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1回ダメでも終わりじゃない。人生のトーナメント戦から脱出する考え方

「上半身がずっと緊張状態ですね。これは相当ひどいですよ」

マッサージ店のお姉さんが驚くように言った。「こんなにこわばった筋肉見たことない」といわんばかりに、ひどい、ひどいと私の焦りを掻き立てる。マッサージ店に行ったら言われない人はいないんじゃないかというほど、決まって私は騒がれる。筋肉という筋肉がカチコチにかたまっていて、常に緊張しているらしい。

しかし、その"緊張状態"に慣れてしまっているため、正直なところ普段はあまり実感が無い。時々上を向けなくなるほど首が詰まるから、それを合図に鍼灸マッサージへ通っているだけである。普段は辛いのかどうかさえわからないけれど、我慢できなくなった時の痛みや気持ち悪さは想像を超える。だからこそ、「見上げられるか」を目安に定期的に通うことにした。

同じ状態がずっと続くとそれが当たり前になるように、考え方や行動の癖も、気づかずうちに自分の"当たり前"ができてしまうものだ。

頼まれたら成果を出さなきゃ、誰かの役に立っていなくちゃ、どう言ったら正解だろうか、相手の傷つかない方法は何だろうか。そんな風に日々を過ごした私の思考はすっかり固まり、けれどそれに気づかず、「誰かの役に立てないなら必要ない」と信じて疑いもしなかった。

けれど、突然上が向けなくなるのと同じように、突然何もかもがダメになったのが2月。定期的に"思考ほぐし"をしている中で、ゆうすけ先生からこんな言葉を聞いた。

「もりやさんの生き方はまるでトーナメント戦みたいだよね。"負けたら終わり"だと思ってるから、負けないように常に緊張してる。人生はリーグ戦だと思って。1回負けても次があるから」

そして、「1回くらい役に立たなくても人生終わりじゃないよ」と続く。

そう言われてようやく、「負けたらそこで試合終了」だと思い込んでいたことは、実は全く根拠のないことだったことに気づいた。

「失敗は成功のもと」なんて小学校で習ったことなのに。山王工業の監督の言葉「『負けたことがある』というのがいつか、大きな財産になる」は、スラムダンクでもっとも好きな言葉のはずなのに。いつの間にか自分の中に、"負け"を許さない思想が大きな塊となって定住し、その塊が私をずっと緊張状態に置き、「後が無い」恐怖におびえ、うまく自分を動かせずにいたのかもしれない。

トーナメント戦で戦わなきゃいけない瞬間は、考えてみると数えるほども無い。大学受験も浪人すれば何度でも受けられるし、就活の面接も、受ける企業を増やせばいくつも次がある。仕事が合わなかったら変えられるし、人の生き方は無限にある。「もうダメだ」と歩みを止めない限り、何戦も何戦も向かっていけるものなのだろう。"負けたら終わり"じゃなくて、"諦めたらそこで試合終了"だって、何度も何度も読み直したはずだ。

「人生はリーグ戦だと思って。1回負けても次があるから」の言葉で、緊張状態の脳みそに鍼治療を受けたような、カチコチになって動けなかった思考を揉みほぐしてもらったような、そんな気分になった。

1度固まってしまった筋肉は、そう簡単にほぐれない。多分思考も同じだと思う。これまで無意識に考えてきた思考回路を変えるには、長い年月と、やわらかくするためのマッサージが必要だ。

大好きな漫画を読み直し、緊張した時はリーグ戦を思い浮かべ、「諦めなければ、大丈夫」と言い聞かせ、トーナメント戦ばかりの人生を変えていきたいなと思う。あきらめない限り、何度も試合は続く。リーグ戦にするかしないかも、すべて自分で決められるのだろう。


去年の毎日note

思えば毎日続けることも、トーナメント戦にしない1つの方法なのだろうな。

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