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日々、というところに 今日も〈11〉

買い物から帰って来ると、
買ってきた物の包装に書いてある
説明や何やらの文字を、
片っ端から読んでしまう。
というようなことを書いていたのは、
大島弓子さんだっただろうか…
のような気がする…
(何しろ記憶力がよろしくなくて…)
私も時折、そういうことがあって、
今食べているお菓子の包装、
開けたばかりの薬の箱、パンの袋…
手元にあるもの達に書かれた文字を、
読みふけっている時がある。
本や新聞とはまた違う感じで、
ページを開こう、めくろう、
という意志が伴わない所で、
活字を読みふけるという現象である。

日本のパッケージは、
小さな文字で、びっしりと、
細かな所まで、それも丁寧な文章で、
いろいろと書いてあって、
そんなことまで書かなくても大丈夫ですよ、
ということまで書いてある。
何かあった時に困るからだろう。
使っているインクのこと、袋の素材も、
書いてある。おもしろい。
コピーも、もちろんおもしろい。
この文章を考えて、活字を選んで、
一生懸命この商品に携わっている人達が
いるのだなぁと、
そんなことを読んでいるうちに思ったりする。

以前、喫茶店をやっていた時に、
毎月ダイレクトメールを出したり、
メニューにコーヒーの生産者や焙煎のこと、
カップやお皿がいつどこからやって来た、
なんてことをいろいろ書いていた。
「字が小さい」「読んでもわからん」
「文章が長い」などなど、ご意見をいただき、
読んでくださっていたのは、
1割くらいのお客様だったように思う。
それで、いい…けれど…。

DMのハガキ半分にいろいろ書いたら、
そりゃ字が小さい。
確かに、その通り。
「細かな字が書けてすごいですね」と
よく言われたので、字の大きさより内容を…
と思いつつ、そのうち
「今は素晴らしいペンがあるんですよ」と、
返すことにしていた。
これも日々、研究開発している方々が、
いらっしゃる。確かに、本当のこと。
日本のペンは素晴らしい。

昨年から、
しっかりすっかり老眼というものになり、
視力が良かっただけに、その変化に、
かなり不便を感じるようになった。
視力の弱さが日々に与える大変さを、
感じられるようになってきた。

「字が小さくて読めない」=「読まない」
「文章が長い」=「見えないから面倒」
確かに、そうではあった。

この間アイスクリームを食べながら、
製造会社を読んでいた。
大手メーカーのアイスクリーム。
ん?このアイスクリーム地元で作ってたんだ。
知らなかったなぁ。そうだったんだぁ。
あそこにあるね、工場。
工場のある景色が見えた。

だから何ということはないのだ…けれど。

もしもまだ、
メガネやルーペのお世話になって読めるなら、
「小さくて…」や「長くて…」を言うよりも、
私は、読みたいと思っている自分に
読ませてあげようと、思う。
誰かのせいにしていては、
つまらない。

いちいち老眼鏡をかけたら、いいんだから。


絵はがき〈2016年12月〉
12月に描いた絵はがきと詩です。ちょっと季節はずれですが…

こころよ きいて

からだは
まだ生きると 言っている

こころよ
共に歩くふたりを
無理矢理に引き離そうとして…
それはどうも
あんまりじゃないかしら

こころよ きいて

からだは
まだ共に歩くと 言っている

ひと息ついて 
一緒にお茶にしましょう
空でも眺めながら

こころよ
からだと
一緒にさんぽしましょ

今朝 ツバキが咲いたから
ふたりで 見に行こう

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