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「専門性」は技術職だけのものか?〜営業職の私が一冊の本に勇気づけられた話

【読書メモ】「替えがきかない人材になるための専門性の身につけ方」(国分峰樹・著)

社会人となって10年。
営業職として働く中でずっと根底にある思いが「専門性を身に付けたい」ということだ。

新卒から長年同じ会社に勤めているが、自ら手を挙げての異動も経験し、ある程度の興味軸に沿ってキャリア選択をしてきたつもりだ。
しかし、技術職なら資格取得で専門性を示せるだろうが、営業職となるとビジネススキルでの勝負になり、なかなか客観的に示すのが難しい。

だから自分なりのテーマはあっても、専門性として確立していくにはどうしたらいいのかずっと掴みかねてきた。
だが、この本を読んで、それがクリアに見えてきた。

専門性を身につける方法は「研究」にヒントがあるというのが本書の主題だ。

専門性というとまずはその分野の知識を一通り広く浅く「勉強」しようとしがちだが、興味のある分野を見つけ、そこを深掘りし、まだ解明されていないことを開拓していくフロンティア精神こそが専門性であると著者は説く。 

後半の内容は「研究を進める際のステップ」であり、理系学生なら一通りは知っているであろうことも含まれるが、社会に出たビジネスパーソンでも同様の姿勢が大事だと関連付けたところが新しいと感じた。

確かに、大学の研究論文を書く際は新規性、独自性を意識するようにとよく言われていた。代々受け継がれるテーマに取り組むというアプローチの研究室もあるが、私の出身研究室では自ら問いを立て、研究テーマから設定することが求められていた。

そんな背景もあり、学生時代は(思うような成果が得られたかはさておき、)オリジナリティを求めて新しい知見を得ようとする姿勢でいたはずなのに、社会人になってからはそれを忘れていたような気がしてハッとさせられた。

テーマの選び取り方、立てた問いに対する答えの出し方に良し悪しはあっただろうが、その試行錯誤のプロセスが大事だということこそが、学生時代に学んだことの最重要ポイントだったのだなと恥ずかしながら改めて気付いた。

私の勤務先は、大学の専攻内容からすると若干異業種だ。
特に理系学生の就職先にはある程度の既定路線があるものだが、振り返れば、なんとなく「多くの人が選んだ進路をとるだけでは面白くない」と感じていたからこその選択だったと思う。

学んできたことの延長線上に「専門性」があるというよりは、自分なりのテーマを持って、今いる業界との掛け合わせで何か新しい価値を生み出したい、という気持ちで社会に出た。
何かオリジナリティを大切にしたいという気持ちは昔から根底にあるのかもしれない。

ただ、一般企業のしかも営業職を選択した私に、「あなたは会社にしがみついてないと生きていけない人間」と母が言い放ったことがあった。
親としてはせっかく理系を出たなら手に職付けたら良かったのに、という気持ちもあったのだろうが、ずっと心に引っ掛かってコンプレックスに感じていた。

しかし、専門性とは知識の多寡ではなく、自分独自の問題意識を持っているかどうかであると考えれば、士業や技術職でなくとも専門性は持てる。
生き方次第で専門性は身につけられるのだとこの本に勇気づけられた。

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