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にっこり笑いながら「あと三日や」と

「あと三日や」

とお姑さんがベッドの上で言った

一抹の不安を感じながら

「何が?」

と聞く私

「私の命」

お姑さんはにっこり笑った

「何言うてるん!!これからもっとリハビリして、元気になって、嵐さんに逢いに行ったり、買い物とか、旅行も行くんやで!!」

と反論する私。

おばあちゃん(お姑さん)はなんであんな事言ったんやろう?その時は、入院生活が長くて、私に負担をかけるから、早く死んでしまいたいと思っていたんだろうって考えていたけれど、今思うと、それは違うのかも・・・

あの時のおばあちゃんは、とても穏やかな優しい顔をしていた。死にたいと思っている人の顔ではなかった。

そうか、ふと、もうすぐなんだって思ったんだろうな。

入院して3ヶ月も経つのに、良くなるどころか、動くことも、食べることも出来なくなってきていた。

孫たちも何度もお見舞いに来てくれた、遠くに住んでいる娘も毎月来てくれたし、ここにいれば、毎日看護婦さんが何度となく声をかけて下さり、大好きなリハビリの先生も優しくしてくださる。同室の人からお菓子をもらったり、この頃は話は出来ないけれど、いつも挨拶してくださる。嫁は毎日来てくれるし、用事がある時は携帯で呼び出せる。私はなんて幸せなんだろう・・・

そう思っていたに違いない。

だから、あんな穏やかな顔で、

「あと三日や」

と言った。


けれど、実際は三日ではなく、それから2週間ほどして、退院、家に帰って三日後に亡くなった。

2017年5月19日 81歳だった。

入院した時、

家事一切をこなす現役の主婦だった人が、坂道を転げるようにして、衰えて行った。

退院した時は要介護5と言う一番手のかかる状態。

こんな体にされて退院か・・・?

と、病院と言うところの恐ろしさ

いや、そう言うと語弊があり、

お世話になった病院への感謝の気持ちはもちろんありますが、

医療の本質は何なんだ?と言う疑問を持ちながら、

お世話になった看護婦さんに見送られ、その看護婦さんの切ない思いを感じながら家に帰ったのでした。


また続き書きます。

読んでいただきありがとうございます、良き1日を💓



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