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Fall

台風が近づいている。
霧雨を浴びて喜びながら長男は元気に幼稚園に登園し、私は次男と家にいる。
まま、でんしゃしよー!映画を見ていたテレビをおもむろに消され強制的お誘いにしぶしぶ腰を上げる。
さてやるかというところで、彼が持っていた超デカ三叉路レールの角が私の頭にぶっささり、言葉も出ないほどの痛みでうずくまる。
こらえきれない痛みに呻きながら、子育てとはこの理不尽な痛みとの闘いじゃった・・・・と私の中で誰かが日本昔話風にしゃべりだす。
いや、ほんとに、いままでどれだけこうやって涙を流しながら一人うずくまってこらえてきたか。
痛みが治まるまで、これまでの蓄積した理不尽な怒りと戦い続け涙目で、大泣きに泣いている次男を眺める。
私があまりに痛そうなので次男がびっくりして泣いているのである。
そんな理不尽なことあるかいな。
また私は理不尽に胸をいっぱいにされて布団に突っ伏して動かなくなった。
次男は、ごめんねぇごめんねぇぇと私の横でずっと泣いているのに、私はもう気持ちが立て直せないで黙って枕に頭をうずめている。
メンタルが弱っている。

神様なんて本当にいるのだろうか。

辛いニュースをたくさん読んでしまって嗚咽して泣きながら私は思う。

本当にこんなに悲しい亡くなり方をした人たちが実際にいるのに、それが神様の試練だというのだろうか。

『夏物語』に続き『ヘヴン』を読んだ。
メンタルが弱っているのはそのせいかもしれない。

あまりにもヘヴィーな内容だったので、私はとてもグレーな気分になっているのかもしれないし、台風が近づいていて気圧の関係で体調が悪いのかもしれない。

いつのまにか私の横で次男は指を吸いながら寝てしまった。
ほほにたくさんの涙の筋を残して。
この涙が乾く前にどうして向き合ってやれないのか。
ほほを撫でながら、また私は自分を責める。
毎日毎日、どうしてもっと優しくなれないのかと自分を責める。

こうして生きていること自体が罪深く思えてくる。

私は向き合うべき現実はそこなのにな。
逃げてるな。

秋は気分が沈む。
Fallという季節はそこから来ているのかもしれない。





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