ストーリー以外の映画の楽しみ方
思いつきで映画『鬼滅の刃』を見てきた。
私の鬼滅ファン度はそこそこ。アニメはAmazon primeで2度ほど見て、続きが気になり無限列車のストーリーから最終巻まで漫画を買った。それも2回ほど見た。漫画ではホロリと涙を流す場面もあるけれど、『リアル』を読んだ時の号泣具合と比べたらあくび程度。けれど内容は面白いと思っているし、ちょっと独り言多めで、鬼との闘い中に「長男だから我慢できる」なんて思っちゃう炭次郎が愛らしくて好きだったりする。
とはいえ“そこそこ”なファン度だったので、ストーリーを知っているアニメをわざわざ映画館で見るかな…と悩んでいたのだが、ちょうど空き時間ができたので勢いで見ることにした。景色の映像はまるで写真のよう。キャラクターの輪郭が際立ち、この美しさだけでも見に来た価値があるな、と思わせてくれるようなクオリティだ。ストーリーを知っているとはいえ、この映像で再現されている様子を見れて良かったなと思う。
そして、意外にもBGMの大切さを痛感した。敵から煉獄さんへ映像が映ると音楽も変わったり、煉獄さんが話す前にピタッと無音になったり(そこで思わず息も止めちゃったり)。カメラワークはもちろん、このBGMがあってこそ、その場の空気や情景をしっかり観客へ伝えられるのかもしれない。
たとえば、炭次郎が森に向かって「煉獄さんは強いんだぞ!」的なことを言うシーン。炭次郎がアップになったり、鬼の様子が映し出されていたりすると、炭次郎の表情や鬼の姿で彼の気持ちが伝わってくる。けれど映像が引きで表されたとき、「このシーン、BGMが無かったらどうなるんだろう」とふと思ってしまった。
「煉獄さんは強いんだぞ!」と森に叫ぶ炭次郎。それを少し離れた空中から見つめる私。聞こえるのは炭次郎のセリフだけ……。映画では感動的なシーンのはずなのに、BGMが無いだけで炭次郎の叫ぶしかない想いがどうも感情に訴えてこないような気がする。どんなシーンでどういう音楽を流すのかって、些細なことのようで実は観客の心に訴えるための重要な要素なのかもしれない。そんなふうに、ストーリーとは全然関係ないところに目がいって、いろいろと学びの多い時間になった。ストーリーを知っているからこそ、映像のディテールにも目が向けられたのかもしれないな。
同じ映画を何回も映画館で見ることはこれまでしたことなかったけれど、「良かった」と思うものは何回か足を運んでみたら、見るたびに新しい発見がありそうだ。
去年の毎日note
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