寒くなり始めにほっこり♡けんちん汁はいかがですか? #日本料理×薬膳
季節の変わり目で冷え込み始める秋、あたたかいけんちん汁はいかがですか。野菜もたっぷりとれますし、葛でとろみをつけるので体もほっこり温まります。
【作り方】
<材料 5人分>
木綿豆腐 1丁
大根 120g
人参 30g
生椎茸 3枚
こんにゃく 1/6丁
青葱 1/2束
土生姜 15g
胡麻油 15g
塩 適量
サラダ油 適量
【吸地】
一番出し 850ml
酒 20g
塩 小さじ1/2
薄口醤油 20
水溶き葛粉 適量
① 木綿豆腐はしっかり水切りしたあと、手であらく崩す。
② 大根、人参は千六本に切る。
③ 生椎茸は軸を取り、薄切りにする。
④ こんにゃくは短冊切りにする。塩をまぶしてしばらくおき、熱湯でゆでておか上げする。
⑤ 青葱は3cm長さに切る。
⑥ 土生姜はしぼり生姜にする。
⑦ 鍋を熱して胡麻油を入れ、①の豆腐をよく炒める。②〜④の材料を加え、全体に油がなじめば、だし汁と酒を加える。人参に火が通れば塩と薄口醤油を加えて味を調え、水溶き葛粉を少量ずつ加えながらとろみをつける。青葱、しぼり生姜を加えて青葱に火が通ったら椀にはる。
【料理のポイント】
★こんにゃく
<切り方>
こんにゃくは、縦長を横にして三等分になるよう切る→上下半分になるよう包丁を入れる(へぐ)→半分に切る→薄切りにする。
☆実はこんにゃくは短冊切りにしやすいサイズになるよう作られています。
<下処理>
製造工程で使われた石灰の匂いがして臭いので下処理をします。
全体に塩をたっぷりまぶし、しばらく置くと水分が出てくる→塩ごと沸騰させたお湯に入れ、1分ほど湯がき、ざるにとっておか上げにする→少し広げてそのまましばらくおく。
☆おか上げとは、茹でたり煮たりした材料を水につけずにざるなどに上げてそのまま冷ますことです。湯気と一緒に水分も飛んでいきます。
★葛溶き
仕上げに使う水溶き葛粉とは、葛粉と水を1:1で溶いたものです。
とろみをつけるために混ぜながら少しずつ水溶き葛粉を流し入れます。
今回水溶き葛粉を入れる理由は、具が沈まないようにするためなので、飲んだときに葛で溶いてあるとわからない程度にするのがポイント。水だけよりちょっと重いというくらいにしましょう。また、葛臭さを消すため、必ず沸騰させることもお忘れなく。
【中医・薬膳から】
秋になると空気が乾燥し、鼻やのどの粘膜や皮膚がかさつきやすくなります。さらに、粘膜がカラカラになることで、咳やくしゃみ、鼻づまりなど呼吸器系統にもトラブルが生じやすくなります。
薬膳では、空気が乾燥し始め肺が弱りやすい秋には白い食材がよいとされています。白い食材とは大根、白菜、里芋、レンコン、豆腐など。ピリッと辛味の食材を少量加えると肺が活性化されるので、白ネギ、にんにく、生姜、玉ねぎなどを白い食材に加えるとなお良し。
今回のけんちん汁は、大根と豆腐、絞り生姜を使っています。椎茸や人参は免疫アップによいとされますし、葛でとろみをつけているので体を温めてくれます。葛は風邪薬の「葛根湯」に使われているように、ゾクゾクの風邪に使われる生薬でもあり、免疫力も高めてくれます。秋を迎えて空気が乾燥し、少し冷え始める季節にぴったりの料理ですね。
【最後に】
大根と人参の量は大根の方が多いことにお気付きでしょうか?
大根と人参を同量にすると、人参の方が目立ってしまうため、わざと人参の量を少なくしています。さらに、同じ千六本でも、大根より人参を細く切ると、混ざった時に同量に見えます。日本料理ってこんなに細かいところまで配慮してるんですよ。本当によく考えられています。
料理をするのが面倒な人は、秋になったら肺に潤いを与える梨やりんごを家に常備しておいて毎日食べることをおすすめします。風邪予防にもなるほか、熱を下げる効果がありますので、風邪をひいて熱があるときにすりおろして食べてもよいです。
他には金柑や柚子でも肺が潤います。
金柑が出回ったら金柑の蜂蜜漬けを作ってみてはいかがでしょうか。ちょっと下処理が手間に思われるかもしれませんが、蜂蜜漬けは保存食なのでわりと長持ちします。冷蔵庫に常備しておいて、喉がイガイガする、リンパがおかしい、鼻の中がパリパリする、というときなどにお湯で割って飲むようにすると風邪予防にもなります。
市販の柚子茶の瓶詰めを常備しておいて、お湯を注いで飲むのもよいですね。
薬膳は基本的に予防医学です。空気が乾燥し風邪をひきやすくなる秋、普段使いの食べ物をうまく使って風邪予防を心がけてみてはいかがでしょうか。
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