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NY&コロナ禍での出産体験1

2020年5月1日に娘をNYで出産して、もう半年になる。誰にとっても特別な年に特別な経験をしたことを忘れないうちに記しておきたい。また、今後米国NYで出産を予定している女性にとって、少しでも参考になれば嬉しい。

東京の産婦人科からNYへ

私が妊娠発覚した際には、主人のNY転勤の話は出ていたものの、いつになるのかは、はっきりと決定していない状態だった。

夫婦共働きの私達は、私自身も仕事が好きで優先度がとても高かったので、「一人東京に残って出産し子供を育てる」、という事も考えていたし、逆に子供には「アメリカの多様性の中で多様な価値観を育んで欲しい。米国籍を持つことでその選択肢が広がる」という思いもあったので、東京とNYのどちらでも出産できるようにダブルで準備を進めていた。

日本では、家からも職場からも近く、無痛分娩が24時間体制で可能な青山にある山王バースセンターに通っていた。山王バースセンターは、里帰り出産や出産までの間だけ診てもらう事はNGの病院。通い始める前から、出産予定日を予約するシステム。なので、先生には絶対ここで出産するという前提で話をしていたし、出産予定日を仮押さえするために20万円の予約金も支払っていた。

主人の転勤が確定し、夫婦で移住すると決めたのは妊娠20週目辺り。山王病院へは、妊婦検診が受けられなくなると困るので、出発の2週間前までそのことを伝えなかった。だけど、先生に事実を伝えた時は、こちらの心配とは裏腹に「あ、そうですか。招待状を用意しますね。」と、言った具合。なんだか気が抜けてしまったが、きちんと今までの検査や招待状を準備していただき、とても助かった。

招待状

NYへ移住したのは、妊娠32週目に入るころ。妊娠の後期になるほど飛行中の出産や流産の可能性も高まるし、臨月は基本的には飛行できないので、主人の会社に無理を言って移住を1か月早めてもらった。

アメリカでの病院探しは妊娠20週頃から本格的に動き出し、Webでの情報収集やら、ハワイで出産した友人の話やら、アメリカの医療予備知識がゼロの状態からリサーチし始めた。

アメリカでの出産プロセス

アメリカでの出産プロセスは日本とは異なる。下記が、スムーズに全てが言った場合の出産プロセス。

1. 医療保険に加入
2. 産婦人科医探しと予約
3. 検診
4. 出産病院予約と見学
5. バースプランの提出
6. 出産・入院の必要物準備
7. 陣痛後、産婦人科医に連絡
8. 出産予定病院へ駆け込み出産
9.出生証明書などの書類提出と退院
10.退院翌日の小児科検診
11.請求額決定と支払い

1. 医療保険について

まず1の保険に関してだが、アメリカには日本の国民健康保険の様な制度はない為、保険に入らないと出産で破産してしまうくらい高額になる。私の場合は主人の会社が用意してくれた民間の医療保険大手で、日本からの駐在員の多くも利用しているAetnaOpen PPO (Preferred Provider Organization) というプランに加入した。

*PPOとは、保険会社と契約したネットワーク内から好きな医療機関を選べ、ネットワーク外の医療機関を利用した場合には自己負担が通常より高くなるプラン。その他には、HMO(Health Maintenance Organization)、EPO(Exclusive Provider Organization)などアメリカには3種類の医療保険ネットワークがある。HMOは、かかりつけ医(Primary Care Physician)を決め、原則的にその主治医を通して治療を行う。EPOは、医療機関をネットワーク内から好きに選べるが、ネットワーク外の医療機関には保険が適用されない。

2.NYでの産婦人科探し

アメリカでの出産は、日本とは違い産婦人科医を選び、その先生が提携している病院にお産の時だけ行って出産するプロセス。   

私は初めてのお産だったし、割とハイリスク出産(32週時点で逆子、30代後半の初産)だったので、日本人の先生か、評判の高い産婦人科医にどうしても診てもらいたかった。そこで、まず参考にしたのがNY日本領事館が出している医療情報。マンハッタンにある日本人の先生がいる産婦人科は、1つしかない!!

