「卒業は余裕」と思っていた私が留年を本気で考えた話
「大学は、普通にしてれば卒業できる」
これは、私の母が常々言っていたことです。さらに、「あなたはちゃんと勉強するから大丈夫よ」と、ことあるごとに言われてきた気がします。
果たして私は、母と同じように、地元の公立高校から地方国立大学に進学という道を選びました。
後期試験で合格したので、引っ越しの準備をしていたころにキャンパスに咲いていた桜を鮮明に覚えています。
今から「4年間」この大学に通うんだー
それなりに勉強して、それなりに卒業することを信じて疑いませんでした。
私って、単位取るの得意?
単位は順調にそろいました。
コロナ禍に振り回されたり、あやうくドイツ語の筆記を落としかけたりはしたものの、概ね問題なし。
いわゆる「フル単」をが当たり前の大学生でした。
1年後期からは、教職課程も履修。
多い時は半期で30単位取りました。
それでも、「無理無理無理!」とはならず、あっさりとフル単。
「大学って、簡単に卒業できそうやな」
そう思いました。
フル単の裏で・・・
私はガリ勉大学生ではありません。
サークルも、バイトもしていました。
それでも、「大変」とか「頑張ってる」とは微塵も思っていませんでした。
周りの人は、バイトの人手不足で扶養ギリギリまで働いたり、サークルを掛け持ちしたり、さらに学生団体や留学など・・・
週1回の文化系サークルと、週1~2回のバイトしかしていない私は、何も頑張っていないし、フル単で当たりまえと思っていました。
でも、徐々にひずみが生活に現れ始めます。
2年生の時に、サークルの全国大会に出場することになりました。
これも何かの運・・・と思っていました。
「頑張ってる」とは思えなくて。
で、大会終了後、急激に体と心がついてこなくなって、1週間まるっと学校に行けなくなりました。
最初は、大会の結果が伴わなかったからだろうと思っていましたが、なんかそうではないのです。
よくよく考えてみたら、1年生、入部したての頃からサークルを運営し、自分の大会に向けても取り組み、余裕がないのに部の責任者になっていたので仕事から逃げられず。
この時は幸いにも、全国大会で知り合った友人から救われ、事なきを得ました。
でも、人間って駄目になるんだなあ、この時感じた気がします。
順調、そしてどん底を味わった3年目
3年前期はとにかく「順調」でした。
体力も気力も伴って、後期からの研究室配属に備え学問の日々。
進路計画も固め始めていました。
サークルも、新入生を迎え、活動日は週3日に。
はじめて「ちゃんとした大学生」になれている感覚でした。
希望の研究室に入れたところまでは、本当に順風満帆でした。
でも、その直後。
詳細は伏せますが、将来の目標に向かっての取り組みの途中で、
自分が悪いわけではなく、傷を負うことになってしまいました。
夜怖くて眠れず、昼も外に出るのが怖くなる。
満員電車で過呼吸を起こしかける。
医師の診断により「急性ストレス障害」「睡眠障害」の併発が判明したのは11月のことでした。
泣きながら研究室の先生に話をして、言われた一言。
「留年してもいいからね。私はそれでもちゃんと卒論は見る。」
まさか・・・
フル単で見かけ上はもう卒業できそうな私に「留年」の可能性を提案されるとは・・・
留年は選ばず、それでも得た「回り道」という選択肢
11月から始まった診察は、3月末まで続きました。
それでも、年末には友人が遊びに来てくれて旅行ができるようになり、
年明けには、睡眠薬がなくても眠れる日が増えてきました。
ストレス障害の影響で、まだ文字を読むのに苦労があるものの、卒論も書けそうということで留年は選択しませんでした。
それでも、前と同じように「卒業余裕」大学生としてはもう生活していません。
「人は簡単に壊れるし、壊れたときの回復には時間がかかる」
「その結果時間がかかっても、人より回り道をしても、それも必要なこと」
3年間、フル単、ストレート卒業を当たりまえと感じ、「頑張っていない」と思い続けた私にはなかった価値観です。
もちろん、世の中には卒業も苦労せず、ストレートで社会で活躍される方もたくさんいます。
私も、来年無事に卒業し就職が決まれば、見かけ上はその部類に入るかもしれません。
でも、この「回り道」を肯定できるか、という価値観があるかないかって、すごく大きな違いだと思います。
「普通にしてれば卒業できる」
その言葉を信じ、できない自分を責めました。
その言葉を信じ、留学留年以外で留年した人の気持ちが理解できませんでした。
でも、今は違います。
すべての「回り道」がいいわけではなく、それを活かせるかは自分次第だと思います。
それでも、4年生になるにあたり、「回り道」も肯定しながら
これからの1年を過ごしていきたいと思います。
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