があってよくある安心感は覚えるけど、平凡な印象。
F/Gにすることで、わくわく!期待!未来はどうなるのかな(*´▽`*)みたいに聞こえるんです。
そして2週目(楽譜だと11小節目)からは
コードを2拍ずつ変化させることで、ギター一本でも動きが加わっていて、
3週目に入る直前の折り返し地点(19小節目)でここでさらなる
お洒落コード、F7#11 が投入!!
もうこれは
じゃがいもがポテトグラタンになったくらい手の込んだコード!!!
このF7#11のおかげでこの曲が飽きずに聞けるといっても過言ではなく、後半はこのコードが随所に素敵なスパイスを効かせていきます。
そしてメロディーに関してですが、
ソソミソラシラの繰り返し
で構成されているのが一番のポイント。
この赤丸の部分が全部そうです。
このメロディーの繰り返しによる単純さゆえに歌詞がすっと入ってきたり、耳に残る覚えやすさになっていたりします。
源さんの曲はメロディーの抑揚(=音程の高低差)が激しいものも多いので(例えば「恋」とか)
みんなが歌いやすいように似たメロディーの連続にしてくださったんだなぁ
と思うとその配慮にじんわりします。涙
コードがものすごーく凝っているのも、単純なメロディーだからこそ。
飽きさせない工夫や魅力的に聞こえる工夫が随所に施されています。
他にもいろいろ書きたいけど長くなるので、以上を踏まえたうえで私が作ったアレンジを。
1.星野源さんの楽曲的アプローチ
これがまず衝動的に作ったもの。
BPM(テンポ)が固定ではないので、源さんのグルーヴにあわせてドラムのMIDIを打ち込んでいくのがちょっと難しかったし貴重な経験でした。
普段はだいたいクリックを聞いて打ち込むので、それを無しでドラムのMIDIを作るってなかなかなくて。
そのあとベースを入れて、上物どうしようかなーと思った時に源さんの曲はストリングス(弦楽器)が絡みあうように入っている曲が多いので弦推しのアレンジにしました。
コロナでどうしても気持ちが晴れやかになれないときもあったりするので、曲では晴れやかな気持ちになりたくて3週目(19小節目)からはブラスセクションも入れて華やかに!!
自分が晴れやかに踊りだしたくなるのってどういう曲かな、というテンション第一で作ったアレンジです。
2.三浦大知さんとのコラボのダンスバージョン
1つ目を作ってわりと満足してたんですが、朝起きたら大知くんとのコラボバージョンにもアレンジしたくなって。
ダンスにもあうように上物をシンセのバッキングにしました。
2週目は大知君がユニゾンしてるので、曲に動きをつけるためにシンセはオブリのメロディっぽく絡ませて、
3週目からはハモリを目立たせたいのでシンセはバッキングに戻してます。
3.自分でも歌いたくなったバージョン
(横にスクロールしてね↑↑)
ついに自分でも歌ってしまったバージョン。
ゴスペラーズの黒沢さんが「#うちで踊ろうでハモろう」というタグをつけているのを見て私もなんか歌いたーいと気持ちになったのがきっかけです。
毎日毎日、様々なアレンジがあがってきたのに触発されて、というのもあります。
ハモリを重ねたいのでオケは極力シンプルにしたくてエレピでしっとりと。
鍵盤で弾くと、よりコードの和声のすばらしさにうっとりしました。
1オクターブ上のユニゾンと、2週目から下ハモ、3週目の前の「重なりあうよ」からさらに上ハモを入れました。重ねていくの楽しかったです。
星野源さんの声に自分の声を重ねていいなんて、
なんて贅沢なの!!!!!!
と震えました。本当にありがたき素晴らしい企画です。
もうここまで3つあげて、自分でもあげすぎじゃない?と思ってたんですが、しばらくしたらまた閃いてしまいました。。。!(作りすぎぃ!)
4.origami Home Sessionsとのコラボ、chill out バージョン
毎日あがってくる「うちで踊ろう」の動画で、mabanuaさん、Kan Sanoさんなどorigami PRODUCTIONSの皆様の素晴らしい動画を見ていて、素敵だなーと思っていたんですが、そこで私、あ!!!となりました。
今origami PRODUCTIONSでもorigami Home Sessionsという素晴らしい企画をやっていて。
origami Home Sessions
私達 origami PRODUCTIONS のアーティストは、ライブができず収益が当面見込めないアーティストの皆さんに楽曲を無償提供する「origami Home Sessions」を立ち上げました。
ご提供するインストトラックやアカペラのデータを使ってコラボソングを作り、ネットにアップしたり、リリースも可能です。
収益は全てリリースしたアーティストにご提供します。
この企画でも何か作りたいなーと思っていた私はトラックをいろいろ聞いて思考を巡らしていたのですが、その中で関口シンゴさんのトラックを聞いている時に、「あ!これでうちで踊ろう、歌える!!」と気づいたのです。
これはやらねば!と思って作ったのがこちら。
関口さんのギターが心地よくて最高です。
源さんのギター1本のコードとは違うけど、メロディーが単純なので違うコードでもハマるのです。関口さんのトラックのほうがBPMが遅いので、源さんのボーカルのBPMを遅めに変えて(BPM125~128をBPM118に)、丁寧にタイミングをあわせていきました。
関口さんのトラックも源さんに合わせてキーを変えて(トランスポーズ+1)、歌にハマるように切り貼り。元のトラックはこちらです。
これの2分3秒くらいのところからを使わせて頂きました。
ゆったりした曲調になったのと、関口さんのトラックに合わせるために、
「いーっしょに~♪」のところは2倍の尺に。
ギターのリフがものすごく気持ちいいのでそれを活かしつつ、ゆったりした気持ちになれるように作りました。
はい!!以上が4パターンのアレンジです。
備忘録のために書き始めたのにすんごく長くなってしまったので、最後まで読んでくれた方、ありがとうございます。
最後に
源さんもラジオなどで
「家にいましょうとか、外に出るなということではない曲を作りたいと思ったんです」「家の中で楽しくなれる、面白がれる”仕組み”を作りたいなと思って。そういう”仕組み”を作りたいという気持ちと、歌を作りたいなという気持ちをドッキングさせて、そのどっちも出来るようにしたのが『うちで踊ろう』という曲」 2020.4.7 星野源のオールナイトニッポン
と仰っているように、この曲のおかげで心が躍った人、たくさんいると思います。
わたしもすごく作っている時楽しかったです。
それぞれが楽しいことをシェアしていく。
それがみんなで楽しくなること。
時代が変わっていく中で楽しみ方も変わっていく、ということが身に染みる2020年の春。
星野源さん、本当に素敵な企画をありがとうございます!!!
ライブでみんなで歌いあえる日を、楽しみにしています。
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