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流山市の教育課題、小1プロブレムに対峙していくために ~その④:学校法人岡本学園 児童発達支援「たけのこ」を視察~

流山でも最大級の規模を誇る幼稚園(400人定員)、平和台幼稚園、南流山幼稚園を運営されている学校法人 岡本学園が開設された児童発達支援施設「たけのこ」を視察、ヒアリングをしてきました。


〇児童発達支援施設とは?

 児童福祉法第6条の2の2 に基づく施設で、地域の障害のある児童を通所させて、日常生活における基本動作の支援、自活に必要な知能や技能の付与または集団生活への適応のための訓練を行いいます。
 小学校就学前の6歳までのお子さんで社会生活に困難を感じるであろうと認められた児童が通う施設です。
 療育の目的は、子どもたちが持っている能力を最大限に引き出し、自立した生活を送るための基盤を作ることなので、保育士・児童指導員、作業療法士、言語聴覚士、公認心理師などの専門家が、チームを組み、それぞれの子どもに合わせた個別支援計画を作成し、取り組みます。

〇岡本学園は、なぜこの施設を立ち上げたのか?

 集団には馴染まないお子さんがいることに直面したため、私費を投じて整備したそうです。発達期にある子どもたちに支援を促していくことで、子どもたちが苦手とすることであっても少しずつできるようになったり、代替手段を身に付けられたりすることができるから、早期にスムーズに対応する環境整備をしたかったとのこと。
 「たけのこ」の施設長は、小・中学校教員として長く勤められた方であり、児童発達支援管理責任者は市の児童発達支援施設「つばさ学園」の施設長を務めたこともある方です。

発達支援の現場の様子は?

マット運動などの遊びを通して、感覚統合を促す活動を行っていました。

感覚統合運動:マット運動

感覚統合とは、日常生活を送る中で「触覚:皮膚の感覚」「固有覚:筋肉、関節の曲げ伸ばしの感覚)、「前庭感:揺れや加速の感覚、平衡感覚」の3つの感覚を脳が受け取りやすいようにし、日常生活を違和感なくスムーズに送るための発達です。いかに分かりやすい説明がありましたので、シェアいたします。

その日は避難訓練が行われていました。避難訓練は、実施義務もあるのですが、身の守り方、避難の仕方を学ぶ効果だけでなく「危険の認知能力」を育つ関わりが出来るので、効果的ということでした。

避難訓練の様子①
避難訓練の様子②
避難訓練の様子③:伏せる

子どもの活動を一緒に確認し、専門支援員に相談できる環境を整備

子どもの発達支援には親御さんの理解が必要です。子どもの活動を観察できる窓が設置されていました。これはマジックミラーになっており、子どもからは外を見ることが出来ません。子どもの集団活動の様子をみながら、親御さんが専門家に話を聞くこともできます。
子どもが親御さんをみつけると「ママー!(パパー!)」となり、活動の様子を見ることが出来ないため、施設整備が工夫されていると感じました。

マジックミラー

社交性のあるお子さんがいらっしゃり、私たちに積極的にコミュニケーションをしていました。

「たけのこ」の特徴は?

 「たけのこ」は通過施設として考えており、少人数対応で発達支援を行い、子ども達の成長にあった次の子ども集団(例えば幼稚園)へ移行できるように支援している。また幼稚園の中で、中々なじめない子(例えば、場を読めないなど)、これから就学に向けて、いきなり大きな集団に入るのは難しい子などを支援する。
各小学校に特別支援学級があることと一緒で、幼稚園の大きな集団の中で、小集団としての児童発達支援施設がある。
 同じ法人内でできるので、スムーズな連携が可能。将来的には他の幼稚園とも連携を出来るとよいと思う。

どのような利用傾向になってきたのか?