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この安西先生という方は、いったい何者なのか?
安西先生の名前を日本語、英語で"産婦人科"、"OBGYN"、”評判”、”Rating"などのキーワードで検索しまくった。その他に、アメリカには医師個人のランキングや口コミが書かれているサイトがいくつもあるので、それを参考にして、何人かのアメリカ人の産婦人科医にもメールを送ったりした。

例)Zocdoc
探している医者(産婦人科 "OBGYN")、住所、加入している保険、アポイントを取りたい日などを入力すると、医者のリストがランキング形式で表示される

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結果、メールを送ったアメリカ人医師達は全滅。全く返信が返ってこない。唯一メールを返信してくれたのは、日本人医師の安西先生だったのだ。その時は、「あぁ、やっぱり日本人医師は信頼できるな。」と思ったものだ。(こちらに来て分かったのは、基本的に最初のアポなどは電話ベース。そのあとは、病院側が用意しているシステム上で全てを管理しているので、私が送ったgmailは無視された、もしくはSpamメールに入った可能性が高い)

そして、渡米前に日本人の産婦人科医である安西弦先生との予約も確定し、ほっとしていたが、ひとつ不安に思っていたことは、安西先生は私が加入している医療保険であるAetnaはカバーされていない(Out of network)という事。医療費が高額になると聞いていたので、びくびくしながら初診へ向かった。

3.検診と逆子対策

安西先生の産婦人科しか経験していないので、他の病院との比較はできないが、まず驚いたのがかなりアナログだった事!!
体重計は、手動で錘を動かして測るものだし、血圧は手押しで空気を入れるもの。アメリカって医療が進んでんじゃなかったんだっけ?と、少し不安を感じてしまった(笑)

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そして、検診も日本ほど頻繁ではなく、36週目までは月に1回の検診。その後は2週間おきで、超音波は毎回確認しない。
なので、私の赤ちゃんは36週目に確認した時は平均体重だったが、39週目の超音波ではいきなりアメリカベビーの平均値を大きく上回る成長を遂げていた事にびっくりした。

また、37週目になっても逆子だったので、帝王切開を避けるために成功確率50%の外回転術という、お腹をグイグイと押して赤ちゃんを外から反対方向に回す、という手術をした。

なんと、これが大事。

まずは、手術の前に輸血の可能性を考えて、血液リサーチセンターの様な場所に2~3日前に行って採血。手術当日は、4時間前に出産予定の病院に入り、患者情報法の登録からコロナ感染テスト、硬膜外麻酔の説明、赤ちゃんの心拍センサーやら何やらを入院患者のベッドに横たわりながら行った。
その後、担当産婦人科医の安西先生が病院に到着。オペ室に入り、無痛分娩の時に使用する麻酔と同様の硬膜外麻酔を脊椎から注入し、手術開始。ものの5分で赤ちゃんは回ってくれてたが、それを10人強のそれぞれの専門医の先生やら、研修医やらが万が一に備えて見守っていた。


4.出産病院の予約と見学

出産する病院は通常、担当産婦人科が属している若しくは提携している病院になる。私が予約した病院は、安西先生が提携しているLenox Hill Hospitalというところ。なんと、Beyonceもここで出産したらしい。
病院の予約は産婦人科を通して行ってくれるが、無痛分娩の場合でも出産予定日の前であれば、基本的には出産日を予約する事が出来ない。硬膜外麻酔を実施できる麻酔科医が日本より豊富で、予約する必要がないのだ。

出産する病院は、通いなれた産婦人科とは異なるので、どんな場所か?入り口はどこにあるか?分娩室はどんな感じか?入院する部屋の雰囲気は?看護師たちは?などなど、多くの疑問や不安がある。そこで、用意されているのがホスピタルツアーというもの。事前に参加する日を予約して、病院内を案内してくれる。

私の場合は、コロナ真っ最中で、ホスピタルツアーは停止されていたが、その後はバーチャルでの開催に切り替わったようだった。幸いにも、外回転術の際に病院には訪れる事が出来ていたので、その点は安心していた。


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