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繰り返しできる、無理はしない範囲で

2011年4月、入社4日目のこと。会社から寮に帰ってきて大泣きしたことを、今日ふと思い出した。「この生活があと40年近く続く」と思ったら、辛くて辛くて思わずポロポロ泣きだしてしまったのだ。

4日目なんてまだまだ序の口。まだ会社の歴史とか、名刺の渡し方とか、そんなことしかやってなかったのに、クラスマネージャーの話を聞いて、社会人ってそんなに辛いの…?となった。

クラスマネージャーと呼ばれる、入社後の新人教育などを行う部署の人が話してくれたのは、その人が最初に配属された営業部の話。先輩がパソコンを無くして解雇されそうになったとか、マネキュアの色を変えただけで部署の先輩から色々言われたとか、そんな話だ。

解雇されそうになった先輩は、お客さんからの人望が厚く、「あの人を解雇するなら取引をやめる」とまで言ってくれて無事だったらしい。

クラスマネージャーとしては、「パソコンを無くすのは重大問題であること」、「一生懸命仕事をしていれば誰かがたすけてくれること」を言いたかったのだろう。また、後者の話は「マネキュアの色を変えるだけでも言ってくるような人は、こんな風に対応するといいよ」というメッセージ付きだった。だけど私はメッセージより前に、「そんなに厳しい世界が社会人なのか…!」と衝撃を受けて、それに絶望してしまったのだ。

幸か不幸か、大泣きしても朝がまた来て、同じ寮に住んでいた同期が寮の下で待っていた。「おはよー」と挨拶を交わすと、昨日と同じようにバスに乗って会社に向かい、クラス分けされた研修でグループワークが始まる。そうやって1つめの研修が終わり、場所を変えて次の研修が始まり、また移動した先で最後の研修を終えると、ようやく本配属先での仕事が始まった。「社会人を続けられるか」の悩みよりもっと大きい課題に襲われ、いつのまにか怖がって大泣きしてたあれは当たり前の日常になっていた。

最初はすごく苦労したことも、毎日毎日、何度も繰り返していくうちに慣れ、次第になんとも思わなくなってくる。一種の麻痺に近いのかな、と思うが、なんだかこれって、生きていくために結構必要なスキルなのかもしれないな、と最近は思う。出来なかったことが当たり前のようにできるようになり、また次のできないことが現れて、それも繰り返して慣れていって…そうやって私たちはあらゆることを習得していくのだと思う。

大変なことがあったら慣れるまでやる、というのは、手っ取り早く次のステップに行ける方法なのかもしれない。繰り返しできるくらいの、無理はしない範囲で。

テーマ#慣れること

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