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にんげんのかたち



その絵を見た時、
「あ、にんげんのかたちだ」と思った。

誰にも見せられないこころのかたち。
かなしいとき、うれしいとき、
形を変えて、色まで変わっていく。

アーティスト、綾部さんとの出逢いはSNSだった。
Facebookでたまたま見つけた彼の絵はとびきり生命力に溢れていた。

「あ、にんげんのかたちだ。」
と直感的に思った。
この人にジャケットを描いてもらいたい。

その場ですぐに連絡した。
あなたの絵に一目惚れしてしまった!と。
とにかく会って話しましょう!ということになったのだけど、
そこからが荒波の勝負だった。

なかなか信じてもらえなかったのだ。
私の好きという気持ち。
どこを好きになったのか。

気持ちは痛いほどわかる。
私も曲を作るけど
初めて会った人に口頭で「好きだ!」と言われても
社交辞令…?と思ってしまう。

SNSはわざわざ自分から発信してくれてるから信じられるけど。

だから、どれだけ感動したか
あなたの絵の生命力に打ち抜かれたかを熱弁した3時間ほど。

そうして、ちゃんと熱意が伝わって
その時リリースを予定していた
「三日月ロンリネス」という楽曲のジャケットを描いていただくことになったのだ。

綾部さんは
「三日月ロンリネス」を聴きながら
何枚も何十枚も絵を描いてくれた。

その中でどうしても忘れられない絵が一枚あった。

それが今回のジャケットにもなっている
「にんげんのかたち」の絵だ。

この絵を見た時に
言葉にできないほど、感動した。
人に見せられないこころのかたちを、そのまま切り取ったように見えたから。
私がずっと曲にしたいことが
この絵に詰まっているように思えたから。

この絵を見て曲を作ろうと勝手に決めて
曲を作り始めた。

そうして出来上がったのが
「にんげんのかたち」。

お願いして、ジャケットにこの絵を使わせていただいた。
なんと驚くことに、この絵は私をイメージして描いてくださってたらしい。

本当にびっくりで、
こんなに嬉しいことがあるんだなぁ、と思った。
おんがくをやっていると、苦しいこともあるけど
こんなに嬉しいことも待っているのだ。

そうやってこの曲は生まれた。
自分のことを好きでいられない自分にお手紙を書くように、
詞を綴った。

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