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ある日の あの日〈6〉

ある日から、
自分のかく絵と詩に、
蝶が出てくるようになった。

2006年から毎月1枚ずつ
絵はがきを描くようになり、
2011年の6月から、
絵はがきと詩を合わせて書くようになった。
詩を書きとめたノートを見返すと、
2011年7月には、
もう詩に蝶が出てきていた。

いつから自分の中に、
蝶がいることになったのか…
自分でも覚えていない。
幼い頃から?…
特別に好きだった記憶もない。
けれど、嫌いだった記憶もない。

いつからだろう…

随分と大人になったある日、
仕事場からふと窓の外に目をやると、
白い蝶が飛んでいるのが見えた。
お客様のいない静かな喫茶店でひとり、
たくさんの不安を抱えて、
寂しさを抱えて…
あの時、私は、
そこに蝶がいることに、
ほっとしていた。
それから、
ふいに気配を感じるようになった。
気配がして、窓の外を見ると、
いつも蝶がいた。
それからあれからと言いながら、
それが何年何月何日かは、
わからない。

あなたがいてくれてよかった…
ある日はいつだっただろう。
あの日出逢った蝶が、
今日も私の中に生きている。

絵はがき〈2014年4月〉


また
蝶々に会えるかしら

つぼみをつけたわたしは
今 生きていくという
たしかな切なさと明るさで
花開く

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