通う子どもが軽度になってきたのは、市の1歳6カ月検診、3歳児検診によるお子さんへのフォロー体制の充実で子育てのアドバイスの実施により、親御さんの「気になる」という声に対するフォローアップがしやすくなっている。子育ての不安になっていることを、福祉的にカバーしていることが、以前より格段に児童発達支援というのが受けやすくなってきたのだと思う。

軽いの定義:知的レベルでいうと、いわゆる境界知能。また知能的には普通であるが社会性や対人性に弱さがある場合。運動発達の場合、手先の不器用、姿勢い時の弱さ。

〇今後の持続的な運営にむけて

放課後デイサービス、保育所等訪問事業も立ち上げていきたい

 「たけのこ」は令和5年、6月開所している。流山市内には、民間等の児童発達支援関連施設は37以上あるが、年齢があがる毎にサービスは足りないという印象。学童に行きにくい子どもも多い。つまり、未就学児の児童発達支援施設に対し、放課後デイサービスの量が足りないと感じる。児童発達支援施設の量分だけ、放課後デイサービスなどの事業も、計画していく必要があるのではないか。
 言うだけではなく、自分たちも貢献していきたい。まずは児童発達支援中心に足固めをして、将来的に放課後デイサービス、保育所等訪問支援事業も軌道に乗せていく。

私立幼稚園にも補助を

この4月から10名定員で運営していたが、20人定員に増えた。1日平均は18人支援する。報酬単価の改正があり、報酬単価が10名以下が高いが、11人以上になると下がるため、これが経営の圧迫につながる。

支援には、スピーチセラピスト、作業療法士、心理士などの専門人材が必要。保育士と指導員だけでやれるものではないので、療育として全体の発達をみる人材が必要。流山市は保育園に人件費補助や住宅手当が沢山あるが、私立幼稚園の先生方に対してはなく格差があると考える。障害児を抱えている園は経営的に困難を抱えていると思う。

〇その他、会派メンバーからの質問に対する回答

会派メンバーから以下の質問を行いました。丁寧に答えていただきました。感謝申し上げます。

Q.親御さん達への相談支援体制は?

公認心理師が水曜日にくる。いつでも相談できる、児童発達支援管理責任者や、運営管理者のIさんも対応できる。見学においては自由。連絡帳やバスの送り迎えでコミュニケーションしている。

Q.小学校との連携は?

年長さんはいるが、連携は(まだ)とっていない。鰭ヶ崎小学校の特別支援級への進級については、面談しながら方向性きめる。今後は5月までに引継ぎ会をしてはどうかと思っているが、個人情報の扱いをしっかりする必要がある。年度末の情報保提供は実施した。

Q.重度のお子さんを受け入れるにはどうすればよいのか。

 設備が必要。医療職、看護師を入れるなどのマンパワーが必要。医師会とのつながりも必要。医療ケア児については、静養室なども必要。障害の組み合わせによって問題が発生する場合は、現実的には存在する。福祉型なのか、医療型(スタッフの専門性が違う)で分ける必要があるだろう。

Q.児童発達支援センターは各地域にあるべきではないのか。

各地域に欲しい。ここにきている子どもは、通園に20分~30分かかっている子どもが多い。トイレに行きたいこともあるため、地域ごとに無いと難しいのではないか。

Q.児童発達の政策を発展させるために何が必要か

子どもの発達については、子ども中心で考えた方がいい。現在は障害者の政策を考えるにあたって、自立支援協議会の中の就労部会の下に子ども部会がある。子ども部会だけは抜いて、児童発達支援センターがイニシアティブをとるような形で、けん引していく体制の方がよい。

Q.私立幼稚園で大切にしていることは何か。

岡本学園 理事長の岡本哲也氏からお話を伺いました。

建学の精神。幼児期に何をそだてるか?というと、非認知能力。非認知能力とは、協調性、忍耐、コミュニケーション能力。就学前の学びとは、読み書きを覚えるのではない。たくさんあそぶこと、それが幼児教育が主たる軸。小学校で認知能力を育てるが、その前に、心を育てることが重要だと思う。私立幼稚園は60年やってきて歴史がある。

幼児教育の部分は、私立幼稚園協会でけん引していける。幼稚園は地域ごとに網羅されている。市と協会でしっかり連携しながら、地域の子ども達を育てていく体制を目指していけばよい。

しかし、療育の子ども達を預かる場合、保育園は加配があるが、幼稚園には少ない。預かり保育1時間分しか出ない。これは配慮いただきたい。


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