見出し画像

これぞプロの技! 色も食感もこだわり赤飯

へー、赤飯ってこんなに手間をかけて作っていたの!?こんな技があったの!?と驚いた一品です。ここまでこだわって作れたらかっこいい!

【作り方】

<材料 5人分>
もち米 1+1/2カップ(よく洗ってたっぷりの水につけ1日おく)
小豆 1/4カップ
黒胡麻 適量
【酒塩】
酒 100ml
水 100ml
塩 4g

① 小豆は水でよく洗って鍋に入れ、たっぷりの水とともに強火にかける、かるく踊るくらいの火加減にし、ゆで汁が色づいたら小豆をざるに上げ、ゆで汁を捨てる。(渋切り)
② 鍋に水気をきった小豆を入れ、10倍量の水を加えて落し蓋をし、強火にかける。沸騰したら軽くおどるくらいの火加減にして、小豆の皮が破れないようにしてゆでる。指で簡単につぶれるくらい柔らかくなったらざるに上げる。ゆで汁はボウルに取り、ゆで汁をお玉ですくっては落とすをくり返して冷ます。
③ もち米はよく洗ってたっぷりの水につけ、前日から1晩つけておく。水気をきり、②の小豆のゆで汁に3〜4時間つけて色をつける。
④ ボウルに酒と水を合わせ、塩を加え、かき混ぜて溶かす。(酒塩)
⑤ 黒胡麻は空鍋で煎る。
⑥ もち米の汁気を切る。盆ざるに網布巾を敷き、もち米を広げ、蒸気が通りやすいように中央を少しくぼませて網布巾で包み、よく蒸し上がった蒸し器に入れ、強火〜中火で20分蒸し上げる。
⑦ ⑥のもち米が蒸し上がったら酒塩に加え混ぜ、さらに小豆を加え、切るように混ぜて味を含ませる。
⑧ ざるに上げて汁気をきり、再び網布巾で包んで提供直前に10分ほど蒸す。
⑨ 器によそい、⑤の黒胡麻を散らす。

【料理のポイント】

ポイントは小豆の「渋切り」と「鮮明な赤」、それと「酒塩」です。

「渋切り」
小豆の表面には渋みがあるので、ゆで汁を一度捨てる「渋切り」を行います。「渋切り」の段階では黄色い汁ですが、さらに水を加えてゆでると赤い汁になります。

「鮮明な赤」
小豆の赤い色はアントシアニン系の「カリステフィン」という色素です。この色素は水に溶け、空気にさらすと酸化して色鮮やかになるという性質を持っています。赤飯を赤く色鮮やかに仕上げるため、ゆで汁をお玉ですくっては落とす、すくっては落とす、をくり返して、空気にあてながら冷まします。
この赤いゆで汁にもち米を蒸す前につけて、色をつけます。

「酒塩」
炊飯器で簡単に赤飯を作ることも可能ですが、今回は蒸し器で丁寧に作ります。蒸している間にもち米の表面が乾燥して硬くなり、食感が悪くなってしまうため、蒸し上がってから熱いうちにもち米を「酒塩」につけて混ぜます。冷たい「酒塩」に熱いもち米を入れることでしっかり吸収されます。そして、もち米同士がくっついてしまう前に、ほぐれている状態のうちに小豆を入れましょう。
さらに再び蒸すことでアルコールが飛び、もち米全体に塩味がつき、表面の乾燥を防いでふっくらと仕上がります。

※縁起物として赤飯を作る場合は、小豆がつぶれないように丁寧に扱ってくださいね。

【中医・薬膳から】

梅雨の季節は湿気に弱い「脾」が弱りやすくなります。
西洋医学は臓器に名前をつけていますが、中医学では働きに名前をつけていて、「脾」とは脾臓・膵臓・胃腸すべての消化・吸収・排泄に関わる働きを指します。「脾」が弱ることで出やすい症状は、体が重い、眠い、手足がだるい、下痢しやすい、むくみやすい、口の中や口の周りのできもの、水疱を持つイボができやすい、ほうれい線が気になる、などです。

脾をいたわるポイントは
①脾を強めて気を補う食材(山芋、もやし、じゃがいも、豆類)
②体内の余分な湿気を排出させる食材(豆類、瓜類、さくらんぼ)
③甘味食材やスパイス(トウモロコシ、豆類、山椒、シナモン)

といった食材を採るよといとされています。

今回の赤飯に使用した小豆は体内の余分な湿気を排出させる食材としてよく知られています。他に豆類と言えば、小豆、大豆、黒豆、緑豆などがありますね。
豆類は面倒と思う人が多いかもしれませんが、やり方次第です。
継続して豆類を取りたいと思ったら、手っ取り早いのはお米と一緒に食べることだと思います。赤飯を蒸すのはハードルが高くても、炊飯器で炊くなら簡単ですよね。もち米を使わなくても、普通のお米で小豆ご飯、黒豆ご飯を作れば、一晩水につける手間くらいで、あとはご飯を炊くのと大して変わりません。お家で食べる分には、豆が少々潰れても気にしなくていいですし。それに乾物なので、その都度買いに行かなくてもお家にストックしておけばいつでも作れます。

「脾」が弱って余分な「水」が体に溜まると老廃物となり、それが体の中で熱化して「湿」になり、さらに「痰」となります。この「湿」と「痰」を合わせて「痰湿」と言いますが、熱をもった「痰湿」はブツブツや病気の原因になるので、梅雨時期に限らず、体に溜めないように気を付けましょう。

【最後に】

人にはそれぞれいろんなタイプがありますが、私は「脾」が弱いタイプです。
「脾」が弱いタイプかを見分けるポイントとして舌があります。
「脾」が弱って「痰湿」があると、舌がぶわっと大きくて歯型がついています。私も薬膳を勉強するまで自分の舌なんて気にしたことがありませんでしたが、舌ひとつとっても人によってぜんぜん違うのです。すごく簡単なポイントなので一度鏡の前でべーっと舌を出してチェックしてみてくださいね。
「脾」が弱い私は、意識的に豆類を食べるために、黒豆ご飯をよく作るようにしています。作り方は簡単。寝る前に水につけておいて塩と酒と昆布少々を入れて炊くだけです。白いご飯の代わりに食べるので、できるだけ塩の量も控えて炊いています。これだと、「料理」というほどではなくて、簡単なので続けられると思いませんか?
私が食材に黒豆を選んだ理由はもう一つあります。黒豆はアンチエイジング食材でもあるからです。「黒豆は湿を排出できてアンチエイジングにもいいから一石二鳥だわ」と思って食べています。
中国にいたときは、夏になると安くて新鮮な枝豆が簡単に手に入ったので、週末に一気に茹でてさやから実を出して冷凍しておき、お米と一緒に炊いて「枝豆ご飯」もよく作っていました。色も爽やかでお弁当に入れると映えるし、満足感がありました。大豆には血流促進効果もあります。

ある効能がもつ食材はAだけではなくてBにもあり、Bにはまた別の効能もあったりするのです。ちょっとずつ薬膳知識を増やしていけば、選んだり、掛け合わせたり、いろいろな楽しみがきっと増えていきますよ。

----------------------------------------------------------------------------
学校で学んだ日本料理や知識をもとに、そこから思考を薬膳に広げたり、おいしく作るコツなどを紹介しています。いろんな視点から料理や食材を見ていきます。分量は必要に応じて微調整してくださいね。学びや発見があれば随時修正や追加・更新をしていきます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?